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転職は、メーテルリンクの青い鳥


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:乾 博樹(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
人生において、人間が避けて通れないものはいろいろとある。中でも、一日の大半を費やす「仕事」は、生きていく上でとても大切なことだと思う。
 
キャリアコンサルタントとして、転職エージェントの仕事をして17年目になる。
これまで、多くの方の転職のお手伝いをしてきた。人生の大きな選択に関わり、希望の転職ができたと、喜んでいただくことも多く、非常にやりがいのある仕事だと感じている。
ところが、最近の「転職」市場に関して、これまでとは違った残念なことも増えてきている。
 
「転職」ということが、当たり前の時代になり、人手不足や好景気も手伝って、空前の「転職」ブームが起きている。業界も盛り上がり、TVのCMや電車の広告などにも転職会社のものが多数みられる。また、「働き方改革」や「女性の管理職登用」など、「働く」ということに関しての、注目度が高まっている。
 
ひと昔前までは、終身雇用が謳われ、「転職」することに引け目を感じることもあった。しかし、時代が変わり、今の若者などは、「転職」することに全く違和感を持っていない。
むしろ、嫌な上司に気を使って、過酷な労働を虐げられるのであれば、辞めればいいという風潮が大きくなっていると感じる。
多様性、可能性が広がることは、結構だけど、安直に考えることに疑問を感じることも多い。時代の流れと言ってしまえばそれまでだけど。
 
転職の業界に関わっているのに、こんなことを言うのはどうかと思われるかもしればいが、
私のスタンスは、「転職」は慎重に、なぜ転職をするのかという、しっかりとしたその方の意志を大切にしたいということだ。
 
「本気で何かにチャレンジしたい」とか、「この為に、人生を賭けたい」というような、熱い志があっての「転職」は、大いに応援したい。
一方で、「友達が転職したから」とか、「上司が気にいらない」とか、「他社の方が条件がよさそう」などの安易な「転職」には、心から賛同できない。
「条件は、今よりいい会社。以上!」なんてCMで流している転職エージェントがあるくらいだから、若い方がその気になっても仕方のないところはあるが、条件は変わるし、条件で選ぶと限りがない。美人が三日で飽きるように。
仮に、「今よりいい会社」に転職しても、その会社が「今」なので、さらに「今よりいい会社」を探すようになる。
 
こういう人に限って、「転職」すればバラ色の人生になる、とか今の現状を抜け出せると考えがちだ。最近、転職したい理由がほんと浅はかで、身勝手な方が増えていることが残念でならない。
 
ベルギー生まれの作家、メーテルリンクの代表作「青い鳥」
翻訳され、日本でもひろまった。貧しいきこりの子の兄妹、チルチルとミチルが、クリスマス・イブの夜に、仙女の訪問を受け、その言いつけで幸せの「青い鳥」を探しに出かける。
放浪してどこを探しても見つからず、家に戻ると、夢が覚め、そして「青い鳥(幸福)」は家で飼っていたキジバトだったことを知るという物語。
 
幸せは、すでに目の前にあるのに、それに気づかず他に目を向ける。「転職」も、この「青い鳥」に通じるんじゃないかと感じることがよくある。
 
前向きで肯定的な「転職」はいいけれど、不平不満のネガティブな「転職」はうまくいかないことの方が多い。それは、現状にちゃんと目を向けて感謝することなく、自分の欲望や傲慢さがもたらすのかもしれない。メーテルリンクの「青い鳥」も、幸せを求め探し回ったけど、すでに買っていたキジバドが「青い鳥」であった。いまがすでに幸せなのに、それに気づきなさいと教えてくれている。どこか転職に通じるのではないか。
 
何も「転職」がダメだと言っているのではない。
自分のことは棚におき、不平不満で感謝を忘れて条件ばかりを主張するのは控えた方がいいと思っているのだ。意に反して、転職をしなければならないことも出てくる。そんな場合でも、まず自分をよく俯瞰して、正しい選択をしていただきたい。
 
「バラ色の楽園」や「希望通りの世界」などを求めるより、「今」に焦点をあてて、一生懸命生きることが大事だと思う。
 
大企業に入っての安泰ではない時代、いろんな可能性を秘めた時代だからこそ、各人それぞれが、「何のために働くのか」、いや「何のために生まれてきたのか」などを、真剣に考えながら、生きていく時代になったのかと思う。
 
「働く」ということが、人にとって重要なことであり、人生の中核を担うことなので、いいことだけでなく、大変なことや辛いことにも目を向けて、頑張っていただきたい。
 
「我慢」することも時には大切だし、「挑戦」することも素晴らしいことだ。だからこそ、世間や時代の風潮などに惑わされることなく、自分の「芯」をもって行動していただきたい。
 
「転職」が人生の良き転機になることを、心から思うばかりだ。
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-02-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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