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女子大生がピーター・パンになりたいと言い出した話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:しんごうゆいか(ライティング・ゼミ平日コース)
 

「将来は何になりたいと?」
 
ああ、またか。
 
「なんで大学にいこうと思ったん?」
 
うるさいなあ。
 
「今の時期を無駄にしちゃあいけんよ!」
 
そんなこと、わかってる。
 
 
1年間の浪人を経て、晴れて東京の大学に合格。地元である福岡から上京したばかりで楽しい時期なはずだが、このときの私は本当にうんざりしていた。
その日、東京にいる親戚が集まる食事会があった。といっても、私にとっては初対面の人ばかりであったのだけど。
そういった場で、進学したばかりの私に話が振られるであろうことは簡単に予想がついた。
 
ああ、いやだなあ。
 
 
 
食事会を終えて、山手線に揺られながら、私はどうしようもなくイラついていた。将来の夢は特にこれといってないし、浪人してまで大学にいったのは、いかないといけないところだと漠然と思っていたからで、何か目標があったわけではない。だから、聞かれても答えられない。曖昧に笑い返すことしかできない。そうしていると、大人からは「もったいない」「今しかないのよ」「しっかりしなさい」と、お説教をされた。
小さい頃は、素直に自分が好きだと思うものやときめくものが、将来の夢に繋がった。しかし、だんだんと現実が見えてきて、無謀に夢を語ると白い目で見られるようになった。周りを気にして何も言わないようになった。そして自分も大きな夢を掲げる人を白い目で見るようになった。そうするうちに、自分の将来の夢や好きなことまで見失ってしまった。未だに見失ったままでいる。
そんな状況になってしまっている私にとって、何度目かわからないそれは、苦痛でしかなかった。夢がない、やりたいことがわからない、ということは、なんだかとても良くないことのように思えて、劣等感に苛まれた。同時に、初対面なのにどうしてそんなこといわれなくちゃならないんだ、と親戚に腹が立ったりもした。しかし、それ以上に自分に腹が立った。
 
夢も好きなこともやりたいことさえもわからない。
わたしは、ここで、なにをしているんだろう。
 
いろんな負の感情が絡まりあって、どうしようもなくなって、叫びだしたいような衝動に駆られたとき、車内のアナウンスが池袋に到着したことを知らせた。一気に人が乗車してくる。ふと、乗車してきた人の一人が“天狼院書店”と印刷された袋を持っているのが目に入った。よく知った名前だった。地元である福岡にも店舗を持っている書店で、利用したことはなかったが、天狼院のHPに載っている記事の一つが、受験生であった頃の私の支えとなっていたからだ。
そういえば、東京の天狼院は池袋だったっけ。
私はスマホを取り出して、天狼院、で検索をかけた。天狼院のHPは相変わらず多くの記事が載っており、いくつかを読んだ。ここの人たちはどうしてこんなにパワーを感じさせるのだろう。何がそうさせているのかわからないまま、いろんなページを見ていった。その中の一つ、“アルバイト募集”と書かれた記事を見つけたとき、絡んでほどけなかった負の感情がしゅるると音をたて始めた。
わたし、ここで行動しなかったら、絶対後悔する。
気づくと、応募ボタンを押していた。
 
 
 
後日、採用を頂き、晴れて天狼院スタッフとなった。今、こうしてこの記事を書いている。少し前まで感じていた負の感情は、もうない。
やっと仕事を覚えてきたくらいの私ではあるが、天狼院書店というところがどんな場所なのか、なんとなくわかってきた。
ここは、店主三浦さんの“ネバーランド”なのだと思う。「ピーター・パン」にでてくるあのネバーランドだと思ってもらって問題ない。物語では、決して大人にならない夢の国として登場する。もちろん、天狼院が本当にそうだといっているわけではない。しかし、ここは、大人が子供に戻ってしまう、そんな場所だ。大袈裟にいっていると思われるかもしれないが、想像してみてほしい。池袋から歩くこと15分。あなたは狭い階段をあがり、“東京天狼院”と書かれた扉を開ける。そこでは、いい年した大人たちが少年のようにキラキラした瞳で何かを熱く語り合っている。またある人は文章を綴り、ある人はカメラを構える……。そこには白けた大人なんていない。その先頭に立っているのが、人一倍少年のような瞳をした三浦さんだ。彼がピーター・パンとなり、みんなを天狼院に惹きこんでいる。まさに、ネバーランド。
あの日、山手線の車内で感じたパワーは、おそらく天狼院のこういうところに起因する。たくさんの人の好きなこと、ときめくことへの想いの具現化。自分の好きなことややりたいこと、将来の夢もわからなかったあの頃の自分は、どうしようもなく、惹かれてしまった。もともと本や雑誌が好きであることを思い出せたのも、そんなパワーに刺激されたからだろうか。
 
そうして、まんまと天狼院に惹きこまれた私だが、今は惹きこむ側に立っている。今度は私がピーター・パンとならなければならない。とはいっても、そう簡単になれるものではないらしく、まだまだひよっこで、あたふたする日々を送っているのだけど。
 
夢や目標というには、あまりにもふざけているように思えるかもしれない。
それでも。
それでも、いつか。
私はピーター・パンになりたいと思うのだ。
 
***

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2017-10-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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