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メディアグランプリ

ラングドシャみたいな人になりたい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:たけしま まりは(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
平日の14時45分、会議やら外出やらで人が少なくなるこの時間、わたしは職場にある“お菓子ボックス”へそっと向かい、15時のおやつを吟味する。
ちっ、今日はおせんべいばっかりだ……おせんべい、好きだけどバリバリうるさいのよね。「今、お菓子食べてます!」って主張している感じ。周りに「また食べてるよ……」って思われるの、やだなぁ。
 
こんな時はラングドシャがあればいいのに、といつも思う。
ラングドシャとは薄いクッキーのことだ。有名なのは北海道銘菓の「白い恋人」だ。
「白い恋人」の手ごろな薄さ、絶妙な甘さがクセになる。咀嚼音も「しゃく……」という感じでおしとやかに食べられるのも良い。甘いもの食べちゃった! という罪悪感も、クッキーが薄いからそこまで感じない。
調べてみると「白い恋人」は1枚60キロカロリー。ん、意外とカロリー高いなぁ。
 
そんなことを考えながら手ごろなお菓子を見つけ、15時に食べる。
ふう、と一息ついて、思うことがある。
わたしは、ラングドシャみたいな存在になりたい。
頑張っている人の心にさりげなく寄り添って、少しだけ甘えさせてあげる。
チョコレートほど濃厚すぎず、ドーナツほど重くなく。ほどよい甘さで人を元気づけたい。
 
そう思っているのだけれど、わたしの現状は大阪のおばちゃんがくれる「飴ちゃん」みたいだ。小粒で、ちょっと押しつけがましくて、意外と食べにくくて。タイミングがずれたら「早く飲み込まなきゃ!」って歯でかじられちゃって、ありがたみは霧散する。
 
ラングドシャのような上品さやさりげなさは、どうすれば身に付くのだろう?
 
こういう時は人間観察をするに限る。わたしの職場にはいろんなタイプの人間がいる。
おせんべいみたいなバリバリうるさいタイプ。でもおいしいから憎めない。これは上司(40代男性)。
まんじゅうみたいなタイプ。素朴だけれど飾らない優しさを見せてくれる。これは先輩(30代男性)。
こんぺいとうみたいな上品で繊細なタイプ。自分から主張はしないが仕事はそつなくこなし、さりげないフォローもしてくれる。これは先輩(30代女性)。
ようかんみたいな素直なタイプ。芯はあるが好き嫌いが分かれやすく、アレンジができない不器用さがある。これは後輩(20代女性)。
以上が同じ部署の人たちだが、このなかでわたしが見習うべきは……。
こんぺいとう先輩だ!
 
とまぁこのように書くまでもなく、同じ部署で女性の先輩はこんぺいとう先輩しかいないので、悩んだときは自然と彼女の動作を目で追っている。
こんぺいとう先輩のスゴいところは、物音を立てないところだ。しずしず、さらり、みたいな擬音が似合う。いつもきっちり髪をまとめ、タイトスカートと7センチヒールを履きこなす。身だしなみにもこんぺいとうの細やかさが感じられる。
対するわたしはドタバタ、がつがつ、という感じ。ノリはいいけれど一度パニックになると大騒ぎし、落ち着くのに時間がかかる。う~ん。雰囲気からして全然違う。
 
こんぺいとう先輩はわたしが大騒ぎするたびにいつも助けてくれる。助けてくれるたびにわたしも何かお返しがしたい、とずっと思っている。ラングドシャのように、さりげなく。
 
先日、日ごろのお礼と懇親をかねてこんぺいとう先輩とジンギスカンを食べに行った。
こんぺいとう先輩は、自分からごはんを誘うことはないが誘いにはのってくれる。そこでこんぺいとう先輩は肉好きだと分かった。繊細な見た目とのギャップにわたしはこんぺいとう先輩がより好きになる。
こんぺいとう先輩の本音がわかる絶好の機会に、感謝の言葉ついでにプライベートをそれとなく聞いてみたが、曖昧にうなずくばかりではぐらかされてしまう。
 
ああ、先輩、違うんです……。わたしはあなたに憧れていて、どうしたらそんな素敵なふるまいができるのか気になるだけなんです……。そして悩んでいることがあればお助けしたいと思っているだけなんです……。お願いだからウザがらないで……。
自分の挙動を振り返り、「飴ちゃん」の小粒感や押しつけがましさがよく出てるなぁ……と思いつつ、めげずにいろいろ探ってみると、どうやら婚活に悩んでいるようだった。
婚活かぁ。独身のわたしにお助けできることはない。男性を紹介しようにも、甲斐性のなさそうな20代男性をこんぺいとう先輩は魅力に思うだろうか……。案の定、年上の甲斐性のある男性が良いらしい。ああ、無力。
結局「先輩なら良い人つかまえられますよ!」と興奮気味に言うことしかできなかった。
 
自分の言動や気持ちを振り返ると、ラングドシャまでの道のりはものすごく遠いことがわかった。
たぶん、人生の修行が足りない。まだまだ飴ちゃん、いや甘ちゃんだ。
まぁ、飴ちゃんにも良いところがあるのだけれど。こんぺいとうにはない「気軽さ」とか。飴ちゃん好きな人もいるし、なにより大阪のおばちゃんに失礼だ。
とりあえず今は、これからもこんぺいとう先輩をこっそり観察して、こっそり先輩の「技」を盗んでいこう。
ラングドシャになる夢はまだまだ諦められないからね。
 
 
***

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2018-03-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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