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メディアグランプリ

白い雪だるまになりたい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:AYA(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「名古屋は雪景色です。そちらも寒いことと思います。どうぞご自愛ください」
 
取引先からのメールを見て、そうか、名古屋は雪が積もったのか。大変だろうなぁと同情しつつ、でも名古屋城の雪化粧、見てみたいなぁと、人ごとながら思った冬の朝。あぁでもこの人は、雪を嫌悪しているだけではないのだなと少し羨ましくなった。
 
日本列島に寒波が押し寄せているこの冬、メディアでもその様子が大々的に報じられている。私の住む地域は、薄らと雪が積もり、ちょっと交通機関が乱れた程度。幸いにも大きな影響はなかった。数メートルの雪が積もる豪雪地帯からすれば、たったこれだけ? という、雪かきもできないレベルの雪でも、普段慣れていない地域では混乱を生み出す。だから
「明日は雪が降るのかなー? 嫌だなぁ」
雪の予報が出ている前日には、多くの大人が思うのだ。もちろん、私もそう思う。だって、雪が降ったら、とりあえずまず寒い。とにかく寒い。その寒い中、会社にいくためにと外に出たら、雪の影響で交通期間は麻痺し、電車なら遅延・運休、車だって予期せぬところで大渋滞。予定が狂うことが目に見えているので、寒いのに早起きして早めの行動をとる。だけどみんな考えることは同じで、早起きしても結果混雑に巻き込まれるという悪循環。ならいつも通りでいいじゃん。そういう考えが頭をよぎりつつ、もし明日いつも通りに出て、自分だけが始業時間に遅れたら……なんて妄想がじわじわ頭を支配してきたらもうアウト。自分だけ遅れて会社に行く訳にはいかない! そう思いを改め、目覚ましをいつもより1時間早めにセットするのだ。こういうところが、日本人が海外からまじめだと言われるゆえんだろうか。
 
でも、いつからだろうか。雪=迷惑・面倒だという考え方になったのは。子どもの頃は、雪が降ると聞いたら嬉しくて嬉しくて、仕方がなかった。雪だるま作れるかな? かまくら作れるぐらい降らないかな? なーんて、ワクワクして眠りについたものだ。そして次の日、ドキドキしながらカーテンをオープン! けれど90%以上の確率で、雪は降っていない。なーんだ、ただ寒いだけかと何度がっかりしたことだろう。それでも何回かは歓声をあげたことがある。カーテンを開けたら、まぶしいような世界が広がっていて、父の車、納屋の上、隣の家の瓦が一面真っ白。息をのむほど美しかった。その真っ白なキャンバスに、一番に足跡を付けたくて、朝ご飯も食べないまま我先にと外に出た。生まれて初めて見る光景に、人類が初めて月に降りた時の気持ちはこんな感じかな、というくらい誇らしい気持ちで一歩を踏み出す。きれいに押されたスタンプを見れば、気持ちは最高潮へと達し、寒さを忘れて駆け回ったものだ。ふと、自分の中の電池が切れると、いつの間にか手袋がびっしょりぬれていて、寒さを感じるようになるのが不思議なのだけれど。
 
私の地域は本当に雪が降らない地域で、雪が積もると小学校の1・2限目くらいは休講で、雪遊びの時間になる。みんな大はしゃぎで校庭へ繰り出し、雪に触れ、雪玉をつくり、雪を投げ合う。でも私の中のナンバーワン雪遊びは、やっぱり雪だるま。テレビで見た、あの真っ白な雪だるまを作りたくて仕方がなかった。バケツの帽子、枝で作った手、石ころや葉っぱで作った顔。最後に自分のマフラーをかけてあげれば、もう完璧。理想の雪だるまを作るべく、何度もチャンレジしたものだ。けれど残念なことに、私の地元では雪が降ったとしても数センチ。最初は白かった雪玉も、コロコロ転がしていくうちに、玉は雪の下の泥を掴むようになり、真っ白とはほど遠い、茶色がかったまだら模様の雪だるましか作ることが出来なかった。
 
だから子どもの頃、白い雪だるまはあこがれだった。いつか絶対に作りたいと願っていた。でもいつしか、それは寒くて面倒なことに変わってしまった。手袋がびしょびしょになるまで雪に触れるなんて、あり得ないことに変わっていた。大きくなって、お金も知識もあるのだから、真っ白な雪だるまを作るために、旅行に行くことだって、何か新しいアイデアを考えることだってできるのに、それを考えるより、「寒い」「面倒」という結論を出してしまう。「考える」ことを省いてしまう。それが大人になるということのなのだろうか。
 
うっとおしい雨だって、水たまりで遊ぶ絶好のチャンスだった。
夏になるとうるさい蝉も、その抜け殻は自然が生み出すリアルなアートだった。
日焼けするし、砂と潮だらけになる海も、大自然のエネルギーを感じられる場所だった。
 
子どもの頃は、嫌でもなんでもなくて、当たり前に共生していたものが、いつしか“嫌悪”の対象になっていた。大人になるということは、果たしていいことなのかと考えてしまう。真っ白だった雪だるまが、コロコロ転がすうちにまだら模様になったように、私にも、世の中のいろんなものが纏わり付いてしまったのだろうか。
 
「雪景色を楽しむ」
それは私の中でちょっとした発見だった。日々の生活にいっぱいいっぱいで、物事を”感じる”時間・余裕がなくなっていた私には、ふと心が暖まる瞬間だった。名古屋城の雪化粧を見たいと思った分、私にもまだ何かを”楽しむ”余白はありそうだ。そうか、たとえまだら模様でも、私の中に白い雪はまだある。
 
雪=迷惑・面倒という考え方。忙しく働く中で、本当にそう思ってしまうことは多い。でも、ちょっとだけ見方を変えて、きれいな雪景色だね、と言えるくらいの大人でありたい。そういう遊び心を忘れない大人でいたい。そう願いつつ、今度雪が降ったら雪だるまを作ろうと思う。まだら模様を、白に変える。大人になった私だからできる技を、子どもに見せつけてやるのだ。

 
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2018-01-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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