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母の旅立ちとライティングゼミと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:安光伸江(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
2018年1月18日未明、母が亡くなった。がんだった。
 
がんで長いこと闘病中だったわけではない。
3年少し前に圧迫骨折でほぼ寝たきりになり、家で介護をしていた。
吐くようになって私が介護うつ気味になったので12月始めにショートステイに送り、そこから病院に回り、CT検査したら多発性肝腫瘍が見つかった。
大病院でMRI検査をしたら末期がんが判明、積極的治療はできないとのこと。
元の病院に戻って年を越し、連休明けに緩和ケア病棟のある病院に転院した。
 
それから1週間、夜中に呼吸が悪くなったと電話が入り、病院にかけつけた時には呼吸が止まっていた。
 
がんで余命3~4ヶ月と言われてから1ヶ月たたずに亡くなった。
 
県内の遠くにいる兄と相談していた通り、お通夜や葬儀はせず、斎場に直送して荼毘に付した。兄夫婦と3人で見送り、骨を拾った。
兄夫婦と過ごすのは、静かないい時間だった。
 
平日だったのでその足で市役所の本庁に行き、当面しないといけない手続きは全部すませた。父の時は葬儀の翌日以降に兄が休暇をとって手続きに来てくれたが、今回は一日で火葬も諸手続もすんでしまったので楽だった。
 
母の具合が悪くなったのは、ライティング・ゼミが始まった後だったと思う。
私も11月に風邪を引いて高熱を出し、12月開講のプロフェッショナル・ゼミの入試を断念した。12月に入ると母の具合がいよいよ悪くなってきて、ほとんどパニック状態だった私は、通信受講の動画すら見られなかった。プロゼミなんてとんでもなかった。毎週投稿するはずの原稿も、2回くらい書けなかった。
 
なんとかして気持ちを整理しようと思い、ぐだぐだになりながら年末に書いた原稿は掲載を見送られた。
なにしろ私の頭の中は母のことでいっぱいだ。母のことしか書くことがない。
年があけてから書いた原稿は「思いがこもっている」「ポジティブに抜けてはいないけれど今しか書けないから」と掲載していただいた。
 
そして新年2つめの原稿が掲載されたのは、母の火葬の日だった。
死にゆく母を見守るのはつらいが、そのつらさをしっかり味わっておこう、という原稿が載った時には亡くなっていた。
 
もちろん亡くなったことは悲しい。
生きていてほしかったという気持ちは、ある。
 
でも、ショートステイに送る時点で、私はパニック状態だった。在宅介護は限界だった。
もうすぐにでも死んでしまうんじゃないかと思っていたが、食べると吐くから病院では点滴で栄養をとるようになって、少し命が延びたのかもしれない。
家を出た時点から6週間で亡くなったのだが、6週間命を延ばしてもらったのかもしれない。
 
そして
 
ママが死んじゃう
 
というのがものすごく怖かった。怖くて怖くてたまらなかった。
うつ病を抱えている私は、自分が死にたいと思うこともよくあった。
 
だけど母が亡くなって数日たってみると
 
もう、ママは、死なない
ママが死ぬ、って怖がらなくてもいい
深夜に急変を知らせる電話がかかることは、もうない
 
と、ある意味解放された感覚があった。
 
母にしてもそうだ。
圧迫骨折による痛みかと思ったらがんの痛みだったのだから、私が想像できるより痛かったに違いない。
その痛みから、解放された。
もう痛くない。苦しくない。
 
母は、永遠の命を手に入れた。
きっとあの世で私を見守ってくれていると思う。
 
そしてライティングゼミはというと、しっかり動画を見たのは10月の1・2講くらいのもので(この2回は補講もあった)、それからはちゃんと見た記憶がない。
母を入院させる頃のパニック状態で出せなかった2回を除き、毎週の原稿はなんとか提出したけれど、ライティングゼミのメソッドを習得するというよりは母のことしか書けなかった。
 
親を見送ったしばらく後になると、心身の疲れでがっくり来るという。
今回は手続きなど比較的楽にすんだのだが、そうはいっても本調子に戻るには時間がかかるかもしれない。
私の場合、うつ病と乳がんを抱えているので、本調子といっても「日常生活に支障がない程度」かもしれないが。
 
そうこうしているうちに、2月期のライティングゼミの案内が目についた。
 
そうか。
もう一期やってみるか。
今度はリアルタイムで動画をしっかり見て、ワークにも積極的に投稿しよう。
ライティングゼミの全体像がおぼろげながらも見えた状態で原稿を書けば、前回より上達できるかもしれない。
 
母の死という、人生で最大の試練を味わった時期に十分に学びつくせなかったのは当たり前。もう一期で補っても罰はあたるまい。
 
そしてもう一度受講する間に、母との最後の日々をしみじみ振り返ろう。
ずっと悲しい原稿しか書けなかったけど、ポジティブな気持ちになれる原稿を目指そう。
 
そんなことを思った。
 
ライティングゼミをがんばって
今度こそ原稿を毎週出して
紙でも電子書籍でもとにかく本をたくさん読んで
ラジオの語学講座やオーディオブックをたくさん聞いて
 
時間をうまく使えるようになろう。
 
私ががんばって生きることが、母の供養になりますように。
 
 
***

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2018-02-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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