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私に「40歳になっちゃったね」と言った友人の、今度の40歳の誕生日に……


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:相澤綾子(ライティング・ゼミ特講)

 

「40歳になっちゃったね」

2年前、友人からの、誕生日おめでとう、の後に続いたのは、その一言だった。ドキッとした。確かに、一般的には、それが正しいのかもしれない。でも、もともとそういう考え方が薄く、さらにここ数年、色んな人から影響を受けて、女が歳をとるのは残念なこと、的な空気から離れていたので、驚いた。正直なところ、人生の折り返し地点という気持ちはあったけれど、この後半をどう生きるかワクワクした気分だった。また一年無事に歳を重ねられたし、この次の一年はもっといろいろ身に着けて、ぐんと成長しようと意気込んでいた。

もしかして私、本当は、彼女に嫌われてるのかな、と思ったりもした。

「そうだね」

本当は、自分が誕生日のことをどう感じているか、うまく説明できたらと思った。けれど、自分より若い彼女への負け惜しみみたいに受け取られたら残念なので、やめておこう。

1か月後の彼女の誕生日に、メールを送ると、「38歳になっちゃったよ……」という返事が返ってきた。もし、本気でそう思っているのだとしたら、それはとてももったいない。

 

振り返れば、歳をとることは悪いことではないと思い始めたのは、子どもの頃だったかもしれない。

母親や祖母に「誕生日おめでとう」と言うと、ごく小さい時は「ありがとう」と喜ばれた。けれども、10代になったあたりから、「歳をとっちゃったよ」といった言葉が返されるようになる。そんな時に、「年齢なんか関係ないよ、大事なのは見た目と中身だよ」とか、「無事に〇〇歳を迎えられて良かったじゃない」などと返しながら、自分の中にその考え方が染み付いてきた気がする。

 

漠然とした「大事なのは見た目と中身」というイメージが、より具体的になったのは、数年前、とあるフランスのマダムと出会ったことであった。私はちょうど1歳10カ月と4カ月の子育て中で、毎日が必死だった。そんな中、毎日の子どもたちを連れての散歩で、衝撃の光景を目にしたのだ。

 

そろそろ杖が必要ではないかと思われるような白髪のご婦人が、花柄のスカートを風になびかせ、ハイヒールで歩いている。

しかもそのハイヒールは、かかとががっちりしているタイプではなく、ピンヒールに近い部類だ。ぴんと背筋が伸びている。

 

時折手をつなぎながら歩くご主人との会話が、すれ違いざまに聞こえて、フランス人ではないかと思った。典型的な美人というわけではない顔には深くしわが刻まれ、大きなシミもあり、頬は痩せていた。けれど、優しい笑みを含んでいた。

 

他方の私はといえば……。髪は背中の次男に引っ張られてほつれ、化粧もせず、ジーンズにアースカラーのウィンドブレーカーを羽織り、長男をベビーカーで押して、ふくらはぎがだるくて、多分泣きそうだった。当時30代半ばだった。そのマダムは、おそらく私の2倍かそれ以上の年齢だったと思われるけれど、ごく自然に、女であることを大切にしていた。

フランス人だから、そういう文化だから? 日本人には似合わない? 私には花柄のスカートではないかもしれないけれど、あんな風に美しくなりたいと思った。

翌日から私は、せめてストールだけでも、とひっぱりだしてきて、差し色を取り入れた。

 

「年甲斐もなく」とか「若作り」という言葉に臆して、つい地味な方へ、おとなしい方へと行きがちである。でも、よくよく観察してみると、元気な女性たちは、どこかそのフランス人マダムと同じような雰囲気を持っている。はっとするような素敵な色を身に着けていたり、ゆらゆらする大ぶりイヤリングをつけていたり……。明るい色がその人を元気にするのか、色んなことにチャレンジしているから、明るい色に心引き寄せられて、身に着けることになるのか?

女らしくいることは、自分らしくいること、今の自分を好きでいること、それが幸せの近道だと思う。そして実はその陰にはやはり努力も必要だ。腰や背筋が曲がりつつある状態で、筋肉や関節に負担のかかるハイヒールを履きこなすことがどれだけ大変か。私など、子どもを追いかけ回したり、保育所の送迎で走り回る生活で、フラットな靴ばかり履き続けているので、たまに仕事の関係でハイヒールを履くと、本当に疲れてしまう。歳を重ねつつ、そういう努力を続けることも含めて、幸せになれるということなのだ。これからどんな風になろうかと想像すると、ワクワクしてしまう。

 

さて、私は今少し迷っている。私に「40歳になっちゃったね」と言った友人の、今度の40歳の誕生日に、彼女の誕生日に本をプレゼントしようかどうしようか。仕事も充実していて、お子さんたちも丁寧に育てている彼女が、もし歳を重ねていくことが楽しみになったら、もっともっと幸せになると思う! この気持ちを伝えることができるだろうか。

 

ドラ・トーザン「フランス人は年をとるほど美しい」

 

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2018-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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