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「彼氏が欲しいから可愛くなりたい」うちは、本当の幸せは掴めない。


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記事:近藤裕也(ライティング・ゼミ日曜日コース)

 
 
「素敵で一途な彼氏が欲しい。だから、もっと可愛くなりたいねん」
 
そのメッセージと共に、300枚ほど撮り直したであろう渾身の自撮り画像を送ってきたのは、3歳年下の地元の後輩だ。
 
彼女は美人だと思う。街に行けば、1日に何度もナンパされる。顔もさることながら、細身で足もスラッと長く、どんな服装も着こなしてしまう。
女性であれば、誰もが羨むスペックを持っているが、それでも彼女は、いつまでも自分の容姿に満足していない。
 
その後も1分置きに、自分を罵ったメッセージと共に、それに相反する「右斜め45度」「真正面」「正面45度」「左下20度」の角度で、様々な表情の写真を僕に届けてくれる。
 
もちろん、僕から「そうなのか! 写真を送ってくれ!」とお願いしたわけではない。
そして「可愛くなりたい」と言われても、僕は美容外科の先生じゃないから、どうしようもできない。
 
ただ、彼女がなぜそんな風に思うのかの理由を聞くしか、できることはないのだ。
 
「また彼氏に浮気された。私が可愛くないから、魅力がなかったのかな」
 
はぁ、またか。僕は彼女の男性運のなさに同情しながら、ため息をついた。
 
いつも気がつけば彼女の隣には、目鼻立ちが整った、とんでもなくイケメンな彼氏がいた。
まさに言葉通り、美男美女カップルというものを体現していた。
 
しかしなぜかその全員がとんでもない浮気性で、彼女はいつも浮気をされた上でフラれている。
もはや何かの呪いにでもかかっているのではと疑ってしまうほど、本当に男性運がないのだ。
 
「素敵で一途な彼氏が欲しい。だから、もっと可愛くなりたいねん」
 
彼女が幸せになりたい気持ちは、痛いほど伝わってくる。誰でも幸せな恋をしたいものだ。
 
だけど、そう考える彼女に、……いや、彼女と同じような考えを持つ全ての女性たちに、僕は声を大にして言いたいことがある。
 
それは、「素敵な彼氏が欲しいから可愛くなりたい」うちは、きっと本当の幸せを掴むことはできないよ、ということだ。
 
「容姿が良ければ、理想の男性が恋人になってくれる」と思い込んでいる女性はごまんといる。
 
でも、実際はどうだろう。
モデル級に整った顔立ちやスタイルを持つ女性には必ず、イケメンで優しくて家庭的で、一生懸命自分を追いかけてくれる、大切にしてくれる彼氏がいるだろうか。
 
答えは「NO」だ。必ずしもそうとは言い切れない。
最初は大きな愛で尽くされても、すぐに辛い思いをして涙を流しているのは、いつだって美人である割合が圧倒的に多いのだ。
 
もっと別の例えで、考えてみよう。
 
例えば、新鮮で高品質な食材を購入しただけで、おいしい料理を作ることはできるだろうか。
 
例えば、雑誌で話題の服を購入しただけで、誰もが参考にするほどオシャレになれるだろうか。
 
答えは、いずれも「NO」である。
新鮮な食材も、話題の服も、結果に繋がる「手段」であって、「きっかけ」に過ぎない。
 
それは彼女の持つ「外見が幸せを呼んでくれる」という勘違いも、同じものだ。
いくら外見が整ったからといっても、それは幸せになるための「手段」や「きっかけ」であり、求める未来を確定させるものではない。
 
そういえば彼女の話を聞いて、こんな話を思い出した。
 
あるアメリカの心理学博士が大学生に向けて、こんな質問をしたという。
 
「5秒以内に今1番欲しいものを言えば、それが手に入ります。何をお願いしますか?」
 
学生たちが答えたのは、一生かかっても使えないような富であったり、タワーマンションであったり、高級車であったり、共通して「資産」になるものばかりだったそうだ。
 
なぜそれを欲しいと思ったのか、博士は再度、学生たちに問いかけた。
学生たちは、その問いに返答した。
 
「資産があれば、もしもの時に、家族や大切な人を守ってあげることができるから」
 
そんな学生たちに向け、博士は最後に、こう言ったそうだ。
 
「それこそ、君たちが本当にいま、心の底から欲しいと思っているものだよ」
 
彼女が求めている幸せのカタチも、この話に通ずるものがある。
彼女は「幸せにしてくれる男性に巡り会えないのは、自分の容姿が良くないからだ」という勘違いをして、毎日ダイエットや美容に励んでいる。
 
でも、本当の原因とは、そこではない。
彼女が求める「幸せ」を引き寄せるのは、彼女の魅力あるパーソナリティという内面なのだ。
 
美人とは言えなくとも幸せそうに見える女性は、みんな魅力あるパーソナリティを持っている。
そしてそんな女性の隣にいる男性は、必ずしもイケメンでスタイル抜群、優しくて家庭的、というわけではない。
だけど会話やデートの様子などを見ていても、そんな男性からは、隣にいる女性を心から愛し、尽くし、一生をかけて幸せにしてあげたいという温かい気持ちが伝わってくる。
 
結局外見を磨けども、それは幸せになるただのきっかけでしかない。
揺るぎない愛や本当の幸せを掴みたいのであれば、魅力ある外見よりも、魅力あるパーソナリティが根源となるのだ。
 
彼女はいつ、そのことに気がつくのだろう。
もちろん、教えてあげることもできる。でも僕が教えてあげたところで、彼女はきっと腹落ちしないだろう。
 
たくさん辛い思いをして、たくさん涙を流してようやく、本当の幸せのカタチに気がつく。
その時が、彼女が本当の幸せを手に入れる物語の始まりだから。
 
ちなみにそのあと、彼女には「目の前のイケメンを、忘れていないか?」と返事をした。
それから、彼女から返事がくることはなかった。
今度地元に帰ったら、文句を言ってやろうと思っている。
 
 
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2017-10-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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