プロフェッショナル・ゼミ

小さな失敗は、大きな失敗になる前なら取り戻せる《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山田あゆみ(プロフェッショナル・ゼミ)

「気持ちを見せろよ」

先輩は、そう言って私を見つめた。

「抜かれて悔しいなら、その失敗を取り戻せ。止まるんじゃなくて、追いかけろ」

運動部でサッカーをしていた。
練習の最後にいつもやるゲームの後だった。

ディフェンスがとても苦手だった。
敵と1対1になった時に、ボールを持った相手に、ドリブルで仕掛けられる。
右へ左へ揺さぶられ、重心を移してしまったことを相手に見抜かれる。
フェイントに騙される。
そして、さっと抜き去られてしまう。

抜き去られる度に、悔しくてたまらない。
目の前にいた相手を止めることが出来ず、みすみす前へ進ませてしまった。
それが、とにかく不甲斐ない。
そして、落ち込んで、すっかり足を止めてしまうのだった。

先輩は、そんな私に、いかに失敗した後にその場に留まってしまうことが、駄目なことであるかを丁寧に教えてくれた。

サッカーにおける一番の失敗は、負けることだ。
負けることの次に大きな失敗は、点を取られることだ。
点を取られるような局面に至るには、その前のプレーにミスがある。
相手にシュートを打たせたこと、その前のいいパスを止められなかったこと、さらにその前にドリブルで抜かれてしまったこと。
小さなミスが、負けに繋がる。
だから、当然練習では小さなミスをする度に反省し、修正していかなくてはいけない。
それは正しい。

ただ、ゲームを練習でやるのは本番を想定してのことだ。
だから本番と同じように、気持ちを込めてゲームに臨まなくてはならない。
そして、本番での一番の失敗は、やっぱり負けることで、敵に点を奪われることだ。
それを防ぐこと、それを第一に考えなくてはいけない。

小さなミスは、まだ大きな失敗になる前なら、取り戻せる。
大きなミスを防ぐために、行動することで。
そして、その失敗を取り戻すための行動は、抜かれた後、とにかく、一秒でも早く、抜かれた相手に追いつき、相手がそれ以上良いプレーをするのを止めることである。

本当にまさにその通りだと、話を聞いて思った。
そんな風に先輩に言われたのは、学生時代のことだ。
だから、もうずっと前の話だ。
でも、そのセリフと情景は、まるで繰り返し見たお気に入りの映画のワンシーンのように、綺麗に頭に焼き付いている。
頭の中で、何度も再生したからだろう。
サッカーの練習に臨む前に、何度も思い出しては、気合を入れた。
そして今でも、感情的になってしまっている自分に気が付いた時、いつも思い出す。

何故なら、先輩の話を聞いて初めて、感情的になることと、気持ちを見せることは、言葉は似ているけれど、全く別物だということ気が付いたからだ。

感情的になるというのは、とにかく心が感じたままに、考えなしに行動することだ。
悔しい! その刹那的な気持ちに捉われて、自分を責めて、そうしてその場に立ち止まってしまうことだ。

気持ちを見せるというのは、冷静に本当は自分が何を望んでいるのかを把握して、その上でその望みを叶える為に最善を尽くすことだ。
悔しい! と思う時、何よりも、自分が望んでいるのは勝つことであり、負けないことであるという事を思い出さなくてはいけない。そして、その為にすべきことは悔しがったり自分を責めたりすることではないと瞬時に判断して、失敗を取り戻しにいかなくてはいけない。

日常生活の中で、感情的になってしまうことがよくある。
例えば、悲しいことがあった時に、その悲しさに心が沈むのを感じる。
どっぷりと、その悲しさに浸かりきってしまう。
大切な人と喧嘩してしまった時、喧嘩して悲しいとか辛いとか、そんな自分の感情にばかり気を取られてしまう。
自分が本当に大切に思っているのは、その人との関係性を良い状態に保つことなのに。
そのためには、自分が悪いと思っているなら、謝ることを考えないといけないはずなのに。
喧嘩して嫌だ、悲しい、やけ食いしてやる! と思っている場合ではない。
もう今日は、お酒でも飲んで寝る! とか言っている場合でもない。
もしかすると、その喧嘩が決定的な仲違いに繋がってしまうかもしれないのだから。
喧嘩が小さな失敗なら、決定的な別れという大きな失敗を招かない為に、早く喧嘩という失敗を取り戻さないといけない。

最近、特に感情的になって、失敗してしまう事が増えてしまったような気がする。
でも、そもそもなんで、こんなに感情的になってしまうんだろう。
小さな失敗と、大きな失敗の区別がつかなくなっている。
気が付くと、イライラしすぎて何も手につかなくなっていたり、怒りの気持ちに心が支配されてしまって、関係のない周りの人に八つ当たりしていたりする。
なんでかな。
相変わらず脳内で、先輩に言われた言葉と情景を思い出しながら、ずっともやもやとした気持ちでいた。

そして、気が付いた。
そもそも小さな失敗と大きな失敗の区別がつかなくなっているのは、成功するというのがどんな状態であるか、それを見失っているせいだと。

失敗の大小は、成功の定義で決まる。
サッカーでの成功は勝利だ。だがら、その反対の敗北が大きな失敗となる。

ここ最近の私は、自分の人生の成功の定義を、曖昧にしたまま、走り続けてしまっていた。
やるべき事は、目の前に山積みだ。
仕事も趣味もライティングも、人間関係も、やるべき事は考えなくても次から次に出てくる。
そして、それをただ淡々とこなしているうちに、あっという間に1日は終わり、1週間が過ぎ去り、1か月が経つ。
そんな毎日の中で、チェックリストにチェックを入れて、只々しなくてはいけないことを消化していくだけになっていた。
そして、日常の中で起きる様々なことに、刹那的に反応し、感情的に対応することがどんどん増えてしまっていた。

人生の成功って何だろう。
どういう自分でいることが出来たら、私は嬉しいだろう。

自分にとっての人生の成功は何か、そればかりを最近は考えている。
簡単に言ってしまえば、それは幸せでいることだ。
人生が終わる時に、もしも生きてきた自分の歴史を振り返る時間があったとしたら、いい人生だったと思えるようにしたい。出来れば、いっぱい思い出し笑いをしながら、満足した気持ちで、傍にいてくれた大好きな人たちに心の中でお礼を言いながら、良い気分でその時を迎えたい。
そうある為には?
やっぱり、自分の能力を高めたいと思うし、今周りにいてくれる大事な人や物を大切にしたい。
世の中の役にも少しは立てたらいいなと思うし、もっと色々な意味でスマートになりたい。
人の気持ちがわかる人間でいたいし、とにかく心を強く持っていたい。
その為には?
何で、そうありたいの?
まるで、就職活動中の学生みたいに、私は、今、自分にとっての人生の成功の定義を深堀りしている。
今日出た答えが明日には、また違うものになっていることも多いし、行き詰ってしまうこともある。
でも、そんな時間を取ることで、少しずつ心が落ち着いてきて、感情的になることが減ってきたような気がする。
だから、これからも慌ただしい日常の中で、ふと立ち止まって考える時間をしっかり取り続けたいと思う。

ずっと、サッカーと、人生って似ていると思っていた。
共通点はきりがないほど沢山あげられる。
一人では何も出来ないから、人と協力しなくてはいけないところ。常々判断力が問われるところ。気持ちの切り替えが大事なところ。リスクを冒しても攻めていかなくてはいけない局面があるところ。まだまだいっぱいある。
並べてみると、サッカーと人生って本当に類似点が多い。
でも、そんな中で、もしかしたら、サッカーでは初めから何をもって成功とするかということが決まっているのに対して、人生では決まっていないことが、1つの大きな違いかもしれない。
人生の成功は人によって、それぞれに違うものだ。
個人、個人、それぞれに自分独自の成功の定義が、きっとあるのだと思う。
もしかしたら、自分にとっての成功とは何か、その定義を見つけるのが、一番難しくて、大変で、でも面白い作業かもしれない。
その作業を続けていくことこそが、より良く生きていくための秘策であるように思う。

感情的になってしまっていることに気が付いた時は、考えてみよう。もしかしたら、小さな失敗に捉われてしまってはいないかと。そして、大きな失敗は何かを明らかにしよう。
大きな失敗と小さな失敗の区別がつかなくなってしまっていたら、自分にとっての成功は何を意味するのか、考えてみよう。
そうすることで、きっと少しずつ理想の自分に近づいていくことが出来るようになる。

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