メディアグランプリ

心が折れる音を聞いたことがあるか


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:Shinji(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
圧倒的な才能の差を感じて挫折した経験はないだろうか?
しかも、その経験が後々までトラウマ化してしまうような。
 
例えば、地元の小学校では飛び抜けて成績優秀だったのに、進学校に行ってみると、周りにもっと頭の良い生徒がたくさんいて、自信を失くした。
少年野球のチームではスーパースターだったのに、強豪校と試合をしてみると、とてつもない才能の選手の前に敗北し、自分の力のなさを思い知らされた。
ピアニストを目指して幼少からレッスンを受けてきたが、出場したコンクールでありえない才能を目の当たりにし、挫折した。
 
どれもよく耳にする話だ。ただこれらは、ある程度最小単位では才能を発揮していた人が、より大きな才能の壁に直面して諦める、もしくは乗り越える物語である。現実はそんなにドラマティックなものばかりではない。もっと些細なことで自信を失くしたり、挫折したりするものだ。
僕には当然のごとく感動的なエピソードはない。それでも一丁前に挫折経験はある。
 
大学時代に映画やマスメディアを専攻していた僕は、サンフランシスコのとある企業に入社し、テレビ番組を制作していた。そこに同期入社の6人がいた。
外国人は僕一人だったが、僕以外も全員映像関連の専攻出身だった。若い僕たち6人はまだ自分の力を信じていて、全員が
「いつかはハリウッド!」
と夢見ていた。ハリウッドといえば
ドカーン! バカーン! 
と大スペクタクルのアクション映画が代表されるイメージで、巨額のスケールの制作費をかけた映画を創ってみたいものだと毎日語り合っていた。
そんなある日のこと、同期の一人「女好きのマーク」が昼ごはんの時に語った、「前日に見た夢の話」で僕の心が折れる。
 
 
「みんな聞いてくれ。昨日変な夢を見たんだ」
そうやってマークはサンドイッチを食べながら話し出した。
 
「めちゃくちゃ可愛い女の子と知り合って、やっとデートにこぎつけたんだ」
あくまで夢の話である。
その後いよいよデートの日を迎えたらしい。
マーク曰く、その日は彼女に気に入られるために、彼女の言う通りに付き合ったらしい。言われるがまま夕食の店に付き合って彼女が食べたいものを食べ、その後彼女が行きつけのバーにも立ち寄ったらしい。そして夜も深くなってきた頃、彼女が
「ねぇ、もう1箇所だけ付き合って!」
と言うので、当然ついて行った。たどり着いた先は、彼女の出身大学だったらしい。
試験前だったため、夜中でもまだ学校には電気がついていたと言う。
すると彼女が
 
「ここでちょっと待ってて!」
 
と言い残し、学校に入って行った。門のところで一人残されたマークは不思議に思いながら、おとなしく彼女が戻ってくるのを待っていた。
やがて、彼女が遠くから駆け戻って来て、笑いながら
 
「逃げろー!」
 
とマークの手を取り、二人で走ってその場を離れた。
その日はもう遅かったのと最初のデートだったこともあり、紳士的に彼女を送り届け、帰宅したと言う。
そして次の朝、マークが目覚めて何気なくテレビをつけると、
 
「昨夜12時頃、何者かによって仕掛けられた爆弾が爆発し、校内に残っていた生徒350人が死亡いたしました」
 
というニュースが飛び込んで来た。テレビに映っている場所は昨夜彼女と行ったキャンパス。時間的にもぴったり合う。
驚いて思わず手にしていた歯ブラシを落としたところで目が覚めたらしい。
 
周りのみんなは、いかにもマークらしいエピソードだと笑っていたが、僕一人だけ笑うことができなかった。
いくら夢とは言えど、350人を殺すことなんて僕には思いもつかない。
アメリカはこんなにバイオレンスが生活に密接している国なんだと改めて実感し、ショックを受けた。
これが、タランティーノ監督やスピルバーグ監督に言われたのであれば、さほどショックを受けることはなかっただろう。
むしろ「夢の中でもスケールがでかい」と感心していたかもしれない。それをなんの実績もなく、さほど才能の差も感じない同僚に言われたことがショックだった。こんなバイオレンス慣れしている国民を驚かせるスケールのアクションを思いつく事なんて僕にできるわけない、と落ち込んだ。
 
その日以降、あんなに好きだったバイオレンス映画が一切見れなくなってしまった。そしてそのトラウマは今も拭えずにいる。それ以来、細かい挫折を繰り返しているが、あの時を超えるショックは経験していない。あまりの衝撃で少し心が強くなったからかもしれない。
ただ、いつまでも負の遺産に縛られているのもよくない。そろそろ何か新しいものを見つけて自信をつければ、再びバイオレンス映画を見ることができるようになるかもしれないと、再起をかけてこのライティングゼミに参加した。
4ヶ月に渡るこの講座も間も無く終わろうとしている。果たして自信がつきトラウマの克服に成功できるだろうか。
今の所、なんとなくではあるが、再び挫折の香りが漂っている。また僕の心が強くなりそうだ。
 
***

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2017-11-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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