メディアグランプリ

書くことと女装が教えてくれた、「人生を変える」ことの意味


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:TAKA(ライティング・ゼミ日曜コース)

 

 

「で、結局人生は変わったの?」 僕はふとそう思っていた。 「人生を変える」ライティング・ゼミに通い始めて4カ月。いよいよこの講座も終わろうとしている。 毎回の講義や課題を通じて、書くことへの苦手意識は少しずつ減りつつあるし、どのように書けば読む人にとってわかりやすくなるかも少しずつわかってきた。なによりも書くことそのものが少しずつ楽しくなってきた。そのような変化はあったとは思う。 ただ何か人生が大きく変わるようなことはあっただろうか。 突然銀行の口座の残高が2桁増える。 モデル級の美女に言い寄られる。 残念ながら僕の日常にそのような劇的な変化は今のところみられない。 いつになったら人生が変わるのだろうか。 そもそも人生が変わるとはどんな感じなのだろうか。 何か今までの人生でそんな感覚はなかっただろうか? 「せっかくだから女装してみたら?」 友人はいたずらっぽくそう言った。 数年前のハロウィンの時だった。 当時住んでいたシェアハウスの仲間内でハロウィンパーティをすることになっていた。しかし、僕は仮装のネタに困っていた。 「こういうのって本気でやらないと面白くないから。知り合いの貸衣装屋さんがそういうメイクもやってるから行ってみようよ」 こちらは面白さは求めていない、と言おうとしたけれども彼女の強引さに負けてその店に行ってみることにした。 「初めてなんですね。何かなりたいイメージとかあります?」 出迎えてくれた店長さんは小柄で可愛らしい女性だった。とりあえず似合うような感じにと伝えると、彼女は手際良くニットとスカートを選んでくれた。 「足の方は厚手のストッキングでごまかしましょうか」 店長さんはそう言うと黒いストッキングを僕に渡し、更衣室で着替えるよう指示した。 慣れないストッキングを恐る恐る履く。なかなかうまくいかず悪戦苦闘する鏡越しの自分の姿が目に入る。いったい僕は何をしているのだろう。僕はあまり鏡の方を見ないようにした。 次はウィッグ選びだ。 「ロングのストレートは顔が長く見えますから、最初はセミロングのウェーブかボブがいいかと思いますよ」 そんなものなのかと感心しつつボブのウィッグを選んでみた。 そしていよいよメイクだ。 ひやっと冷たい化粧水。 少し明るい肌色のファンデーション。 だんだんと自分の顔から凹凸が消え、能面のようになっていく。 アイラインにつけまつげ、さらに口紅をつけ、チークを付けるとだんだんと女性らしい雰囲気になってくる。 「それではウイッグつけますね。どうですか?」 ウイッグを付けた瞬間に鏡の中の人物が魔法がかかったように変化した。

「おおっ!」 つい驚嘆の声が口を突いて出てしまった。 「いる。こういう人いる。これなら大丈夫だ」 あまりのメイクの鮮やかさに感心しつつ、僕は自分に言い聞かせていた。 最後に靴を借り、いよいよ出発の時が来た。 これから会場に向かわなければならない。 「意外にみんな見てませんから大丈夫ですよ」 本当だろうか。 半信半疑のまま僕は店を後にすることにした。 歩けない。 この姿で外に出るのが怖くなった訳ではない。 単純に歩けないのだ。 理由はすぐわかった。ヒールだ。 いつも履いている靴と比べると竹馬にでも乗っているかのように不安定だ。 ゆっくりゆっくり転ばないように歩いていると、前方からカップルが歩いて来た。 すれ違いざまカップルがチラッとこちらを見たような気がした。気のせいだろうか。 僕はスマートフォンを見る振りをしながら少しうつむき、転ばない程度に早歩きをしていた。 それにしても暑い。 10月も終わりなのになぜこんなに暑いのだろう。 そうか。髪型のせいだ。いつもより長い髪の毛が頰と首を覆っているからだ。 こんなに辛い思いをしながら女性は毎日過ごしているのか。 感心しながら歩いているうちになんとか会場へ到着した。 パーティーも無事終わり、メイクを落として衣装を返しに行く道の途中で僕はぼんやりと考えていた。 さっきまであんなに険しかった道はいつも通りの歩きやすい道へと変わっていた。 あんなに暑かった首回りには秋のひんやりとした風を感じている。 そしてすれ違う人達はこちらの存在などまるで気づいていない。 不思議なものだ。 僕自身も周りも何も変わっていないのに、身に付けるものが違うだけで世界が変わったように感じていたのだ。そして確かに、あの時間だけは今までと違う世界で、今までと違う人生を生きていたのだ。 そうだ。あのときの感覚だ。 この4カ月間、天狼院書店のライティング・ゼミで課題を書いている時、あのハロウィンの日と同じよう感覚ではなかっただろうか。 大好きなアイドルのこと。 ライフワークのフェンシングのこと。 辛い仕事のこと。 亡くなった父のこと。 誰かに読んでもらうために対象を文章にする時に、その場面を、その時に感じたことを思い出しながら一言ずつ丁寧に言葉を紡いでいくことだけを考えていた。 そしてその時に今まで気づかなかった風景や自分の気持ちに気づいていた。あのハロウィンの女装と同じように書くことで少しだけ違う人生を歩んでいたのだ。 まだまだ今のところ僕の人生が大きく変わっている様子はない。 だけど書くことで今までと違う世界は見え始めている。そして書き続ければ人生を変えていける、そんな予感もしている。 だからこれからも書き続けずにはいられない。 「人生を変える」ライティング・ゼミはこれからが本番なのだから。

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2017-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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