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メディアグランプリ

イクラの出どころを辿った先には初心があった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:久保明日香(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「ごめん、久保さん。言い忘れていたんだけど、今日、イクラが来るから帰ってもいいかな?」
 
プロジェクトリーダーの博美さんが私に言ってきた。
 
「……サザエさんの?」
私はニヤリとしながら返答した。
 
「いやだ、もう! 何ボケてるの! 海鮮の“イクラ”だよ。ここのところ、ずっと帰るのが遅かったから、荷物の受け取りができてなくて。冷凍便だから保管期限も短くて、今日が受け取れるラストチャンスなの」
 
宅配便の再配達の指定時間は19時~21時で、この時間に間に合うように帰らなければならないとのことだった。
 
「新しいブランドを1つ、立ち上げます」
上からの宣言を受け、新プロジェクトの進行が開始したのは9月のことである。私も今後の経験のためにということでプロジェクトに加わることになった。以降、一気に仕事が忙しくなり、メンバーは資料作成のために毎日夜遅くまで会社に残っていた。特にリーダーを任せられた博美さんはほぼ100%の確率で最後まで会社に残っており、終電ぎりぎりまで帰らないというのが常だった。
 
そんな博美さんからの帰りたいという言葉に驚くと同時になぜイクラ? という疑問が私の頭に浮かんだ。実家から送ってもらえるのだろうか。でも博美さんの出身は確か兵庫県の山奥の方だったはずだ。山奥で新鮮なイクラが手に入るなんて聞いたことが無い。ではどこから? 浩美さんが自ら購入したのだろうか。何年か一緒に仕事をし、何度も食事をご一緒させてもらっているがイクラが大好きだという話も聞いたことが無い。
 
私は本人に直接聞いてみることにした。
 
「あのー……素朴な疑問なんですけど、博美さんって、イクラ、買う程好きでしたっけ」
「ふふっ。急にイクラなんて言うからびっくりするよね。ごめんごめん。実は、ふるさと納税でイクラ、頼んだんだ」
「ふるさと納税……ですか」
 
数年前から始まった制度で私も噂に聞いたことがある。しかし詳しくは知らなかった。
なぜイクラが届くのか、その時はそれすらわからなかった。わかっていることは博美さんが早く帰ってしまうことだけ。今日帰宅したらふるさと納税について調べてみよう。携帯のメモ帳に“ふるさと納税”と入力し、引き続き仕事に取り組んだ。
 
仕事を終え帰宅し、早速、ふるさと納税について調べてみることにした。
 
ふるさと納税は、地方自治体に“寄付”をするという形でお金を支払うことだそうだ。名前に“ふるさと”とあるが自分の故郷(ふるさと)以外の地方自治体にも寄付が可能で、寄付と引き換えにその地域の特産物など、お礼の品がもらえる制度らしい。
また、その寄付金の額を自分の所得に合わせて調整し、書類提出などの手続きを行えば、支払った寄付金の自己負担がたった2,000円になり、残りの金額は税金から控除される仕組みだということだった。
 
そんなおいしい話だったのか。もう少し早く調べておけばよかった、と悔しく思った。そして、知ったからにはふるさと納税をやってみよう! そう思い、私はもらえるお礼の品を調べ始めた。
 
ざっと調べただけで相当な数のお礼の品がある。また、食べ物だけではなく、電化製品や伝統工芸品まであることに驚いた。その夜、私はふるさと納税への興味が一気に高まり、睡眠時間を削って他にどんなお礼の品があるかカタカタとパソコンの前で調べ続けていた。
 
そんな時ふと思った。
地方自治体にお金を払って、更にお礼の品を受け取ることができるのがふるさと納税。
受講のためにお金を払って、更に課題を提出すれば添削がしてもらえるのがライティング・ゼミだ。
 
どちらも+αのものがついてくる。
これは……しっかり課題を提出するべきではないか。
 
このライティング・ゼミを受講している生徒は全員受講料を払ってノウハウを教えてもらっている。ただ、全員が課題を提出しているかというとそうではない。
“できれば毎日、記事を書いてください。そして週に1回、提出してください。担当者が添削し、フィードバックをします”といった条件が最初の説明にあった。
 
課題を提出してもWebに掲載されるとは限らない。どんどん書くのが上手くなっていく受講生がいる一方で、出しても出してもダメな時だってある。
 
だがしかし、全員同じ条件で受講をしているのなら課題を出すべきだ。掲載されれば嬉しい思いができるし、掲載されなくても添削をしてもらえるのでどこが悪かったのか気付くことができる。どちらに転んでも“おいしい”のである。
 
それに気づいた私は、ふるさと納税のお礼の品一覧のページをそっと閉じた。
 
夜も遅い。しかし、課題に取り組もう。ライティング・ゼミの講義はもう半分以上終わっている。課題が提出できる機会もあと数回だ。
残り数回、今まで以上に気を引き締めて自分できちんと納得ができるものを提出しようと私は初心に帰った。
 
そして最後まで頑張った自分へのご褒美は……やっぱり北海道産のイクラだろう。
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-10-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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