メディアグランプリ

数字は物語だ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ももの(ライティング・ゼミ 平日コース)

 
 
経理の仕事をして15年ぐらいになる。
この仕事を始めたのは、簿記という帳簿をつけるための「言語」が
あまりにも面白く、数字が美しいのですっかり虜になってしまった。
 
「何」を「どうした」という取引を
「簿記」という言葉を使って伝票で表すと、貸借(伝票の右側と左側)が
ピッタリと同じ数字になる。
この「ピッタリ」が気持ちよくて、美しい。
 
簿記のことを話し始めると長くなるので、いささかに乱暴に要約する。
お金が入ってきたら、伝票の左側に「現金」と書く。
伝票の右側にはお金が入ってきた原因を書く。たとえば「売上」とか
「借入金」とか。そこに金額も書くと、これが一つの取引の流れを数字的に記録したことになる。
これが積み重なって出来るのが会計書類だ。
 
貸借対照表は、持っているお金がどの様に形を変えているか?
時期を特定して(月末、期末とか)表している。
左側に財産的価値があるものを書いていく
現金とか、預金、土地とか、固定資産。
 
対して右側は、負債=マイナスの財産の詳細が書いてある。
財産的な価値があるもの(資産という)から負債を引いたものが「資本」
「資本」会計的な数値のまとめ、儲けとか収益と考えると理解しやすい。
 
一方、損益計算書は、一定期間にどのぐらい売上があって、どのぐらい経費を何に支払ったかということが詳細に書いてある書類だ。
 
一番上に、売上があって、その下は全て経費、差し引きして、最後は利益がどれだけでたか?ということが、書いてある。もちろん、赤字なら、ここはマイナスだ。この差引収益を、貸借対照表の資本という欄に持ってくると、
貸借(右側と左側)がピッタリと一致する。
これが、私が数字が美しいという所以だ。
 
大体、経理の仕事をしている、というと、暗くて、地味な仕事という印象を持たれることが多い。
 
部内もコミュニケーションが得意な人が集まる場所とは程遠い。
実際に、暗くて、地味な仕事だ。
基本的に、部内の職員も、黙々と、数字との対話をしている人が多い気がする。
 
2014年にオックスフォード大学のマイケルオズボーン氏が発表した
あと10年後に「消える職業」「無くなる仕事」の一つに、経理の仕事も上がっている。
論文の中では分析した702業種のうち約47%の仕事はAIに代わるという結論に至っている。
経費削減では真っ先に挙げられる職種の一つが経理だ。
最近は、クラウド上で会計処理できるソフトが出回っており、「簿記」の知識は求められない。
 
しかし私はこの仕事が大好きだ。
そんな暗くて地味な仕事の面白味を今日は私なりに考えてみる。
朝から晩まで、数字と向き合う。
決算の時は、一年に一回しか会えない数字とも向きあう。
 
0~9までしかない、たった10つの数。
それか組み合わさって、色々なことを物語っているのだ。
会計書類に目を通す。損益計算書とか貸借対照表と言われる書類だ。
当たり前だが、全て数字で記載してある。
 
数字を作りながら、数字を見ていくと、経営者や意思決定者が、どのような
思いで意思決定しているのか見えてくる時がある。
 
数字を見ていると、
「あぁ、これクレーム処理で時間がたくさんかかった」
「ここで、勇気出して、経営方針をガラっと変えた」
「保守的にずっとお付き合いしている様子」
「社運をかけた新規事業」
などの様子が伝わってくる。
数字がベラベラとその時のことを喋っている様に感じるのだ。
まるで、経営者と話しているような感覚。
数字がその組織の物語を語ってくるように感じる。
その声を一つ一つ聞いていくのが、私の仕事だ。
とても地味だ。
 
よく注意して数字を見ると、
とても苦しそうにしている数字に出会うことがある。
分解して見ていき、紐解いてあげると、どこで判断を誤って、その結果、そうなったということがわかる時がある。
それを紐解いてあげた時、私は、数字と繋がれたと嬉しい気持ちになる
 
上場企業が株主のために提出する書類、「有価証券報告書」の数字は、
お化粧をバッチリして、よそ行きの格好をした数字に見える。
その時々で、数字が見にまとう衣装まで、違って見えてくる。
数字にもTPOがあるのだ。
 
数字は過去の事ばかりを伝えるためのツールだろうか?
 
未来の事業計画をたてる時、数字は未来を雄弁に語る。
予算を作る時の数字は、どれも自信にあふれて、誇らしそう。
これから、進むべき道を、しっかりと踏みしめて、方向性をハッキリと
さしている、背筋が伸びている感じを受ける。
数字の晴れ姿だな、といつも思う。
 
そんな数字の声を聞くことができなくなるのはとても寂しい。
 
私なりに、未来はどんな関わり方ができたら、このまま数字との対話ができるのか考えて行く。
 
まず、単純作業は無くなってしまう。伝票を入力する仕事は確実に無くなる。
会計書類が自動で作成される。
 
ここで数字の声を聞いて、次の行動に移すための戦略を練る。
市場に聞いて、フィードバックを得て、また数字をみて、改良する。
やはり、ここでも数字をの声を聞けることは益々大切な気がしてくる。
数字が喋っていることを「感じ取る」こと。
「感情」これは、まだまだAIよりも人間の方が得意な分野ではないだろうか?
 
異変に気付くというのも、大切な役割だ。
異常値が出る時、数字は、ものすごい勢いで叫ぶ。
「ここを見てー」
「こっち、こっち」
と言っているかの様だ。
 
そう考えると、10年後、20年後もまだまだやれることは沢山ある気がしてくる。
 
こんな地味な経理の仕事を私は、心から愛してやまない。
私はこれからも、数字が語る様々な物語に、耳を傾けていきたいと思っている。
 
 
***

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2018-03-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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