プロフェッショナル・ゼミ

やりたいことなんて幻想だ!《プロフェショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:中野 篤史(プロフェッショナル・ゼミ)

好きなことを仕事にして生きていくって、
かなり難しいことだと思いませんか? 

巷にはそのような自己啓発本が結構ありますよね。「好きなことを仕事にしよう」的な。でも大体の人は無理だと思うのです。少なくとも私には出来ませんでした。今振り返ると、やりたいことを探し、仕事にしようとしていた自分に苦笑してしまいます。

正直に申し上げますと、そりゃもう「ライフワークを見つける」とか「好きなことを仕事にする」とかいう類の本は沢山読み漁りました。読んでいると出来そうな気がしてきますから。

「さあ、あなたのワクワクすること書き出してみましょう!」ってなワークがあれば、買ってきたノートへ書きだしたりもしました。正直気持ちよくなります。
だからこのような本は売れるのだと思います。

ただそれは、酒を飲んで酔っ払って、気持ちよくなっているのと、あまり変わりません。
酔って寝て起きた次の日は、素面で通勤電車に乗り込むのが現実ってもんです。

ところがどっこい、不思議なことが起こりました。実はそんな私は今、好きな仕事をしてお金を稼いでいます。そこには、ある法則がありました。

少し古い話から始めます。
昔々、私は高校球児でありました。毎日毎日、それこそ年に数日しか休みの日がない程、部活に明け暮れておりました。人生が野球だったとも言えますし、自己アイデンティティーは、
もはや「4番バッター」だったと言っても過言ではありません。もちろん将来の夢はプロ野球の選手です。残念ながら甲子園出場は叶わず夢破れました。それから、大学へ進学し、そこでも首都大学リーグへ所属する野球部に入ります。

大学に入ってから2年目に、あることに気づいてしまいました。自分にはプロの選手になるほどの才能はないことを。一応、指導者という道を選ぶ選択しもありましたが、そこには興味を持てませんでした。

二十歳そこそこで、人生の目標を失ってしまった私。失意のどん底に落ちるのかと思いきや、
そんなことはありませんでした。当初は日々のキツイ練習から開放された自由と、「学生」という立場を謳歌していたくらいです。ただ世の中、楽しいことだけが一生つづくわけがありません。私の人生に、やや暗雲が立ちこめてきます。

学生生活も終わりに近づいてきた頃、ついに就職というネクストステージへの招待状がやってきました。当時は就職氷河期といわれた時代です。周りの友人たちが企業やら教員試験を受けていましたが、かなり悪戦苦闘していたようです。そんな中、私は1人取り残されていきました。それは、内定がもらえなかったからではなく、私に“やりたいこと”がなかったからです。

小学校から追い求めていた夢がなくなり、就活すらしていませんでした。「さて、どうしよう?」と、身の振り方を考えてみるも、何もでてきません。ボッカリとあいた私の中の虚空は、何か埋めてくれるものを求めているようでした。

とはいっても、生活していくためには何か仕事をしなくてはなりません。つぅーわけで、アルバイト情報誌フロムエーを買ってきて選んだのは、六本木にあるHUBというイングリッシュ・パブ。そこには場所柄、毎夜多くの外国人達がやってきます。これまで人生の殆どを部活ですごしてきた若者にとっては、とても刺激的な仕事でした。楽しく続いたバイト生活ですが、1年半程で終わりを迎えます。夕方からの仕事が、身体になじまなかったのです。「この仕事を、今後何十年も続けることは出来ない」。そう判断した私はバイト辞めます。そして、また悩み始めました。「自分は、何がやりたいのだろう?」と。

そもそも私は何者なんだ? 何をするために生まれてきたのか? 今思えば考えても答えの出ない、どちらかといえば負のスパイラルです。自分の好きなことを書き出してみても、出てくるのは海外旅行とか、キャンプとか、外で遊ぶことだけです。「別に旅行会社で働きたいわけじゃないんだ」と、仕事につながりそうなものは、一向に見つかりません。そんな鬱屈をした思いを抱えながらも、背に腹はかえられず、仕方なく情報誌フロムエーを買いにいくのです。

次に私が選んだのは営業の仕事でした。それから、3年づつくらいのスパンで会社を2社渡り歩きます。働き始めると、営業としてはそれなりに成績も残すことはできたし、なんとなくやりがいのようなものも生まれてきます。ただ、3年もすると飽きてきしまうのです。そしてまた、やりたいことが何なのかすら、わかないくせに「やりたい仕事」を探し始めるのです。勝手に命名するなら、もはやライフワーク症候群です。この辺から、なんとなく気づき始めます。“やりたいこと”なんて見つからないんじゃないかと……。年は32歳を過ぎていました。「32歳も過ぎて、いい大人がなにやってんだ」と、思われた方、もう大正解です! たまに実家へかえれば親からも「いつまでも、フラフラしてないで」と、言われる始末です。

そんな私が「夢をかなえるぞ!」と鼻息荒く、チャレンジしたのはネットショップでした。ネットショップで稼げれば、海外旅行へ好きな時にいけるぞと。もう、失礼千万ならぬ浅はか千万、かつ愚の骨頂とは私のことです。業界の知識も経験もないただの若者が、大した計画もなく個人事業主になって、なんとかなるはずもないのです。案の定、そんなネットショップは鳴かず飛ばずで、無一文となりました。

「あぁ、もうビジネスはこりごりだ」。そう思った私は、またワクワクすることを探しました。そういえば、わたしは小さなころから自然がすきだった。海や山や川で良く遊んだ。木登りもよくやった。そして、わたしの部屋にはいつも観葉植物があふれていて、育てるのが上手だったことに気づきました。「そうだ、もしかしたら私は植木屋に向いているかもしれない!」。今度こそ、やりたいことを仕事に出来る、そう確信しました。すかざず「なんやそれ、ジブン、サル以下の思考回路やで」と、宇宙兄弟のやっさんからツッコミメールが入ること間違いありません。

30歳を過ぎて植木屋の見習いを始めた私ですが……。やってみてわかったことがあります。そう、何事も経験してみないとわからないことがあるのです。それは、冬寒い! ということ。小雨程度では休みにならないので、そんな日は手も足も痛いという感覚すらなくなる寒さです。そして、私は木を切るよりも、親方や先輩たちが切った枝を、庭を這いつくばって集める作業が殆どでした。あたりまえです、見習いですから。そんな、少しの想像力があればわかることすら、思いつかない私でした。つぅーわけで、植木屋さんは半年程でリタイアしてしまいます。

「やっぱり、お仕事は冬暖かく、夏涼しいオフィスワークがいい」。そう思っていた頃、以前営業の仕事をしていた時の人間関係のつてで、IT企業の営業職の面接までこぎつけます。殆ど無一文状態の銀行口座と、泥んこまみれの自尊心しかない私には、もはや“やりたい仕事”を探す思考の欠片すら残っていませんでした。業界の方ならわかるかもしれませんが、30歳半ばでIT業界未経験者には、結構ハードルが高い就活です。ところが、奇跡的に内定をもらうことが出来ました。ただそれは、私にとって新たな試練の始まりだったのです。

営業同行の初日のことです。「シングル・サイン・オンをするにはAPI連携して……云々」。先輩社員に同行したお客様との打合せでのことです。デスク上をIT用語がバンバン飛び交っていました。「マジか! 言葉が全くわからない」私は愕然としました。日本語が話されているのに、何も理解ができないのです。

これは、仕事をする上で致命的な問題でした。つぅーわけで、IT営業もそそくさとリタイアする……、わけにもいかず。IT関連の書籍を買い集め、ノートにはわからないことを調べあげ、悪戦苦闘しながら働く日々がしばらく続くのでした。幸い、職場にはいい人が多く、人間関係には助けられました。

半年程で業界用語には慣れましたが、IT営業としてはあまりパッとしない時期が数年続きます。この時期私を支えていたのは、冬は暖かく夏は涼しいという快適なオフィス環境です。そう人類の歴史は快適な環境を求めて旅してきた歴史でもあるのです。氷河期のような植木屋での経験も無駄ではありません。

そして、入社から7年の月日が流れました。2018年、年始休み明けの始業日、全社社員集まっての集会での出来事ことです。約3時間の集会も終盤に近づいたころ予期せぬ事態が起こります。眠気覚ましにトイレで用をたし、会場へ戻ろうとする私の耳に、張りのある女性の司会者の声が聞こえてきました。「上半期、受注でこの人の名前を聞かない月はありませんでした。中野さん○○賞の受賞です。前へどうぞ!」。あらま、中から中野さんを呼ぶ司会者の声です。そして中野さんは会社に私1人しかいません。あわてて会場に戻ると、全身を包み込むような拍手で迎えられました。

今私が、IT営業としてそこそこ成果を上げられているのには根拠があります。それは、1万時間の法則です。これはマルコム・グラッドウェルさんの著書『天才! 成功する人々の法則』の中で紹介されています。どんな技能も1万時間の練習を超えると“本物”つまりプロになるということです。

私がこれまで7年間働いてきた時間は、1万5千時間を越えています。トイレに行ったり、ランチを食べたりの時間をさっぴいても1万時間を越えます。つまり営業としてもプロレベルになる時間をこなしていたということです。

それから、もうひとつ面白いことが起こります。時間を重ねスキルを習得してくると、段々と仕事が面白くなってくるのです。昔から「好きこそ、ものの上手なれ」といいますが、仕事においては、その反対のようです。「上手こそ、ものの好きなれ」だと私は考えます。続けているうちに上手になり、上手になると面白くなり、そして仕事が好きになる。多くの人は、こっちのタイプなんじゃないでしょうか?

だから、今私が「仕事は好きですか?」と聞かれれば、「はい」と答えます。でも「好きなことを仕事に選びましたか?」と聞かれれば「いいえ」です。ここに、「好きなことをみつけて仕事にしよう!」という類の本と、大きなギャップがあります。もしイチローが「好きなことで成功しよう!」という本を書いたら「それできんの、ジブンだけやで」と、やっさんからのツッコミメールが届くでしょう。でも、実際自己啓発本ってイチローのような人たちが書いているのではないでしょうか? おそらくそれが出来るのは、極一部の限られた人たちだけです。普通の人が真に受けてやると失敗する可能性が高いのです。

ここで、みなさんに朗報です。実は最近、これまでの自己啓発本とは、正反対のことが書かれた本を見つけました。それは『今いる場所で突き抜けろ!』(カル・ニューポート著)です。帯には「やりたいことなんて幻想だ」と書かれています。もし、今あなたが、好きなことで独立しようとしていたり、ライフワークを探しているのなら、一読することをお勧めします。そこには、なぜ私のような人間が失敗したのか、そして今の私がなぜ好きな仕事をして稼げているのかという法則が、わかりやすく書かれているからです。それから、もしライティングゼミの方が読めば、文章を書く量が加速すると思われます。

「あっ! そういえば私……。野球も好きで始めたわけではありませんでした。親しい友人に誘われたから仕方なくだったのを、思い出しました」。

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