メディアグランプリ

クリーニング屋のおばちゃんから学んだ人間関係でもっとも大切なこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:坂東 蘭(ライティングゼミ平日コース)

 

 

「ふっー、今週も終わりか……あっと言う間だったけど本当にいろいろあったな。まっ、でも無事に一週間が終わってよかった」

 

翌週からフレッシュな気持ちでまた戦えるようにと一週間分の汗と涙がつまったサラリーマンの戦闘服であるYシャツをエコバッグに詰め込みながら一人でそう呟いている。

 

サラリーマンである僕は、毎週土曜日の午前中に一週間分のYシャツを持って近所のクリーニング屋に持って行くのが習慣だ。今住んでいる街に引越してから約2年経ったが、自宅から最寄りのチェーン展開をしているとあるクリーニング店を2年間毎週利用している。

 

週明けの月曜日からまた着られるように、翌日仕上げの日曜日に間に合わせなければならない。そのために土曜の午前12時までにはそのクリーニング屋に出さなければならないが、同じように考えているサラリーマンや奥さんと思われるような女性で土曜のクリーニング屋は賑わっている。

 

よくある普通のワイシャツの仕上げは機械のプレス加工の影響で折りたたんで折り目がワイシャツ糊でぴったり整えられている。料金は1着168円とリーズナブルだが機械のプレスの圧力で腕の袖がスレやすくなったり、ワイシャツのボタンが傷つきやすく、時にはボタンが取れたりするのが僕は嫌いだ。そうはいっても自宅の洗濯機で洗って、乾かして、自分でパリッとアイロンをかけるようなこともしたくはない。

 

そういうことで僕は毎週のようにクリーニング屋にお世話になっている。

 

仕事で着るワイシャツは消耗品のような側面もあると思っているので、普段来ている代物は量販店で一着4~5千円のものが多いけど、週に1、2度は1着1万円ほどするオーダーメイドのワイシャツを着ている。僕が好きなのはKというブランドだ。単純に値段が高いという理由だけではなくオーダーメイド、なのでデザインと生地がイケてる代物だけに僕も気に入っている。

 

なので、オーダーメイドのワイシャツをクリーニングに出すときには、ワイシャツ扱いではなく、ドレスシャツ扱いでお願いしていて、当然にクリーニング料金も高く1着350円と倍の金額だ。

 

「ありがとうございます。ワイシャツ5枚ですね。」

流れ作業のように僕のワイシャツを確かめながら確認してくる店員に向かって、

「このKというブランドのワイシャツはドレスシャツ仕上げでお願いします」

「ドレスシャツ仕上げですね。ありがとうございます」

 

こんなやりとりを毎週土曜日に店員さんとしていて、こだわりがある僕にとっては、毎度毎度、店員さんにあたりまえのように、そう説明をしていたが、混んでいる時や疲れている時はいちいち説明するのは面倒だな、と思ってもいた。

 

そのクリーニング屋は比較的大きなチェーン店の支店なので、アルバイトの女性スタッフが多く、よく会うスタッフの方もいれば、あまり会わないスタッフもいる。

いつものように、とある土曜日にワイシャツをもって行き、

 

僕が「お願いします」とルーティンのようにカウンターの前にクリーニング屋の会員証を提示して、既製品であるP社のワイシャツ3枚と、お気に入りのオーダーメイド、K社のワイシャツを2枚おき、ドレスシャツシャツ仕上げでお願いします、と説明しようと「ドレスのド」の音が僕の扁桃腺まで登りかかった瞬間、おもむろにその日の当番である店員の女性のおばちゃんスタッフが

 

「K社のワイシャツはいつもの仕上げでよろしいですか?」

 

と言われた瞬間、驚いてしまい思わずまるで金魚の出目金のように目を見開きながら

「はっ、はいっ、いつものドレスシャツ仕上げで」

とすかさず返事を返した。

 

僕は思わず、なじみの居酒屋かラーメン屋でビールや枝豆、チャーシュー麺大盛りのオーダーでも受けているような錯覚を受けながら、一方でなんとも心地よく、嬉しい気持ちでお腹いっぱい、いや、胸がいっぱいになった。

 

例え店員のスタッフが毎回違えども、毎週のように私が来ていればそりゃ覚えてくれるとも思っていたが、「いつもの」とカウンターパンチを受けるとは想定の範囲外だった。

 

対人関係やビジネスで上手くいくためには、相手の立場に立って考えることが重要だ、とはよく言われる言葉だ。言葉で言うのは簡単だけど、相当難易度が高いことだとも思っている。

実際に僕も、相手の立場に立って考えようと心がけているが、なかなかできずにいた。

それが、近所のクリーニング屋で学ぶことになるとは。毎度毎度説明することを煩わしいと思っていた僕の心をあたかも見透かして「いつもの」というたった一言で僕の心をわしづかみした女性スタッフ、まさにこれこそ相手の立場に立って考えることだ、と思わず唸ってしまった。

 

毎週毎週そのクリーニング屋の女性スタッフが受付してくれることはないけれど、運良く受付してくれるたびに、相手の立場に立って考えることを思い出させてくれる女性スタッフのおばちゃんに今日も感謝している。

 

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2017-11-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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