メディアグランプリ

受け取り上手になりたければゲームで遊べ


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記事:猪瀬祥希(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「ふぅー、これでやっと先に進める」
汗と一緒に手に握っているのは、ゲームのコントローラー。
まとめて休むことができた年末年始に、久しぶりに本格的なテレビゲームで遊んだ。

本格的な、という意味は、いつでもどこでも短時間で楽しめるスマホ向けゲームとは違い、自宅のテレビ画面で遊ぶゲーム機のことだ。
そのゲームの主人公の最終目的は、世界を闇で支配する魔王を倒して人々を救うこと。
主人公は、広い世界を駆け巡り、多くの登場人物と出会い、魔王の手下である魔物たちと戦いながら、大小様々な困難を乗り越えながら進んでいく。
そして、主人公が大きな困難を乗り越えるときには、必ずといっていいほど周りの登場人物が助けてくれる。

5年前。会社を辞めるとき、起業の準備には十分な時間と労力を使っていたはずだった。
少なくとも「現実は甘くない。しかし、自分なりにここまで用意したのだから大丈夫。きっとうまくいく」と、思える程度までは。
しかしというべきか、やはりというべきか、待ち受けていた現実は想像をはるかに超えて厳しいものだった。
最初の半年間で、お金や持ち物などの目に見えるものから、自尊心や信頼関係などの目に見えないものまで、色々なものを失った。
ちょうどその頃に古くからの友人に言われた言葉が、今でも頭から離れない。

「人が親切に手を差し出しているのに、なんで払いのけるの?」
そのときの会話の流れは、すっかり忘れてしまった。
おそらく、話を聴くよとか、知り合いを紹介するよとか、そういう会話だったのだろう。
何か手伝えることはないのか、できることがあれば何でも言ってほしい。
今思えば、友人の目には私が相当困っているように映っていて、そんな気持ちで接してくれていたのだと思う。

しかしあのときの私は、そうした親切な気持ちを踏みにじるような返事を反射的にしたに違いない。
例えば、「大丈夫です」とか、「心配には及びません」とか、「もう少し頑張ってみる」とか、そういう言葉だ。
困っているからといって誰かを頼るのは、その人の迷惑になる。人に迷惑をかけるのは、いけないこと。だから、一人でなんとかするしかない。
なぜ、そう思いこんでいたのか。その心当たりは、幼いときの体験にある。

父親の暴力を受けていた記憶が、はっきり残っている。
当時、躾のための暴力、つまり体罰は当たり前の時代だった。
そんな時代に周りの大人に助けを求めても、誰も助けてはくれない。
それでもあまりに辛いときは、母親に助けを求めた。すると今度は、私の代わりに母親が殴られる。その姿を見るのは、とても悲しくつらかった。それなら自分が殴られていたほうが、よっぽどましだ。
そう思って、いつもじっと耐えていた。

問題を一人で抱え込む癖は、この頃に身に付けてしまったのだろう。
大人になった今でも、あまり変わらない。
別に何でも一人で解決したいという強い意志があるわけではないし、周りを信頼していないわけでもない。しかし、どんなに困っても相談しないのだから、周りから誤解されても仕方ないし、実際に誤解されることも多い。
本当の理由は、大切な人たちを自分の問題に巻き込んでしまうことを、とても申し訳なく感じてしまう。そのような自分の心の問題なのだ。

問題を自分一人で抱えこんでおけば、大切な人の貴重な時間を奪うことはないし、迷惑をかけることもない。だから、親切な申し出を断る。
しかしそれを言い換えると、相手の気持ちを受け取らないということ。さらに言えば、周りの人の出番を奪っていることだ。相手に配慮しているふりをして、実際は自分が遠ざかっているのだ。
こんな人付き合いをしていたら、どんな心優しい人だって自分の周りから離れていってしまう。

ゲームでは主人公の他に、数多くの登場人物が存在している。
例えば、戦いをより有利に進めるための道具をプレゼントしてくれたり、なかなか倒せない敵の弱点をこっそり教えてくれたり、次の場所まで道案内してくれたり、といった具合だ。
ゲームの物語とはいえ、一人で困難に立ち向かうのは無理で、周りの支援が必要だということをつくづく感じる。
人生だって同じだな、って思う。
生まれてからずっと周りの支援を受けることなく、たった一人で生きてきた人なんて誰もいないはずだ。

そして、ゲームと現実世界には決定的な違いがある。それは、現実では周りの人々と感情を分かち合うことができること。
他人と分かち合うことで、苦しみや辛さは小さくなり、喜びや嬉しさは大きくなるのだ。
このことを通じて、自分にとっても周りにとっても幸せが生まれる。
困難は乗り越えることが目的ではなく、周りと幸せを共有することが目的だったのだ。
分かち合うためには、まずは受け取ること。
相手から差し出されるものは目に見えるかもしれないし、見えないかもしれない。しかし、形は問題ではない。
どんな形であれ、それを受け取ることが大切なのだ。

大人になってからずいぶん時間が経ってしまったが、こんな大切なことにやっと気付くことができた。

これからは、受け取る人生を生きることにする。
そして、たくさんの幸せを生み出して、自分も周りも幸せにするのだ。
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2018-01-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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