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メディアグランプリ

有給取って一人で海に行った時の話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田島佑香(ライティング・ゼミ 平日コース)

 
 
就職を機に上京してそろそろ満2年が経とうとしている。田舎の地元にいる頃は東京での一人暮らしに憧れていたが、いざ一人暮らしを始めると決まった時は、何もかも自分一人でやらなくてはいけない不安と、何よりも家族と離れて暮らす寂しさでずっと泣いていた。しかし数ヶ月も経ってしまうと不安も寂しさもなくなっているのだ。住めば都というやつだ。脱いだ靴を揃えなくても、酔っ払ってそのままベッドに潜り込んでも誰にも文句言われない、この環境が快適にすら思えるようになった。そんな快適な東京生活を手に入れ謳歌していた社会人2年目の私は昨年、落ち込みやすい性格からか負の感情に押しつぶされ心が故障してしまった。
 
社会人2年目はまだ新人扱いだが仕事を振られることも多くなる。まだ業務のイロハがあまり良くわからないなりにも、振られたからには完了させなければいけないという義務感と、上司先輩方の期待に応えなければというプレッシャー、またホルモンバランスの変化等で身体とうまく付き合うことができなくなった。このくらいのことで何弱音を言っているのかと言われそうだが、私の心の箱にはもうこれ以上負の感情を静かに収めることができなくなっていてついに溢れてしまった。負の感情をコントロールできなくなってからは外に出ることが億劫になり、悲しくもないのに気がついたら泣いている。みっともないなぁ。そんな自分に嫌悪しながらも涙は止まらない。
そんな私だが、幸いにも前向きになる勇気はあったのだ。 くよくよ無意味に泣きながらも、今の自分に何かをしなくてはと焦っていた。いろいろ考えた結果が「有給取って海を見に行こう」だった。海なし県盆地育ち、海風はベタベタするから正直苦手な私が何で海を見に行こうと思ったのかよくわからなかったが。
 
当日は気に入っている服を着た。リュックの中身は財布と交通ICカードと音楽プレーヤーと写ルンです39枚撮りを2本。本当はスマホを家に置いて行きたかったが、何かあった時のために一応リュックの底に入れておいた。(機内モードにしてインターネットから遮断はしていた)人の多いターミナル駅に着くと不安と息苦しさが襲ってきたが、足はすくむ事もなく横浜方面行の電車のホームへ向かっている。そんな自分の心と頭のギャップに驚きながらも、電車に揺られまずは鎌倉を目指す。お昼に無事鎌倉に到着し、小町通りの適当な店でしらす丼を頬張り、鶴岡八幡宮を参拝した後、江ノ電に乗り、電車から海が見えたのを確認したら、次の停車駅で降りた。そこから海が見えた方向へ歩き、ひたすら海沿いを江ノ島が見える方向へ歩く。何故だかとても楽しくなってきて足がどんどん前へと動く。進んでも変わらない風景を横目にただ前へどんどん歩いた。たまに足を止めて海を眺める。目の前には空と海と砂浜しかない。耳には波の音と車の音しか聞こえない。外部からの情報が少なくて済むから海へ行こうとあの時思ったのだろう。
この日はあえてインターネットから離れていたので何もかも自分の直感で行動した。どのお店が美味しいのか下調べもしないし、乗り換えアプリも使わない。方向に迷ったら人に聞くしかない。そんなインターネットなしの1日は不便と思いきやそんなことは全くなくとても充実していた。それは全て自分の直感だけで動いたからだろうか。乗り換えを間違えたり、食べたいと思い途中で買ったお団子があまり口に合わなかったりと失敗もあったが、それに対する後悔とかは全くなかった。だって自分の正直な気持ちだけで決めたのだから。そんな風に、これからの人生だって自分の気持ちを尊重してあげればもっと楽しめるのかな、心がしんどくならなくて済むのかなと帰りの電車でふと思った。もちろん会社にいるからには自分勝手な行動は許されない。けれど、自分には難しいと思ったらそこまで頑張らずに、すぐ人を頼ってしまうのならまだ許されるだろう。そう気付いてからは、心がしんどくなることは減った気がする。
 
あの日一人で海に行ってから自分の意思で選択することの有意義さを強く再確認した。 私は以前から周りに流されやすい性格だったこともあり、Noと言うのもしんどかった。周りに合わせて従う方が楽だった。けれど心がアラートをあげ、生活に影響が出るまで負の感情を溜め込んでしまった後は、自分の正直な気持ちに従うことの方が楽だし、大切なことだと思っている。でも今までの性格はそう簡単には変えられない。だがらまた心がしんどくなったら一人で出かけてみよう。周りの人やインターネットの情報に踊らされないで、自分の意思の思うままの方向へ。
 
 
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2018-02-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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