メディアグランプリ

SNSでこじらせ系


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記事:しんごうゆいか(ライティング・ゼミ平日コース)
 

「この子のストーリーさ、大学生やってます! って感じでイタくない?」
「あ~わかる(笑)頑張ってる感やばい(笑)」
 
これは私の友人の会話だ。彼女たちはインスタグラムのストーリー機能について話していた。投稿とはまた別物の、24時間限定で動画や写真などを公開するアレだ。どうやら、ある同級生のストーリーの“大学生っぽさ”、いわゆる“大学生感”が鼻につくらしい。
その感覚はよくわかった。男女でのドライブやディズニー、コンパでの動画や写真を載せる人を若干白い目で見てしまう、あの感じ。のわりに、自分たちが当事者だと気にならなかったり、そもそも気づかなかったりするものだ。
この間、君らもそういうストーリーあげてたのみたけどね!!!
なんて、心の中で叫んでみる。かくいう私も当事者だったりするのだけど。
これはインスタグラムに限らず、ツイッターなどでも同じことがいえると思う。
例えば、写真付きで「このメンツ最高! またドライブいきたいな~♡」というコメントを投稿するとする。そうすると、きっとその投稿をみた人の中の何人かは、あ~はいはい、と白い目で見ているに違いない。少なくとも、私や先ほどの彼女たちは、そう思いながら見てしまう。自分も似たような投稿をするにも関わらず、そう思ってしまう。
 
なぜなのか。また、どうして当事者になると鈍感になってしまうのか。
 
私には何となくこの感覚に覚えがあった。
恐らく、恋人がいない時期に、友人から恋人の惚気話を聞かされる時の感覚と似ているのである。初めのうちは快く聞いていられるが、何度も何度も聞かされると嫌気がさし、恋人のいない自分が劣っているような気がして惨めになったり、謎の焦燥感に駆られることもある。そのくせして、自分に恋人ができると、あらゆる幸せなエピソードを誰かに話したくなる。私はこんなに愛されていて、こんなに幸せなんですと。こうやって、他人に証明することでやっと、劣等感や惨めさ、焦燥感から解放される。
 
つまり、こういうことだ。
予定のない暇な休日、スマホでSNSを開くと、友人の充実した休日の様子がどんどんと流れてくる。別に知りたくもないんだけど、と思いながらも見てしまう。
見ているうちに、充実しているあの子と暇な自分を比較して、なんとなく自分のほうが劣っているような気になって、惨めになる。
そして、そんなことない、自分だってこれだけ充実しているんだぞ、と周りに威嚇するように、自分に言い聞かせるように、友人と同じことをして、やっと、劣等感や惨めさ、焦燥感から解放される。
 
冒頭の彼女たちのように攻撃的なことをいってしまうのは、自分を守るためだ。自分に害をなすもの、嫌な気分にさせるものから、無意識的に、自分を守ろうとしているのだと思う。無意識に嫌なことから自分を守るのは当たり前のことだ。しかし、だから、自分たちも同じことをやっているのに気づかない。
「この子のストーリーさ、大学生やってます! って感じでイタくない?」
「あ~わかる(笑)頑張ってる感やばい(笑)」
これは彼女たちの盾であり、牙なのだ。
 
この記事を書いていてつくづく思う。
なにこれ、めちゃくちゃめんどくせ~!!! 超こじらせてんじゃん~!!!
誰かのSNSに傷ついて、自分を守るために攻撃して、SNSに理想の自分を創り出し、見せつける。その繰り返し。下手すると半永久的に抜けることのできないループ。もちろん、そうでない人だって多くいる。しかし、私や彼女たちのように感じている人もいることは事実だ。周りに見せつけなければ自分を保てない、こじらせた人たち。
 
どうすれば私たちはこの半永久的ループを抜け出せるのか。
こういう記事を書いているのだからもう抜け出す方法がわかったのでは? と思われるかもしれない。
正直に言います、むしろ真っ只中にいて、グルグル回転中です。
いくら考えてもいい方法は浮かばない。しかし、一つだけ、ふと思いついた。
SNSでこじらせてしまったなら、SNSでなおすしかないのではないか。
現代において、SNSは必要不可欠なものだ。離れることもできない。ならば、とことん付き合っていくしかないのだ。グルグルとこじらせループを回り続けるかもしれない。しかし、SNSに創り出される理想の自分を見つめ、近づこうともがくしかない。きっとそれが、こじらせループを抜け出す近道だ。これはとてもつらいことだと思う。それでも、こじらせてしまった私たちはそんな自分自身と向き合っていくしかない。
そう簡単に、理想なんて手に入らないのだから。
 
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2017-10-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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