メディアグランプリ

とあるへぼ青年の唄


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:へぼい青年(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「だるい。もはや布団と同化してぇんだけどなぁ……。頭痛いしもう嫌だ」
とある田舎の一軒家の一室で、寝ぼけた声が発されては消える。なんだかぶつくさ言っている。
寝ぼけた不機嫌そうな声とそれに比例する髪のボサボサ具合。寝相が悪いせいか、毛布と枕が変な場所に移動している。
 
そんな様相でとある冬の平日の昼、ひとりの青年が起床する。午後1時、普通の社会人は働き盛りであろうこの時間帯にノソノソと起き上がる。昼夜逆転生活がすっかり板についてしまったらしい。
 
だけど、その青年は紛れもない自分だった。
 
 私は、現在社会的に見て失業中である。3月に大学を卒業して以来、就活で希望をしていなかった会社に年内までは働いていた。しかし、発達障害が発覚して、会社を退職することになった。
 
 簡単に言うと、発達障害とは脳機能の神経伝達の不具合から生じる精神上の疾患の事である。色々と種類はあるが、仕事を処理したりするスピードや、対人折衝、数的能力や読字能力に極端な苦手さを感じる障害の事である。
 
発達障害故の特性をカバーできずにいた会社員時代だった。残念ながら、自分の能力で発達障害と職場を調和させることは難しかった。そんな辞め方をすることになったため、後悔もあるし、気落ちする機会は多い。
 
特に、周りの優秀な友人たちを見ると、そういう気分になる。幸か不幸か人付き合いに恵まれたため、周りは優秀な友人ばかりであった。生産性と有能さに満ち満ちている。
 
だというのに、自分はこんな状況なものだから、もはやため息しか出てこない。そんなアンニュイさと、ここ最近は常に同居している。おまけに、体内時計も昼夜逆転中だ。
 
とりあえず、やや遅いながらにハローワークへ行く。収入の問題もあるし、働きたい気持ちは自分としても強く持っている。原付に乗って20分ほど、川沿いの道を走る。最近運転していたらズッコケてしまったので、スピード抑え目で注意深く。
 
来るたびにいつも思うのだが、ハローワークの明かりはなんだかうす暗い。失業中という事もあってちょっぴり気が滅入る雰囲気がする。相変わらず消えないアンニュイさを彷彿とさせる、微妙な暗さだ。
 
そんなことを思いながら求人を見つけたり、応募書類を書いたり、窓口の職員さんに応募を相談したり。そんな事をしながら一日を過ごす。なんとか整えた応募書類を書き上げて、ポストへ投函する。そんな一日を今日も過ごしていく。
 
家に帰って一日を振り返ると、どうしても周りと自分とのギャップにイライラする時がある。夜寝る前に、どこで人生間違えたのかと原因を追究する。就職・仕事・学業で惨敗を喫してきたここまでだったから、随分と無気力になった。「俺、何やっても意味ねーやん」という気分を持ったり。
 
悔しい事が続いたここ最近の記憶を味わってみると、悲しい気持ちになる。味わってみるとなんだか苦い味がする。出来る事なら味わいたくなかった味である。世間一般で見る勝ち組のプランから外れたり、自分の希望とする人生の多くを諦めざるを得なくなってしまった。
 
……。
 
 ……。
 
……。
いやいやいや、待て待て待て。寝そべりながら後ろ向きな思考を打ち消す。
 
 だけど、だけどである。それで思考を腐らせてはいよいよ「終わり」なのが現実なのだ。
 
それでもなお、それぞれが生き辛さを持っていても、私たちは生きなければならないのである。
  
苦い思い出や経緯を、苦いだけで終わらせるには余りに悲惨すぎるように私は思う。残念な記憶に引き摺られ続ければ、脳の中でその悲しさは延々と再生される。そうなれば、いよいよ苦しいだけである。一度しかない人生を憎しみに執着させるのは悲しすぎる。
 
私たちは、どうしても現実世界から逃れられない。どこまで行っても生きている限りは現実世界と触れ続ける事になる。
 
それはつまり、与えられたものや環境でやり繰りし続ける、という事である。自分が持った材料で、生きていくという事である。自分を辞めることは現実の問題として、不可能である。
 
そうなると、どんな時でも誰でもとるべき選択肢は「やっていく」ことなのであろう。残酷だけど現実を改善するにはそれしかない。
 
私ごときが言うのもおこがましい気もするが一人一人の生き辛さはそれぞれ違っていて、お互いに分かり合える瞬間は少ないし、どんなに気張っても想いや感情は脆くて折れやすい。持っている材料が豊富な人もいればそうでない人もいる。厳しい状況の人に、「やっていこう」と声をかけることは時に残酷である。過激な表現かもしれないが、「お前は苦しめ」という言葉と同義になることすらあり得る。
 
それでも「やっていこう」という気持ちを捨てずに生きていくしかない、と考えた。時には助けを借りながら、それでも私たちはやっていくのである。足りないものをなんとか補いながら生きていくのである。
 
結局、ここまで長々と書かせて頂いたが私が伝えたいのは「色々あるけど生きていこうじゃないか」ということだ。
 
そんな事をこの文章で伝えたいと思った私は、早く寝てしまうこととした。辛い状況や出来事もあるけど、明日をやり繰りし、ちゃんと生きるために。
 
 

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2018-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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