メディアグランプリ

母からの見えない贈りもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山田徹(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「わあっはっはっはっ」と突然目の前の人に笑われる。
また、ある時には「おまえ、なに言ってるの大丈夫?」と言われる。
 
今までの職場でも地域コミュニティでも何かの講座に参加した時も知人との飲み会でも、
このような事が頻繁に目の前に起こっていた。
 
それに対して怒っていた。
笑われたり、心配されると見下され馬鹿にされた気持ちになるからだった。
この怒りに終止符を打ちたい……。
 
この目の前の人に心配され、笑われることへの疑問と怒りの感情を解決する。
その事に40才を過ぎ向き合うことになるとは予想していなかった。
 
それは今年の夏に妻と栃木の実家に帰り、居間に父と母と私たち4人がいた時のこと、
 
父が探しものをしているそぶりをみせていた。
それを見た母は、ゆったりおっとりした口調で言う、
 
「なに探してるん、ペースメーカーかい?」
 
一瞬の時が止まり、父は言い返す。
 
「馬鹿か! ペースメーカーは体に入っているだろうが!」
 
という会話だった。
 
70歳を過ぎた父は、心拍数が安定しないらしく、
昨年の秋に手術をして左胸にペースメーカーを入れていた。
 
父と母の会話を聞きながら、また始まったよ〜、くだらね〜な〜。
と思っていたけれど妻の反応は違った。
 
「わあっはっはっ」手を大きくたたいて笑っている、
超ウケているのだった。
 
「んん?」
 
なぜそこで笑うのか全く理解できないので妻に聞いた。
 
どこが面白いの?
 
なにが面白いのかわからない自分と面白さを感じる妻との感覚の温度差が
相当ある。
 
自分はくだらね〜な〜と思っていたのに妻が大笑いしたのは、
母と父のボケとツッコミだと教えてくれた。
 
普通ならば、「何探してるの、お財布、腕時計、鍵かい?」
などの身の回りにありそうなものや探していそうなことを聞くはずだ。
 
それなのに、
母は父の体の左胸部にある、どこを探していてもみつからないペースメーカーを
探しているのではないか?
 
という事を推測して本気でボケをかましていた。
 
本人は、おかしなことだと思っていない。
これを言うとウケるだろうなどの計算は1ミリもない。
 
ちなみに、ボケとはなんなのかと調べてみると漫才で間の抜けたことを言い笑わせる人の事であり
また、おかしな事を言う(ボケ)対して、それを修正(突っ込み)するという流れだそうだ。
 
間の抜けたことを言いまくっている母……。
 
家族の会話にそれがあるなんて思ったことがない。
 
お笑いのプロがやるものだという視点しかなかったから、
しかも、つまんない家族だと思っていた。
 
ずっと、私が小さな頃から、この母のボケを身近に聞かされ
見せられて育てられた。
 
「はあああっ!」
 
危険すぎる、やばいと思った、影響を少なからず受けているであろう自分がいるはず。
いや、少なからずといえない、残念ながら大きく受けてしまっているはずだ。
 
この母のボケのシャワーをもろに浴びて蓄積してしまったはずだ。
 
意味不明な返答、日本語なのに会話が成り立たない、
そんな母はとっても迷惑な人だと思っていた。
 
その母の影響を受けているなんて……。
 
そもそものこの母のボケの原因は、
 
未熟児で、生まれた直後に命が助からないくらい危険な状況で運良く命が助かった、
その影響から、そのまま発育が遅れて身長140センチ小柄になり脳に栄養がいかず、
まともな思考ができないことからボケてしまったのかもしれないと妄想し想像していた。
 
かわいそうな母……。
 
おっとりしており、慌てたり、走った姿をみたことがない、どんくさい。
ただ、妻は違う意見を言ってきた、
落ち着く、和む、ほっこりする、ほっとする温泉みたいだと言う。
 
へ〜、そんな風にも見れるんだと思った。
「んんん!」
もしかしたら、もしかしてだけど、この母から受け継いだ、
私のボケぶりを今まで笑われていたのか?
 
「わあっはっはっはっ」と突然目の前の人に笑われる。
またある時には
「おまえ、なに言ってるの大丈夫?」と言われる。
 
時には、「クスッ」と笑われたり、「プププッ」と笑われる。
 
この何回も繰り返して私に起こることは母ゆずりのボケ発言があった時だったのかもしれない。
 
私、本人は何を発言していたか全く気付いていないし覚えていないけれど、
その場にいた人は、その発言で和む、落ち着く、面白かったのかもしれないのだった。
 
それなのに私は全く気付かず笑いに対して怒りを感じていた。
 
お笑い芸人だったら、おいしいシチュエーションになっていると思う。
もう薄々感じていたし、見たくないと思っていたことに対して直視しようと思う。
 
自分が“あれ”だってことを認めてカミングアウトしよう。
 
まずは手始めに……。
 
身近な人から、
 
「あのさー、実はね〜、天然ボケなんだ!」
 
まずは妻に言った。
 
すると、
「あ〜そんなのずっと知ってましたけど……」
 
周りの人は自分より自分がどんな人なのかよく知っているし教えてくれる存在だ。
 
 
***

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2017-10-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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