メディアグランプリ

「料理女子」を辞めたらブスが治った


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記事:仙石美世(ライティングゼミ・ライトコース)

 
 
料理が出来る女子になったら可愛い女子に近づけると思ったから。
単純だけど、それが私が料理を始めた理由だった。
 
だけど私は、「料理女子」ほどブスな人種はいないと今では思う。
 
何を隠そう、私も一時期はいわゆる「料理女子」だった。
料理教室に通い、見知らぬハーブやスパイスを買い込んで帰宅。高い料理グッズでおしゃれな料理を休日に作り、SNSに加工してアップ。
クリアスマスやバレンタインデーのイベントなんてもう大変。いかに可愛くておしゃれなお菓子を作るか毎回悩みに悩み抜いた。
 
そんなある日、事件が起きた。
 
当時付き合っていた彼氏に、「バレンタインはわざわざ手作りじゃなくていい」と言われたのだ。
自称「料理女子」である私は大パニックになった。
それまでも彼に料理は何回か振舞っていて、美味しいと言われたことが多かったからなおさらだった。え、何で?
 
不安が大爆発した。
 
彼曰く気を遣うのが嫌なだけだと言っていたけれど私の不安の爆発は収まらなかった。私の料理が食べられないなんて、私のこと嫌いなの? と言う私に対して、終始彼は困っていた顔をしていた。
それが引き金になったのかならなかったのか、分からないけれど、事件の2か月後、彼とはお別れした。
 
彼と終わったのが30歳。歳としてもそろそろ結婚したいと思っていた私は、新しい恋を探そうと必死になっていた。
そこで婚活を始めることにした。
 
具体的には婚活をしている人が使うSNSサービスに登録して、そのサービスで繋がった人にたくさん出会うことにした。SNSサービスには写真が何枚か登録出来て、自分の写真以外にも登録が出来る。
 
そうだ、料理の写真を載せてみよう。
 
今まで作った料理の写真をアップしてみた。オーブンで焼いたローストビーフや、キッシュ。キャロットサラダ。色とりどりのカナッペ。私のこだわりのおしゃれな料理。
料理の写真を載せたところ、すごく反応も良く、たくさんの人から「会いたいです」というメッセージをもらった。そして色々な人と出会うことができた。
 
出会った人たちは皆、私がアップした料理の写真を褒めてくれた。
でもなんか違うんだよな、褒められても嬉しくないんだよな。何でだろう、と思っていたところで婚活で出会った人に言われた一言ではっとした。
 
「みよちゃん料理好きなんだ、じゃあ俺のために毎日好きなメニュー作ってくれそうだね」
 
うるさい、お前のために料理をしているんじゃないわ!!
 
と心の声が喉まででかかった所で気づいた。
私が、「料理女子」を通り越し、「料理ブス」になっていたことに。
 
私がそれまで料理をしていたのは料理が好きだったからでも、当時付き合っていた彼が好きで彼を喜ばせるために料理を振舞いたかったからでもない。
料理を誰かに作ることで、料理の写真を誰かに見てもらうことで、褒めてもらえる自分が好きだったからだ。要するに自己満足だった。自己満足だったのに、それをあたかも相手のためにやっていると思い込み、押し付けていたのだ。
別れた彼氏はカレーとか豚丼とか、日常でよく出てくるような料理が好きだった。けれど、私は「すごい」と言われたくて必死に手の込んだ料理を作っていた。彼が食べたいものでも、私が食べたいものでもなく、私が満足できる反応をもらえる料理を作っていた。今考えたら恐ろしいことだ。
「あなたのために料理を作ったの! すごいでしょ? 美味しいでしょ? 褒めてよね」
こんな料理を作る女子は心が「ブス」の他に何とも言いようがない。
 
だから「俺のために」というキーワードにいらっとしたんだと思う。私は料理を誰のためにも作ったことなかった。自分のためにすら。そしてそのことで当時の彼氏という他人も苦しめたし、何なら自分も苦しめていた。
 
自分まで苦しめて何やっているんだろう、無理するのは辞めよう!
とその時決意した。
 
こうして私は「料理女子」を辞めた。
 
あれから1年半が経った今、私は毎月お料理教室に通い、毎週末料理を何品か作っている。会社でも「料理が得意な人」で少し、有名だ。
 
え、話が違うって?
 
確かに料理を再開した当初は、1人暮らしを始めたのがきっかけで仕方なくだった。だけど作っている内に、自分の作った料理を食べることで自分が癒されていく感覚を知った。
私が作る料理は、私のための料理になったのだ。
 
だから料理の内容も前と違う。どちらかというと日常の質素な料理。煮干しでだしをとったお味噌汁、食べるとほっこりするサバの煮付け。あまり写真映えするのもではないけれど、それでもいい。誰が褒めてくれなくても、私は私のために料理を作っているから。
 
料理は私の中で「自分をアピールするイベント」ではなく、「自分を大切に出来る日常での一コマ」になった。
 
とはいえ、私には野望がある。
それは今の彼氏に料理を食べてもらうことだ。ただ前の失敗みたいに好きではない料理をイベントとしてふるまうのではなく、あくまで求められた時に「日常」として彼の好きな料理を目の前に出したい。

 
 
***

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こんどは「料理ブス」じゃなくて、「料理美人」になれますように。

そんな胸に秘めた想いを胸に、今週も私はキッチンで煮干しの香りを味わいながら料理を作っている。


2018-02-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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