メディアグランプリ

下り階段、好きじゃないけど、嫌いじゃない。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:廣瀬敦子(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
頼むから、逆行して上ってこないでくれよ。
私はしっかり手すりを握り、よいしょ、とぎこちなく1歩目を踏み出しました。
 
そのとき、階下のホームに電車が到着したのが見えたのです。
 
上り階段は疲れるから気にしていたけれど、下り階段は意識していませんでした。
むしろ、上り階段のほうが今は楽。
こんなに下り階段が嫌いになる日が来るとは。
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下り階段で立ち尽くしていると、電車のドアからどーっと人が吐き出されて階段に押し寄せてきました。
 
この手すり、死んでも離さないぞ。
 
私は心に決めて、ぎこちなく二歩目を踏み出しました。
 
***
 
今年の目標は、痩せて大学時代の体重に戻すことです。
1月のある日、Facebookでそう宣言すると、友人から1件のコメントがつきました。
 
「30日間スクワットチャレンジ、一緒にやらない?」
 
検索してみると、カレンダーに数字を書き込まれた画像がでてきました。
30日間スクワットチャレンジ。
1日目は50回、2日目は55回。30日間分のスクワットの回数がスケジューリングされているものでした。
 
ありがとう! やってみる! とコメントを返したはいいものの。
運動も、継続的に何かをすることも苦手な私の腰は重いままでした。
 
できれば、そのまま忘れてくれないか。
 
しかし、1年の始まりの1月、ここでやらずして諦めるのは、始まりから挫折している気がするではないか。なんでもいいから、今までやったことの無いチャレンジを始めたほうがよいのではないか。
しかも、私がうだうだしている間に友人は着々とノルマをこなしてその様をSNSで報告しているではありませんか。
 
なんだと。
負けるわけにはいかない。
 
何かを継続するときに、誰かと競うのは効果的だなと思いました。
しかもSNSで報告するのは効果的です。
 
三日坊主なくせに負けず嫌いな私は、ついに重い腰を上げることにしました。
幸い、スクワットは着替えたり、この寒い季節に外に出る必要もありません。
誰かに見られることもありません。
 
1日目のノルマは50回。
 
運動の日課が全く無い私にとって、この回数は正直無理なように思えました。
ただ、このチャレンジには、私の心の支えになってくれそうなお心遣いがあったのです。
 
1日のノルマを一度にやらなくてもよい。
1日のうちなら、分けてやってよい。
50回なら、2回に分けて25回。
 
それならできそうな気がする。
 
私は試しに25回をやってみました。
息は絶え絶え、足はバッキバキになりましたが・・・・・・なんとか、できました。
 
毎日のノルマを自分が出来る分量になるように、細かく分割すれば出来る。
ノルマは5回ずつ増えていくけれど、1日のノルマを半分にして、2回に分けてやれば、しばらくは続けられるかもしれない。
 
その日は25回ずつ、朝と夜にやってノルマを達成しました。
 
次の朝のことです。
 
運動を全くしていなかった人が、いきなり運動をするとどうなるか。
答え。筋肉痛がすごい。
 
社会人になって以来、感じたことの無いレベルの筋肉痛でした。
特に下り階段を下ることが大変になりました。
日々、こんなに自分が下り階段を降りているなんて気付きませんでした。
イテテ、イテテと言いながら一段一段降りる羽目になったのです。
 
しかし、良いこともあるのです。
 
筋肉痛に久しぶりになってみて気付いたのですが、
嫌なことがあっても、考えられなくなるのです。
頭の中は、筋肉痛のこと。そして、下り階段をいかに回避して日々生き抜くかで精一杯。
しかも、効いている、頑張っている、という謎の達成感があるのです。
この調子で、2日目のノルマ55回、3日目のノルマ60回をこなしていきました。
もちろん一度にはできないので、朝と夜に二回に分けてやっていきました。
 
そして、迎えた4日目。
 
この日のノルマは、0回。
 
このチャレンジ、前もってスケジュールの中に休みが設定されているのです。
疲労も溜まってきて、挫折しそうな時に、前もって計画的に休みを設定してしまうのも罪悪感が発生しなくてありがたいなと思いました。
 
その日はありがたく休み、太ももの筋肉痛も解消されました。
 
そして、リフレッシュした状態で迎えた5日目。
ノルマを確認した私は、愕然としました。
 
1日目50回、2日目55回、3日目が60回ときて、5日目のノルマは65回だと思っていたのです。
 
5日目のノルマはなぜか80回でした。
 
明らかにおかしいと思うのですが、
1日休んで回復したでしょ?ということなのでしょうか。
 
40回を2回、と考えればなんとかできるかもしれない。
そう考えた私は、40回やってみました。すると、毎日ちょっとずつ増やしていくことにより、
慣れてきていたのか、40回、なんとかできたのです。
 
初日は25回が精一杯だったのに、40回できるようになった。
わずかでも良い変化が見られるということも継続することには大切なことです。
変化が少しでもあれば、続けられる。
 
ただ、そのとき、私はもう一つの変化に気づいたのです。
 
太ももがバッキバキの筋肉痛では、なくなっている。
 
負担に慣れてきてしまったのか、太ももが筋肉痛ではなくなってしまったのです。
下り階段を徹底的に避け、歩くときは常に気にし、他のことが考えられないほど筋肉痛だった太ももが、もうバッキバキじゃないなんて。
 
大変だったけど、ちょっと嬉しかったのに。
 
私は、追加で10回やってみました。
 
すると、少しだけ、太ももが重い感覚が戻ってきたような気がしました。
 
あ、やばい、楽しいかも、しれない。
 
まんまと、お心遣いの術中に、はめられた気がしました。
 
 
***

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2018-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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