メディアグランプリ

便秘は身体のリボ払い


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:猫マグロ(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
便秘に悩む女性は多いと聞くが、男性にも便秘に悩む人はいる。
 
僕だ。
 
バレーボールに明けくれていた学生時代はいつでも快腸だったが、社会人になってからは運動する機会がなく、お通じも悪くなった。その上環境の変化に我ながら敏感で、駅のトイレでも、会社のトイレでも出ない。旅行先のトイレでも全く出ない。要するに、家のトイレでしか出ないのである。多い時でも3日に1回。平均して5日に1回くらい。これって異常ですよね?
 
ある朝、目覚めるとトイレに行きたくなった。トイレに行ったところで大抵は出ないのだが、とりあえず座ってみる。出かかっているのに出ない。経験者には分かってもらえそうだが、これが本当に辛い 。
 
しかし今回は、僕の大腸に雪解けの兆しが現れた。ぐっと下腹部に力を入れると、尻からたまごボーロみたいなやつが数粒出た。
今日はこんなものかと腹の力を抜く。が、どうも尻が気持ち悪い。とりあえずウォシュレットで洗ってみるが、まだ気持ち悪い。トイレットペーパーで尻を拭いてみると血がついた。
僕はまだ、この後大変なことになるなんて微塵も思っていなかった。切れ痔かなと。ほっといたら勝手に治るだろうと。
 
トイレから出て一歩目。どうもおかしい。何かが尻に挟まっている。パンツを脱いで、指でその何かがある場所にそっと触れてみる。ゴルフボールくらいの大きさでプニプニしている。しかし強い弾力があった。指先を見ると血がついた。
 
「なんじゃこりゃ?」
 
意を決して、母に告白する。
 
「お母さん、俺、ケツからなんか出てきた」
「は?」
 
母は戸惑っていた。僕が何を言っているのか理解できないようだ。この歳になって尻の穴を母に見せるわけにもいかないので、どう説明すればいいのかモゴモゴしていると、
 
「なんか知らんけど、病院行けば?」
 
なんて冷静な母。母は偉大なりとはこういうことだ。
病院に電話をする。
 
「すいませんあの、ケツから何かが出てきたんですけど。今日って空いてますか?」
 
電話がかかってきて開口一番、ケツから何か出てきたと言われたら笑ってしまいそうだが、状況を丁寧に説明する精神的な余裕がなかった。しかしさすが病院、全く笑われることもなく、今日の午後に来て下さいと言われた。
タクシーに乗り込み、運転手のおっちゃんと喋る。
 
「俺、今、ケツから何か出てるんです」
「は?」
 
おっちゃんを困惑させながら20分ほど車を走らせると病院に到着した。
受付を済ませ、すぐに診察に入る。医者は僕の尻から何かが出ているということは知っていたので、すぐにパンツを脱ぎ、ベッドに横になるように言った。
 
「あ〜」
 
患部を見て何か納得したらしく、「ちょっと待って」言い、どこかに行った。が、すぐに戻ってきた。腕に何か危険な香りがするものを抱えて。無色透明で素材はガラス。細長い円錐形。僕は即座に、次に何が起こるのか理解した。
 
「ちょっと我慢してくださいね〜」
 
ね〜と語尾を伸ばしながら、押し込む押し込む、どんどん尻の穴にそれを押し込む。なかなか入らないのか医者は指まで突っ込みはじめた。悶絶した。頭が真っ白になった。
 
「はい、終わりです。猫マグロさん」
「ありがとうございました」
 
尻にあった違和感が消えていた。
 
「猫マグロさん。お通じは?」
「全然です。週に2回くらい」
「ずっと?」
「ずっと」
 
「そうですか」
「運動して、あと排便時にいきまないようにしてください」
 
どうやら、便秘のせいでひとつひとつの便が大きくなり、排便時に肛門を傷つけて、そこに血栓ができ、この血栓が便といっしょに出てきたようだ。医者は器具と指で尻の穴の中に血栓を押し戻したというわけだ。帰りに寄った薬局で渡されたのは中にはちゅーっと入れて、外にはさっとぬれる、痔の薬だった。
 
僕のように、便秘が過ぎると痛い目にあう。便秘に悩んでいる人は本気で改善に取り組むことをおすすめする。クレジットカードのリボ払いと同じで、便秘も放っておくと腸の中に便という名の負債が増えて、これってマズいのでは、と思ったころには手遅れ。だから、痛い目にあうに前にちゃんと清算しておかないといけない。
この経験に懲りた僕は、 一日300gのヨーグルトに、バナナ3本、会社の食堂にきんぴらごぼうかごぼうサラダがあれば必ず取るようにしている。ヨーグルトは明らかに過剰摂取だが、効果は抜群で、最近は快腸そのもの。
繰り返しになるが、今便秘に悩んでいる人は事態を深刻に捉え、行動に移してもらいたい。
 
便秘の皆さん。さあ勇気を出して、バナナの皮をむきましょう。新しい未来が待っているかもしれません。
 
 
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2017-12-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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