メディアグランプリ

ごめんなさい、私、人生変えません。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:さつき(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「人生を変える」という言葉に誘われたのは、やっぱり自分の人生に納得がいっていなかったんだと思う。でなければよく知らないサイトを一目見て、即座に数万円を振り込んだりはしない。
本が好きで書くことが好きで、そんな仕事をしたかったはずなのに、今の私は田舎の病院で働き、お年寄りのうんこしっこ血液にまみれている。受験に必要な数学も物理も心底嫌いで、だから当然大の苦手で、どうして好きな語学とかを勉強するんじゃいけないのかわからなかった。仕事は楽しいけれど、やりたかったことはコレジャナイ、なんでこうなったんだろうって、ずーっと思い続けている。
年齢的にもマネジメントをぼちぼち勉強しなければいけないのだけど、関連の本を読んで、「自分のやりたいことや長所を生かすのがセルフマネジメントです」なんて書いてあろうものなら、その場で本をぱたんと閉じたくなる。私は自分を殺して生きているのだろうか。
そんなときに出会ったのが「人生を変えるライティング・ゼミ」
というオンラインスクールである。書くことが好きで人生コレジャナイ自分としては、「人生を変える」的にも「ライティング」的にも、やってみないわけにはいかないじゃないか。
オンライン動画の授業を受けつつ、毎週2000字ほどの文章を提出する生活が始まった。
これ、ライティングの教室ですよね? と思った。みなさん習いに来る意味がわからないほど文章がうまい。最初のレクチャーの翌日が締め切りというタイトな日程なのに、素敵な文章がどんどん提出されてくる。私はといえば所用があって前日のゼミは受講できなかったのに、レクチャーの動画はなかなかアップロードされず、課題が何なのかすらわからない。とりあえず1回目の提出はパスしたが、それにしてもとんでもないところに紛れ込んでしまったものよ、人生を変えるって大変だ、と冷や汗が出た。
2回目からは急な仕事が入らない限りぼちぼちと提出できるようになったが、格闘むなしくライティングの方はぱっとしないまま、もうすぐ受講期間も終わりを迎えようとしている。
しかし受講したことで、得たものは大きかった。
「読まれる文章」を書くには、良い素材と、伝えるためにココロを砕き手をかけて届ける、という二つのことが大切だ、とわかった。
後半の手をかけて届ける、というのは説明不要であろう。
良い素材というのは、人様に2000字なりの文章を最後まで読んでもらうには、自分の「とっておき」を出さなければならない、ということだ。自分にとって大切じゃないものでは、人の心は1ミリだって動かせない。
自分の持っている渾身の「とっておき」は何だろう、課題に取り組むたび、真剣に考えた。
3カ月書き続けて、たどり着いた答えは、「家族」、そして、「仕事」。
自分が人生で一番大切にしてきたのは、自分が築いた今の家庭と家族だ。そしてなりたくてしかたなかったのではないにせよ、苦労して数々の資格を取り、技術をぎりぎりまで磨き上げてきた仕事も、やはり自分にとっては大切なものだ、と感じた。
この仕事についてもうすぐ30年になる。それなりの評価もいただき、大学生や新人に指導するようになっても、胸を張って仕事に誇りをもって仕事する同僚たちの中で、どこかこの道を選んだこと
に自信が持てないできた。
好きでも得意でもないことを生業にしている、そのことはずっと自分の人生の重荷であり、成果が上がらないときの逃げ道でもあった。心理カウンセラーのお世話になっていたこともあるし、その道のエキスパートである心理学者のセミナーを受講していたこともある。しかしその重荷がひとひらたりとも取り除かれることはなかった。
それをどうにかするためにライティングゼミを受講したわけではなかった。しかし真摯に自分に向かい合い、心の声に耳を傾けたとき、それでも仕事が好き、という声を、はっきり聞くことができたのだ。仕事について語り、読んでもらえたことで初めて職業人としての自分を肯定できた気がした。
なぁんだ、自分、いいんじゃん、これで。
実は仕事はとてもうまくいっていた。チーム医療の必要性が叫ばれて久しいが、私は院内で二つのチームを率い、そして二つともかなりの成果を挙げていた。それでも満たされない気持ちがあったのだが。
人生を変える必要はなかった。これで、いい。
はじめて、本当に腑に落ちた、とおもった。
人生は変わらなかった。むしろ、変えないことに私が決めた。
残念ながら、ライティングも、あまり変わりばえはしなかった。
ただ、書き続けることで本当の自分と会えた。そしてその自分を、好きになれた。
明日からも今までの自分を誠実に暮らそう。人生を変えようとしてくれた人たちには申し訳ないけれど。
 
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2017-11-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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