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似合わない服を買うと、自由になる。


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記事:綿貫美紀(ライティングゼミ平日コース)

 
 
おしゃれであるということは、しばしばその人が自分に似合っている服を着ているということを意味する。
地方出身の人が上京して垢抜ける時や、女の子がきれいになる時、それは「似合う」という概念をインストールした後の気がする。
 
私にとって、おしゃれの目標は途中でやめるだ。
「途中でやめる」というブランドの服が好きで、よくネットショップで眺める。
本当に、作るのを途中でやめちゃったかのような適当な遊び心がかわいくて唯一無二、それなのにあんまり高くない値段で買えて、見ているだけでときめきが止まらなくて、最高なのだ。(途中でやめる 洋服 で今すぐ検索してほしい。)
 
ただ、こういう服が似合うのは、手足が線のように細く、前髪がぱっつんでもちゃんとかわいい、読モ的な顔の人なのだ。私が来たら着太りして、デブが体型をごまかしているようになってしまうだろう。着こなせるくらい、もとが良ければなぁ。
 
そう思ってずっと眺めているだけだった。
 
考えを改めたのは、池辺葵の「繕い裁つ人(つくろいたつひと)」という漫画がきっかけだ。
「繕い裁つ人」は、平たく言えば洋裁の漫画だ。郊外で小さな洋裁屋さんを営む女の人が主人公で、その人は洋服が大好きで、オーダーメイドでオリジナルの洋服を作っている。そして、その人の洋服のファンの男の人がいて、デパートの外商さんなのだけど、その人の服を時々買っているのだ。
 
その洋裁屋さんが、いろんな人の洋服を縫ったり、外商さんと恋人になりそうでならない、むずむずした関係もとっても面白いのだが、特に好きなシーンがある。
 
ある日洋裁屋さんが、外商さんの妹につれられて、外商さんの自室を訪れる機会がある。
そこには、彼女が作った数々の繊細な洋服がきれいに飾られている。
妹はいう。「お兄ちゃんったら、男のくせに自分は着れもしない洋服をこんなに持っていて、時々飾ってるんだよ。いつもじゃないけど、インスピレーションがほしい時とかに飾るんだって。……引いちゃった?」
 
洋裁屋さんは、自分の洋服がこんなに大切にされていることに、ひどく喜ぶ。
 
そうか! と私は思った。服が似合わないのなら、飾ればいいのか!
洋服を使ってうまく自分を素敵に見せられることだけがおしゃれじゃない。
服からインスピレーションを得ること、それによって幸せな気持ちになれることが、おしゃれを楽しんでいることになるのだ!!
そのために、服を買ったっていいじゃないか。
 
早速買ってみた。
着てみると、やっぱり思った通り。デブが体型を隠しているみたいに見える。
(やっぱり私は少しタイトめで、膝下を強調した服が一番よく見えるのだ。)
 
でも、飾ってみるとすごくよかった。
おしゃれなポスターを貼ったかのように、部屋がイケている感じになった。こんな狭い一人暮らしの部屋に、こんなに可愛いものがあって幸せ。
 
自己肯定感を強めたいときにも良い。
自分の本棚にお気に入りの本を詰め込んだコーナーを作って、
「この本棚、名作しか揃ってない!なんてイケてる本棚なんだ。今友達を呼んだら、どの1冊をとってもきっと夢中になって読みふけってしまうだろうな」
と一人悦に入ったことはないだろうか。
それと同じ気持ちである。
「ここにかかってる服、全部かわいい!なんてイケてる壁なんだ。そしてこの服がこの配列で並んでいるなんて、奇跡でしかない。つまりこれらを買い集めた私はなんてセンスがいいのだろうか」
といった塩梅だ。
似合わない服は飾ればいいのだ。だって、似合わないものはしょうがない。
 
もう一ついいことがある。
似合わなくても服を買ってよい、と気づいてから、何かものを選ぶときに「これを持っていたら他人からどう思われるか」という妄想が薄くなった気がする。
ピンクの小物はキャラじゃないから、と敬遠していたけど、この前ピンクの財布を買った。ほしいと思ったからだ。
私は何かを選ぶ際に、こんなにも他人の目を気にしていたのか~、とつくづく思う。
何かを選ぶときに、自分と他人の割合のうち、少しだけ自分の割合が多くなって、その分少しだけ自由になれた感じがする。
 
似合わない服を買うと、自由になれる。おすすめである。

 

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2017-11-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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