メディアグランプリ

結婚後18回目になるお正月の過ごし方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:見海陽子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
ここ最近、急に寒くなってきた。ユニクロはフリースとヒートテックを買い求める人たちで大行列してる。今朝の折込チラシは、赤と銀と美味しそうなお肉の写真でキラキラしてる。
着実に冬の足音が聞こえてきている。
 
ここにきて、やっとこのお正月休みに何をしようか、家族で話題になった。東京で出会った主人と私は、それぞれ別の地方に実家がある。
毎年両家から「今度のお正月はどうするの?」と半ば督促のような声掛けがかかっている。すでに18年目の冬。保育園から高校生まで、あらゆる世代の子供を4人抱えている我が家は、タイミング的にも金銭的にも、機動力に欠ける図体のデカい重量級家族なので、毎年のごとく、のらりくらりと、結論を先延ばしにして、今になってしまう。
 
 
 
人生100年になるんだって。
それって、どういうことなんだろう。
 
よく、人生は春夏秋冬になぞられる。
若葉輝く青春の春。エネルギー充満の燃えさかる夏、次世代を産みだし艶やかに散りゆく秋、そして、全てをそぎ落とし、凛として立つ冬。
中高生の子どもがいる私は、それでも4歳の子どももいるので、今のところ秋真っ只中にいるのかもしれない。しかし世代交代は確実にやってきていて、子供達のほとばしる輝きと私の枯れ具合は、ちょうど反比例している。
着実に冬は近づいている。
 
だのに、人生100年ですって。折り返し地点の50歳には、間違いなく冬の入り口に立っているというのに。人生の後ろ半分を、ずっと冬で過ごすのだろうか。
そんなこと、できるのだろうか。
 
赤や黄の艶やかな木の葉が、最後の煌きをまとって、はらはら、ゆっくり、舞い降りてくる。今の私はこんな感じなのだろうか。
 
私の人生の目的は何なのだろうか。たった1回しかない私というひとりの人間は、あと60年弱をどう過ごせばいいのだろうか。
 
この冬休みは、受験生もおらず、困窮状態でもなく、近年稀にみる「選択の余地のある過ごし方」ができるはずだった。4人の子供揃って迎えられる貴重なお正月だった。本当は家族みんなで、ぱぁっとスキー旅行にでも出かけたかった。でも、この時期にいくら探しても、家族6人が過ごせる、許容範囲価格帯の宿泊施設は見つけられなかった。
 
 そして結局、最後は例年通り、お互いの実家を車で順番にまわるお正月がやってくる。自分の実家で娘として母親の手伝いをし、相手の実家にいけば嫁として働く。マンネリ化したおせち料理。マンネリ化したしつらえ。話す内容さえ想像できたりして、すべて既定路線の「年末年始」という時間を、過ごすのだ。
 
あーあ、おんなじ働かなきゃいけないんなら、東京の我が家で過ごすほうがずっと楽だな。1年に2回、私にとっては貴重な休息の時間を、リフレッシュどころか、かえっていつもより気疲れすることに費やすことに、ため息が出る。
 
私って、冷たいのかな。寒い冬の時代を過ごしている自分の親達と過ごすことに、義務感しか湧かないなんて。
 
人生100年、私は44回のお正月を過ごした。うち、最初の26回は、もちろん生家である実家で過ごし、うち数回はおじいちゃんおばあちゃんのいる別の土地で過ごした。数えるほどの少ない回数だったが、ピリリと引き締まるお正月の朝だとか、おせちの中身だとか、書初めの硯の匂いだとかが、昨日のことのように思い出せる。今は亡き祖父や祖母の思い出とともに、それは、私にとっては、お正月の原体験として、多分死ぬまで色あせることはない。
 
そして結婚以来ここ18回はお互いの実家をめぐるか、移動費さえも捻出できない年は、我が家でおせちをつくって過ごしてきた。
 
こうやって回数を文字にしてみると、自分の生真面目さにちょっと驚きつつ、ああ、あと何回、このスタイルのお正月が過ごせるだろうか、と我ながら当たり前のことに思い当たりだした。
 
私には、飽き飽きしたこの18回の既定路線も、9歳や4歳の子供には貴重な経験で、そして誰にとっても今回の「このメンバー」が集える機会は、後から振り返ればスペシャルなひとときなのかもしれない。当たり前で退屈なお正月も、本当はかけがえのない輝きの一滴なのかもしれない。私にとって、おじいちゃんおばあちゃんの家で過ごしたお正月が、今でも鮮やかによみがえるように。
 
人生100年、私の季節が秋だろうと、冬だろうと、今この一瞬が、本当は輝いている。
煌きは、若者だけのものじゃない。初めての経験だけにあるものでもない。本当は、退屈で飽き飽きした恒例行事も、実は輝きを内包した、ワクワクの瞬間なのだ。
 
 
いっちょ、キラキラの種を蒔きますか。
 
私の中から、何か光って煌くのが見え出した。
帰省の覚悟がキラキラしだした。
季節は晩秋から冬のはじまりへ。
 
人生100年、ときめいて、きらめいて、かがやかせよう。
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2017-12-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事