メディアグランプリ

脂質異常症とライティング・ゼミ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:上田光俊(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「再検査ですね」
それは全く予期していないものだった。
会社の健康診断で再検査という結果が出たのだ。
僕は40歳になる今までたいして大きな病気をしたことはなく、健康体を維持してきた。
特に大病を患ったという家族や親せきもいない。
勿論、年齢を重ねれば、どこかは弱くなってくるものだと思うし、実際に高齢になった両親は定期的に病院に通っては薬を服用している。
しかし、だからといって僕が健康診断で再検査と診断される理由にはならない。
僕は正直焦った。
会社の同僚の中で、健康診断で再検査になった人間はいなかったし、僕にとっても初めての経験だったからだ。
自覚症状としても、僕の体調は普段と何ら変わったところは感じられなかった。
僕にはそう診断される理由が全くわからなかったのだ。
 
「ちょっとコレステロール値が高いですね」
俗にいう悪玉コレステロールというやつだった。
その他の数値は全くもって何の異常もなかったが、コレステロールの中でも特にLDLコレステロール、つまり悪玉コレステロール値が高いということだったのだ。
この数値が高いと、動脈硬化をもたらし、様々な病気の原因にもなるようで、最悪の場合脳梗塞にもなる可能性があるということだった。
僕はすぐに再検査のために、近くの病院に行くことにした。
血液検査と尿検査の結果、その病院でも、やはり悪玉コレステロール値が高いという診断結果が出てしまった。
悪玉コレステロール値が高くなる原因として、食べ過ぎなどによる食生活の偏りや運動不足の他、アルコールの過剰摂取や喫煙、過度のストレス等が考えられるらしいが、僕はそれほど偏った食生活をしているという認識はなかったし、アルコールもほとんど飲まないし、喫煙もしない。
運動不足はたしかに思い当たる節があったが、それでも、悪玉コレステロール値が基準値を超えてしまうほどの原因にはなり得ないように感じた。
僕には何故コレステロール値がそれほど高い値を示すのかさっぱりわからなかった。
 
「脂質異常症……」
それが僕の症状だった。
僕を診ていただいた先生の説明によると、悪玉コレステロール値を正常に戻すためには、食生活の改善と適度な運動の他、薬の服用による方法とがあるらしいが、まずは食生活の改善から取り組んでみて下さいということだった。
それから僕は、その病院の栄養士さんのところに案内されて、普段の食生活を含めたカウンセリングを受けることになった。
そこで、僕は初めて自分の食生活を振り返ることになるのだが、その栄養士さんからは、はっきりとこう言われた。
「ちょっと糖質が多いですかね……」
食事のバランスを考えると、野菜や果物が不足しているために、摂取する糖質量が高くなってしまっているということだった。
まずは、野菜や果物をしっかり摂って、炭水化物はともかく、甘いものはできるだけ控えましょうという指導を受けることになった。
 
それからというもの、妻にも協力してもらって、できるだけ野菜や果物を多めに摂るようにして、甘いものは控えるような食生活に少しずつ改善していった。
そして、その1か月後に、同じ病院で再度血液検査を受けたのだが。
結果は、少しの改善は見られるものの、まだまだ悪玉コレステロール値が高いというものだった。
先生からは、このまま食生活の改善と運動不足の解消を続けてもらって、それと並行して薬の服用を勧められた。
その薬の服用の甲斐もあってか、今現在の僕は、悪玉コレステロール値は正常値に下がっている。
このまま薬の服用を続けて、生活習慣の改善を試みていけば、そのうち薬の服用は必要なくなるかもしれない。
 
しかし、ここで困ったことになった。
しかも、非常に困った事態なのだ。
 
僕は8月から天狼院書店のライティング・ゼミに通っている。
そこでは徹底的に書くことを奨励されている。
毎週毎週、2000字の記事を書いて投稿しているのだが、特に第6講の「射程を伸ばす」という回では、講師の三浦さんから、何故書けば書くほどに書く力が付いていくのかということについての理由を非常にわかりやすくシンプルに説明していただいた。
僕はその説明に心底唸った。
書くことへの意欲がますます強くなってしまったのだ。
もっと書きたい。
書いて、書いて、書きまくりたい。
下手でもいい、どれだけ時間がかかってもいい。
それでも僕は書き続けていこう。
そう思った矢先だったのに……。
講義が終わって、ワークショップに移ろうとした時に、三浦さんの口から放たれた言葉は、僕を困惑させるのに充分だった。
「できるだけたくさん糖分摂ってくださいね」
これには困った。
心底困った。
僕は糖分を摂り過ぎてはいけない身体なのだ。
せっかく、食生活の改善と薬の服用で、悪玉コレステロール値が下がってきているというのに。
もう少しで健康体になれるかもしれないというのに。
書く力を身につけるためには、射程を伸ばしていくためには、できるだけ糖分をしっかり摂った方がいいと三浦さんは言う。
これからも書いて、書いて、書き続けていくためには、糖分はかかせないらしい。
僕は一体どうすればいいのか。
僕が書くために糖分をしっかり摂ることになれば、僕の書く力は高くなるかもしれない。
しかし、それに伴い、僕の悪玉コレステロール値も著しく上がっていくことになるだろう。
それでいいのか。
一瞬、それでもいいと思ったが、いや、やっぱりダメだ。
やはり僕は自分の身体を大事にしなければならない。
身体が健康でなければ、そもそも書き続けていくということすらできなくなってしまうかもしれないからだ。
それに、僕は、自分で自分が今後どれだけ書けるようになっていくのか、正直楽しみでもある。
ライティング・ゼミ受講中は勿論、今後も必要以上に糖分を摂ることはできないが、僕はそれでも書き続けていくことだけはやめないでおこうと思う。
糖分を摂らずとも、射程を伸ばし、書く力を身につけるために。
 
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2017-10-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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