プロフェッショナル・ゼミ

私はカッコ悪い人間になりたくて仕方がない《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:松下広美(プロフェッショナル・ゼミ)

うおおおおおー!

今、私の目の前に海があったら、叫びだして飛び込んでしまいそうだ。

もうやだっ!

パソコンが故障した、って言ったらなんとかなるだろうか。流行っているインフルエンザになってしまったとでもイイワケしてみようか。いや、イイワケって言ってる時点でなんともならないよ……。
あとちょうど24時間。
ドラマ『24』なら、ピッピッピとタイマーの音と共に爆破や暗殺などの事件が起きてドラマが始まる時間。まさかそんな事件が起きてもらっては困る。いや、できれば事件が起きてほしい。殺人とか物騒なことじゃなくていいから、笑えるような、何かネタになるような事件が……。

今週は金曜日が休日だった。
この冬最大となる寒気が日本列島を覆い、私の住む名古屋でも最高気温が3℃とか。家の中でも寒い。ガスファンヒーターがフル活動しても、古い家のすきま風にやられる。寒気が強すぎる。できれば布団から出たくはなかった。ずっと、一日中でも布団の中にこもっていたい……。
結局は会社に行くのと同じ時間に起きて、スマホをいじりながらテレビの前に座っていた。スマホとテレビの情報は頭の中の何処にも引っかからずに、さらさらと流れていく。
頭の中にとどまり、リフレインされているのは「書かなきゃ」というフレーズ。
このままテレビの前から動かないと、状況は変わらない。
そうだ、スタバへ行こう。
平日の昼間なら空いているだろうし、コーヒーを飲みながら、心地よいBGMを聴きながらなら、きっとはかどるはずだ。
パソコンをリュックに入れて、スタバへ向かう。

最初の一文字を打ち始めるのに時間はかかったけれど、キーを叩き始めたら順調に進む。
ドリップコーヒーを飲みつつ、「よし、今日はイケる」と数時間後には書き上がる姿が見える。

と、ここまでは順調だった。

1000字くらいまできて、少しずつ、キーを叩く速度が遅くなってきた。
仕事で情報入力をすることもあるし、かつてチャットで鍛えたキーボード入力。独自の方法でやってきたので、完全なブラインドタッチではないけれど、キータッチにはそれなりに自信がある。
キーを叩く速度が落ちているということは、頭の回転が鈍ってきているということだ。いや、考えながら書いているのだから仕方がない。限りある自分のメモリをフル回転させる。フル回転させていたはずなのに……。
2293文字で止まってしまった。
その文字数でも、完成していればいい。でも、そうではない。
材料を切って下準備も完璧だったはずなのに、生煮えの料理のような記事。
余裕で間に合うはずだった約束に、乗り継ぎに失敗して一時間に一本のバスに乗り遅れたような気分。
もう、とにかく中途半端な、全て消してしまいたくなってしまった。
3時間ほどかけたはずなのに、記事が完成もしないで、白紙に戻ってしまった。

「38歳って、恐くない?」
仕事中に年齢の話になって、改めて自分の年齢を言うと、恐ろしくなった。
「ハタチの頃に、30歳のおばさんも想像つかなかったよね?」
「いや、30でおばさんって、とっくに通り越してるし!」
部署内にはアラフォー女子ばかりで、自分たちのことなので言いたい放題だ。
年齢で言えば、同僚とは並んでいるように見えるけれど、自分の状況を考えると、非常にイタイ。

38歳。
独身バツなし。もちろん子ナシ。
実家暮らしで、ほとんどの家事は母親任せ。
部屋はテレビで見るゴミ屋敷ほどではないけれど、空き巣が入った後のように何か盗まれてもわからないくらい散らかっている。片付けようとしたら余計に散らかってしまって、寝るところもなくなった。最近は母の部屋に布団を持ち込んで一緒に寝ている。
休日はペットと戯れつつ、スマホを見たり本を読んだり。
彼氏もいなければ、気になる異性も全くいない。言うまでもないが、言い寄られている異性もいない。婚活はとっくの昔に失敗して、一番最近誘われたコンパには50オーバーのおじさまばかり。しかも既婚者が半数以上! 期待していた私がバカだったと、恋愛に使う気力を無くしてしまった。
結婚して子育て真っ最中の同年齢の友達には、そろそろマンションでも買ったら? って老後の心配をされる。
最近、初対面の人には、よく子育て中の主婦と間違われるし……。

改めて文字に起こすとイタすぎる。

ハタチの頃に想像していた38歳って?
大学を卒業して数年、25くらいで結婚して、子供を3人くらい産んで。専業主婦をしている。ときどきパートに出て、自分のおこずかいは稼ぐ。
となると、ハタチの妄想38歳は、小学生くらいの子供がいて、パートをして、ちゃんと家事もこなして……。

どこで選択を間違えたんだろう。
大学を決めたとき、彼氏と別れたとき、就職のとき……。
大きな分岐点だけでなく、小さな選択をしてきた分岐点は数限りなくある。
ちょっと間違えた選択をしたときもあっただろうけど、文字にしてイタイと思う38歳を満足していないわけじゃない。

そして39歳になる、2018年の目標として、「書く」ことに関しての目標を掲げた。
それから一ヶ月が経とうとしているのに、目標を達成できそうな兆しが全く見えていない。毎日書くどころか、週に一回の締め切りにも書けずにいる。周りはすごいスピートで通り過ぎていくのに、私はそんなスピードには全く乗れずに、転んでばかりいて、後ろを振り返ってばかりいる。
反省してばかりで、反省するだけのサルのようになっている。
書けないという気持ちを常に背負ってしまっている。ダメージを負っているのに、追い打ちをかけるようにめった打ちにあっている。

川代ノートだ。

天狼院書店の中だけでは「超」がつくほど有名で、その記事を読んでライティングゼミを受け始めた人も多い。私もそのひとりだ。
川代ノートは今年に入って、すごい勢いで更新されている。

自分の記事を書き上げるまでは、読みたくないのに読んでしまう記事。
読むたびにボディーブローにあっているような気分になる。
いや、ダメージだなんて、カッコよすぎる。そんなものじゃない。

ただ、嫉妬している。

ライティングを始めたときは憧れていた川代ノートに、嫉妬している。
嫉妬しているなんて認めたくない。25歳の、ひとまわり以上違う子の記事に嫉妬しているなんてカッコ悪すぎる。でも、認めなくても、嫉妬の気持ちが溢れてくる。嫉妬があふれればあふれるほど、ダメージを受けまくっている。

そうそう、私もそう思ってる!
あー、それ、ついこの前、言いたかったことだよ!

川代ノートを読んで、共感して納得して、今までは面白かった! で締めくくっていた。けれど今、次に思うことは、同じようなことを思っているのに、なんで私は書けないんだろう……ということ。
いざ書いてみても、全然面白くない。
でも、天才だと言われている川代さんに立ち向かおうなんて、アリがゾウに立ち向かうほど無謀なことだ。そんなことは、日本の首都が東京だというくらい誰もがわかっていることなのだ。
それなのにダメージを受けているなんて、勝とうって思ってる? 自分の実力がどれだけのものなのかわかっているの? と笑われるだろう。

でも……密かに嫉妬くらいはしてもいいかなと、思っている。

すでに、イタイと思われてしまうような人生なんだから、今さらカッコつけたって仕方ない。
嫉妬してます! って宣言して、ボッコボコになってやろうかと思っている。

人生は、記事のように白紙にはできないけれど、これまでに塗り重ねてきたことは間違っていないはずだし、これからもどんどん重ねていくことはできるはずだ。

***

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