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メディアグランプリ

ルンバは私の王様だった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:谷口直美(ライティング・ゼミ日曜コース)

 

 

「お誕生日おめでとう!」

仕事から帰った夫が手に持っていたのは、ルンバだった。 「めっちゃくちゃ高かったんちゃうの?」と私が聞くと、 「お店のオープニングセールで安かったから買ってきた」と夫はニコニコしながら答えた。 ずっと欲しかったけれど、高くて買えなかったルンバ。 周りで買った友人が、だんだん使わなくなったと言っていたから、使いこなせるか不安だったルンバ。 何度も家電量販店に行って、デモンストレーションをみては、買う勇気がなかったルンバ。 そんなルンバが突然、我が家にやってきた。 しかも、ルンバは白だった。

黒しか見たことがなかった私にとって、白いルンバは衝撃的だった。これなら、リビングに置いても圧迫感がない!

そう思うと、さらに嬉しくなった。 翌日から、ルンバを使いはじめた。面白いようにホコリが取れる。非常に細かい砂や猫の毛が大量に取れるのだ。正直、リビングに、こんなに砂があったのかと驚くほどだ。

 

一度、掃除機をかけた後に、ルンバで掃除をしてみた。

正直なところ、それほど埃はとれないだろうと、たかをくくっていた。

 

しかし、実際は大量の埃が、ルンバのごみ受けの中に入っていたのだ。

 

それ以来、ルンバを使わないという選択肢は無くなってしまった。

毎日使わないと気持ち悪く思うまでになっていた。

 

私はせっせとルンバが掃除しやすいように床の上のものを片付けはじめた。

 

家族が脱ぎっぱなしの服や靴下、おもちゃなども、ルンルン気分で拾っていた。ルンバが吸い込んでしまわないようにと思うと気持ちよく拾えるのだ。

 

実はルンバが我が家に来るまでは、ルンルン気分どころではなかった。

 

床の上に置きっぱなしのものを見つけると、イライラしながら注意をし、本人達に片付けさせていた。本人が片付けるまで、わざと、そのままにしている時もあった。

だから、物が散乱した床を見るたびに、「まだ片付けてない……」とイライラしていたし、意固地になって「絶対拾わないぞ」と思っていたのだ。

 

しかし、ルンバが来てからは、私は変わった。

ルンバのために、喜んで床の上にものを片付けるようになったのだ。

 

ある日、家族に、「今からルンバかけるから、床の上のものは吸い込まれるでー」と言ってみた。そううすると、驚く速さで、ものを片付けはじめた。

あれだけ注意しても、動かなかったのに、ルンバの威力はすごいなと思った。

 

また、家具を買うときは、床下10cmの空きがあるか、幅が33cm以上あるかどうかがポイントとなった。理由は、ルンバが家具の下を通れるかどうかが大事だったからだ。

 

先日、知り合いの家に行くと、部屋に置いてある収納家具全てが、台に乗せられていて驚いた。理由を聞くと、ルンバが掃除しやすいようにしたら結果的にこうなったのだと恥ずかしそうに答えてくれた。

 

どうやら、ルンバの影響で変化をしたのは、私だけでないらしい。

なんだか少しほっとした。

 

ルンバが動いていると、家族みんなが避けていく。

夫も、子供たちもルンバが近づいてくると、予測できない動きに戸惑いつつも、掃除の邪魔をしないように、またいだり、移動したりしていた。

 

久しぶりに遊びにきた義母が、洗面台の鏡を見ながら身だしなみを整えていると、ルンバが足元に寄ってきた。

 

すると義母は、「あら、ごめんなさい」と一言謝り、身だしなみを整えるのをやめて、ルンバが通り過ぎるをじっと待っていた。

 

通り道をあけようと、みんながルンバの動きを気にしながら生活をするのは、何とも不思議な感じがした。

 

リビングだけでなく、寝室の掃除をお願いする時もある。

私は寝室の床の上に何もないか、くまなくチェックする。コードに引っかからないか、巻き込んでしまうようなものがないか、目を光らせる。

 

厳しいチェックの後、ようやくルンバのスイッチを押し、寝室を後にする。

その後、何のトラブルもなく、掃除が完了していれば、ホッと肩をなで下ろす。

 

細かくチェックをしていても、思わぬところのコードを巻き込んでいたり、全く気づかなかったおもちゃを吸い込んで止まっていたりする時がある。そんな時は、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

けん玉を巻き込んで、グルグル巻きになっていた時は、けん玉の存在に気づけなくてごめんねと心の中で謝りながら、苦労して外した。

 

他にも止まる時はある。ルンバ本体の清掃が行き届いていないときだ。

その時は、ルンバは、丁寧に「ブラシの清掃をしてください」と教えてくれる。

「ごめんなさいね」と私は謝りながら、ブラシの清掃をすかさずする。

 

ブラシの清掃は、1週間に一度は行わないと、止まってしまう。掃除機の掃除は、年に一度ぐらいだったが、ルンバはかなりの頻度で行っている。

 

正直なところブラシの清掃は、面倒だ。しかし、掃除機を毎日かける時間と1週間に一度のブラシの清掃時間を天秤にかけても、ルンバに掃除をしてもらう方が遥かに時間の節約になる。だから、私はせっせとブラシの清掃をする。

 

ルンバを使いはじめて、1年半たった頃、掃除する時間が、極端に短くなった。いつもなら、1時間は、ゆうに掃除してからホームベースに戻るのに、10分も経たないうちに、ホームベースに戻るようになった。

 

毎日掃除をしているから、ほこりがなくなったのかもしれない、なんて楽観的なことを考えたが、あちらこちらにゴミが残っている。

やっぱり、おかしいと思い、コールセンターに電話した。するとバッテリーの寿命だいうことがわかった。

さらに、コールセンターの女性は、バッテリーだけでなくブラシ部分も交換し清掃までするパックがお得で、料金は18000円だと言った。

私は、あっさりと18000円をその場で払うことを決断した。

 

普通の生活では、18000円の買い物を即決するなんてありえないのに、ルンバに関しては、違っていた。

 

ルンバのために、毎日掃除しやすくなる段取りをし、定期的な清掃に加えて、メンテナンス費用も喜んで払っている。

 

ルンバが、動きやすいように家具の配置を変えたり、通り道がふさがれていないかを細かくチェックする。更には、家具を買う基準まで変わってしまった。

 

いつのまにか、ルンバのために、私の行動が変わっていた。

 

ルンバは、お掃除ロボットだ。

 

使うまでは、掃除を私の代わりにしてくれる召使いのように思っていた。

 

しかし、使ってみると、まるで違った。

 

ルンバが掃除しやすいように、私は準備をし、部屋を整える。

 

ブラシの清掃が必要だ言われれば、すぐに掃除をし、メンテナンスも怠らない。

 

あれ? 私の方がルンバのためによく働く召使いなんじゃない?

 

ルンバは、私の召使いではなくて、王様だった。

 

毎日リビングの床を片付けられるように私の躾をし、キレイな家を維持してくれる素晴らしい王様。

 

これからも、ルンバ様のお世話をさせていただきます。

 

末永くよろしくお願いします。

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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