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知らぬ間にヨットに乗っている皆様へ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山田あゆみ(ライティング・ゼミ 特講)

 
 
ずっと憧れていたことがある。
ヨットに乗ることだ。
 
海の上にぷかぷかと浮かぶ優雅なヨットを目にする度に、想像した。
あのヨットに乗って海上を旅するのは、どれほど素敵な事だろうか。
爽やかな風を感じながら、水面を眺めるだけで、きっと楽しいに違いない。
魚釣りをしたり、ただ日常を忘れて、ぼーっとしたり。
ビールをゆったり飲むのもいいかもしれない。
とても穏やかで、楽しい時間が過ごせるだろう。
 
だから、ある日突然、ヨットに乗るチャンスが巡ってきた時は、心から嬉しかった。
ついに、オシャレで、かっこいい夢のような時間を、味わうことが出来る!!
期待に胸が高鳴った。
 
でも、実際にヨットに乗ってみて愕然とした。
 
穏やかな春の日だった。
ぽかぽかと暖かくて、とても過ごしやすい気候だった。
 
それなのに、海へ出ると猛烈に寒いのだ。
海風がびゅうびゅうと吹き付けてくる。
ヨットには暖房がない。
寒さ対策の為に出来ることは、せいぜい上着を着ることと、ひざ掛けをかけることぐらいだった。
でもそれだけでは、全然足りなかった。皮膚に冷たい風がどんどんと容赦なく吹き付けてくる。
海の上には、逃げ場もない。風にさらされる以外にない。
陸に着くまで我慢するしかない。震えながらヨットに乗っていた。
寒すぎてぼーっとする余裕なんて、とてもなかった。
 
それだけではない。ヨットでの航海は、とても過酷だった。
 
まず、思った方向にヨットを進めていくのが、予想以上に大変なのだ。
舵で操作は出来るけれど、それだけでは、ヨットは前へ進まない。
風の動きを敏感に察知して、いかに利用するかを考えながら進めていかなくてはいけない。
風向きや強さに合わせて、帆を広げたり、畳んだり、傾け方を変えたり、ヨットに乗っている間中、工夫をし続けなくてはならない。
休んでいる暇なんて全くないのだった。
それに、帆を張るのがまた、想像した以上に大変だ。
縄を引っ張るのにもかなりの力がいる。
私は、何も出来ずにそこに乗っていただけだったが、私をヨットに乗せてくれた方々は、足を踏ん張りながら、縄を引いてと、動き回って下さったせいで、じっとりと汗をかいていた。
こんなにも寒い状況であるのに。
 
外から見ている分には、優雅なヨットだが、実際に乗ってみると、その航海には人知れぬ苦労が沢山あったのだった。
そして思った。
ヨットって人生みたいだ、と。
 
例えば、きっと外から見ると、私の人生は平凡で穏やかなものだと思う。
平日はいつも朝9時から仕事をして、夕方に仕事を終える。
家に帰って、ご飯を食べて、本を読んで、テレビを見て、そしたらあっという間に寝る時間になる。
寝て、起きたらまた、同じ一日が始まる。
週末は、ゆっくりしたり、遊びに出かけたりする。
同じような毎日、代わり映えのない日々。
 
でも、実際はそんないつもの日常の中で、色々な事が起こっている。
信じられないくらい暖かい言葉をもらって嬉しい日もある。
ふとした瞬間に、自分の卑怯さに気が付いて罪悪感に囚われる日もある。
何故だか、体調がすごく良くて、気分も爽快で、何もかもがバラ色な日もある。
辛辣な言葉を投げかけられて、知らぬ間に泣いている時もある。
大好きな人と喧嘩して、心が大荒れに荒れている時もある。
久しぶりに旧友と再会して、懐かしさに癒される時もある。
毎日、いつも色々な風が吹く。
いい風も悪い風も。
 
そんな人生の舵を取っているのは、私だ。
自分の中の理想を持って、いつかその理想に辿りつけるように、ヨットを走らせている。
でも、その思いとは全く無関係に、風は吹いてくる。
人生で起こる色々な事柄を受け止めながら、それに対応するために、帆を張ったり、畳んだり、時には進路を変えたりしながら、人生のヨットを進めていくしかない。
朗らかな春の陽気の中、ゆったりと過ごせる日もあるだろう。
しかし、そんな良い日ばかりではない。
向かい風が吹いている時、全然前へ進めないことに苛立ちながらも、ちょっとずつでも、進んでいくしかない。
辛いことが重なって、精神的にきつくても、帆を広げるために全力で努力し続けなくてはいけない時もあるだろう。
そう、辛いことがあったからといって、人生は止まってはくれない。
風は吹き続ける。時には、雨や雪も降る。雷だって鳴る。
海の上には逃げ場がないように、何があっても、どんなことが起こっても、この人生から、私たちは逃げられない。
日々、色々な風に対処しながら、ヨットに乗り続けなくてはいけない。
それは、とても大変なことだ。
 
そして、多分みんな、淡々と毎日を生きているように外からは見えるけれど、実際は心に色々な悩みや葛藤を抱えながら、良い事や嫌な事に出会いながら、毎日を生きているに違いない。
ヨットの中の事は、そのヨットを動かしている本人にしか、きっとわからない。
自分にしかわからない事情や苦悩を抱えながらも、涼しい顔をして今日を生きているのだ、きっと皆。
 
日々様々な風にさらされながら、変わり続ける天気に翻弄されながら、ヨットに乗って進んでいくのは、なかなか大変だ。
だから、嵐の中も、雪の日もヨットに乗り続けていることを、みんなもっと誇りに思っていいと思うのだ。
この大海を、産まれてからこれまで、休むことなくヨットを走らせ続けている自分を、たまには振り返って褒めてあげよう。
なかなかよくやっているじゃないか、と。
 
そして、辛くなったら思い出そう。
ヨットは、予め決めていた航路を進むことが出来なくても、それでも、方角をしっかりと確認しながら、地図を読んで、適切な対処をしながら、進路を取れば、必ず目指していた港に辿りつく。
だから、人生でもきっと、どんなことがあっても、目指す方角へ向かっていけば、思っていた展開とは違っても、時間が予想以上にかかってしまっても、最後には必ず目指す場所に辿りつけるはずであることを。
今日も様々な風を受けながら、良いことも悪いこともある毎日を、理想に向かって生きて行こう。
 
 
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2018-02-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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