メディアグランプリ

祭りのすすめ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:志希歩(ライティング・ゼミ 通信専用コース)

 
 
「さあ、始めるか」
 
11月初めの休日、面倒くさい気持ち半分、ワクワクする気持ち半分で立ち上がった。
 
だんだん肌寒さを感じるようになるこの季節の恒例行事、「衣替え」である。
 
クローゼットにかけてある冬物のスーツやコートのカバーを外し、夏物のスーツやワンピースはクリーニングへ。家で洗える服は一斉に洗濯する。
ここ数年で洋服の数を大幅に減らしたので大した作業ではないが、それでも少し面倒くさい。面倒くささを上回るワクワク感がやってきたときに満を持して始める。
 
7~8年前までは大量のシーズンオフの服を押し入れの衣装ケースにしまい、夏と冬の衣替えのときに日常使っている自分のタンスの中身と入れ替えていた。
 
実に面倒な作業だった。そしてこの作業を何年か続けたときに気付いたのだ。着ていない服を毎回せっせと入れ替えているだけだと。いや、薄々気付いていたが、そうするしか方法がなかった。まだ着られる服ばかりだったからだ。着られるものは捨てられない。
「この服はこれと合わせたらいいんじゃないかな」とか「これは部屋着になるな」とか、一応着ることを想定してタンスに入れるが、もう何年も着ていない服が主役に躍り出るわけないし、フルタイムで仕事をしている私に部屋着は大して必要ない。
結局、着ないまま次の季節には押し入れにしまい込まれることになる。右から左、左から右へとただ移動するだけの無駄な労力だった。
 
全ての服が自分のタンスに収納できたらどれだけ楽になるだろう。
この衣替えの無駄な労力はなくなるし、季節の変わり目に慌てて押し入れから服を引っ張り出すこともしなくていい。
なんて素敵なシンプルライフだ。
 
そこで山盛りの着ない服を思い切って処分した。
 
果たして、シンプルライフに少し近づいた。
いくつかあった押し入れの大きな衣装ケースは空っぽになり、全ての服がタンスに収納された。
クローゼットの中で当たり前の風景のように鎮座していたワンピースやジャケットを思い切って処分すると、ぎゅうぎゅうになっていたクローゼットは風通しがよくなった。
そしてそれだけの服を処分しても困ることや後悔することは一切なかった。
 
なんだ、そんなもんか。
いらない服たちにどれだけ振り回されていたんだろう。
 
服は、破れたり穴が開いたりしない限り、服としての機能は失わない。
まだ使えるものを処分することに罪悪感を感じたり、せっかく買ったのにもったいないという思いがよぎったりする。
そういう思いを乗り越えて処分したらすっきりした。
 
そのあとに出会ったのが、こんまりこと近藤麻理恵さんの著書「人生がときめく片付けの魔法」だ。今や世界に羽ばたいたこの片付け術は、ときめくかときめかないか、を処分の判断基準にする。片付けの手順や方法も独特だ。
 
この本を読んでいると楽しくなってきた。
「片付け」とか「処分する」ということが実に前向きなのだ。
ときめかないものはその役目が終わったものとして感謝してさようなら。そこに罪悪感はない。
そして、ときめくものだけに囲まれた生活をイメージする。
「ときめき」だなんて、最初は少女趣味のように感じたけど、老若男女問わず、こんなに分かりやすい感情はないと思う。
地道で面倒くさい作業のように思える「片付け」をこんまりさんは「祭り」と称する。
「祭り」と聞けば楽しくなる。
祭りだ祭り、わっしょいわっしょい。
 
読み終わると片付け、いや、祭りをしたくてうずうずしてきた。
 
しまい込んでいる服を見るときに感じた色褪せた佇まい。着ようという気が起きない。着てもなんだか楽しくない。なんとなく感じていたこの感覚がときめかないってことか。
服はたくさん処分したはずなのに、こんまり流の目線で見ると更に処分候補が出てくる。
それも簡単に判別できる。まだこんなにいらない服があったのかと驚く。
 
それでもすぐに処分する踏ん切りがつかないものもあるし、そのときは判別できないもののも出てくる。
そこは私流で、次の年まで持ち越すことにしている。時間を置くと処分するかどうかはっきりしてくる。
 
そうやって服の数を減らしていくと、少ない数の服でも問題なく毎日やっていけることに気付いたし、次に新しいものを買うときにかなり厳選するようになった。
「持ってると便利そうだから」とか「セールになってたから」という理由で買い物をすることがなくなった。
 
服以外のものも同じように折に触れて祭りをするとますます持ち物が少なくなり、買うものは減り、さらにシンプルライフになってきた。
我が家はもっと狭い家に引っ越してもいいんじゃないかというくらいすっかすかになり、ときめくものが残った。
本は、何度かの祭りを経てもなお溢れているが、全部ときめくから仕方ない。
 
「服があふれてて」とか「家を片付けないといけないんだけど、なかなかね」という人にはこの本を勧めている。
物を捨てなければ、という後ろめたい片付けではなく、前向きに片付ける「祭り」に連れて行ってもらえる。
祭りに辿り着けば、あとはわっしょいわっしょいと作業をするだけだ。
全力で祭りに打ち込めば、その後の爽快感もひとしおだ。
私も片付けに行き詰ったときにときどき読み返して祭りのテンションを上げる。
まだまだ祭りの余地はある。
 
冬の初めの服の祭り。
それが私のワクワク感の正体だ。
 
この冬の初めの祭りは終わってしまった。
さあ、次は何の祭りをしようか。
 
 
***

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2017-11-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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