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「育てる」ことに欠かせない、ある一つの視点


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:栁瀨進一(ライティング・ゼミ日曜コース)

 

「育てる」という行為は人類が存在する以上、確実に欠かせないものであるように思う。

縄文時代であるとか弥生時代であるとか、そのぐらいの時代であっても、「子育て」や「作物」という形で「育てる」ことからは避けられなかったはずである。そう考えると、我々は「育てる」事と切っても切れない関係を持っているように思う。

 

現代においては「教科学習」「学問」「仕事」等、様々な場面で育てる事が要求されている上に、育てる対象もまた広範になっている。一般的に、子供・部下・後輩等が育てる対象として考えられるが、昨今ではそれに加えて上司・親・先輩等も育ての対象として考えられるようになっており、「育ての逆転現象」も時に見られるようになった。

しかし、それほど普遍的で欠かせない「育て」を上手く出来ない人は社会においても少なくないように思う。なかなか自分の思うとおりに育ってくれない子供や部下をどうしても疎ましく思う瞬間は、多くの人が経験するだろうし、明確な育てのノウハウを求めて頭を悩ませる事は少なくないだろう。

そんな、いまいちよく分からなかった「育て」について、最近思いがけないところでヒントを頂いた。

 

ある日、私が住んでいる県の県庁にて障がい者雇用についての講演会を聞きに行く機会があった。その際に講演して頂いたとある会社の事である。

その会社は、障がい者雇用に力を入れている会社であった。要するに、多くの障がいを持った方が働いている会社ということである。

現在(2018年1月29日時点)の民間企業の法定障がい者雇用率は2.0%以上であるが、その会社は90%弱の障がい者雇用率を誇る会社で、障がいを持った方が主戦力になっている会社である。社員の方々が持っている障害の種類も実に様々である。精神上の重度の障がいを持った人や発達上の障がい、身体上の障がいを持った人もいる。

しかも、財務体質が優良な事も特徴的な点である。現在の障害者雇用行政においては、障がい者を受け入れ雇用した企業に対して、国や地方自治体が補助金の交付を行う制度が整備されている。そのため、多くの事業所が国や地方自治体から補助金収益を享受しているケースが多い。

その一方、その会社は補助金を受け取った例がなく、独立採算的に会社を運営しているというのである。

つまり、会社自身の実力だけでビジネスを成立させ、顧客からの評価を得て、毎年黒字の利益を計上しているのである。一般的に障がい者の人々は生産性が低い、と評価する人々が多い中で現実にこういった会社が存在しているようである。

そして、そんな会社が大事にしていた事もやはり「育て」だというのである。

話を聞いていると、どうやら彼らが実施している事はいたってシンプルであるように思えた。
一言で言うのならば、「心を汲む」ということであると思う。

例えば、仕事をしていくうえで、どうしても上手く覚えられない時やミスをすることは当然想定される。そうした時に、一般的な会社の考え方は恐らく、「なんとか覚えてくれや、ミスはそっちで防いでくれや」という感じであろう。

その一方、その会社では「どうしたら上手く行くのか?」という事を一緒に考えるようである。この作業が「心を汲む」ということである。その人自身に寄り添い、共に考えるということである。その人自身にやりやすいやり方を優先させたり等である。

こうした考え方は一見非合理であるように思うが、彼らはむしろそれを合理的であると捉えているようである。これがこの会社のコスト削減の方法であるという。

ざっくり言えば、安心感を与えながら、自分のやれることにめいっぱい力を注いでもらうことが彼らの目的であろう。結果論的に、会社自身に対する愛着も湧いてくることも想定される。

そうなれば、高いパフォーマンスを引き出すためにもこちらのほうがかえって効率的であるという見方もできる。こうした、労働者と経営者の納得を両立させることを基本的な考え方として設定する方法もあるのである。

 

普通の会社ならば、出来が悪ければ色眼鏡で見られて終わり、である。「なんで出来へんねん」の一言で片づけられるだろう。

しかし、それでは心は汲めない。しこりは残る。立場上言えないストレスを抱えれば仕事の質は落としやすい。安心して仕事に打ち込めず、怒られないための仕事に終始する。当然、会社も嫌いになる。そうなると、どうしても損失の生まれるリスクが出てくる。

それを大真面目に考えていたのがこの会社であった。難しいハンデを抱えている社員が大多数であってもなお、業界内でトップクラスの生産性を誇る会社の理論であった。

 

なんだか綺麗ごとのようだが、「心を汲むこと」は時に凄まじい威力を生むということが、この会社の例からも考えられる。

疲れた家族や恋人に何か温かい飲み物を差し入れたり、遠く離れた友人に、依然話していた欲しいものをプレゼントしたり。そうしたことが生み出す価値は思いのほかに多様で大きい。精神的な価値や経済的な価値をも創出することがある。

そして、こうした発想は「育てる」ことにも応用が出来るのである。子育てにおいても、ビジネスにおいても、「心の解決」をするために、心を汲んで「納得」させれば前を向いてくれることは十分にあり得るのではなかろうか。

先に書いた会社の例のように、会社として回るかどうかとかそのレベルまでの話ではないにしても、「その人自身に関心を持って見てあげる」ということが出来れば十分であろう。心を汲むとはきっとそういうことであると思う。

現実に誰かや何かを「育てる」事は責任を感じるし、余裕を持つことに困難を覚える事は少なくないとも思う。

しかし、そうした中で、心を汲んでみる、という視点を持ってみると思いがけずに分かり合える瞬間やホッとする瞬間、成長を感じる瞬間がやってくると私は予感している。我々は、そうした優しさに反応し、より優しくなれるのだろう。

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2018-01-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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