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変わった名前の子供はイジメられるのか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:瀧本将嗣(ライティング・ゼミ 平日コース)

 
 
「うわー! 変な名前、どうせ妹も変な名前にする気でしょ?」
 
見も知らない、初対面の大人にそう言われた。
脳天の奥を、なにかが一気に吹き上げる。
熱く煮えたぎるものが。
これ、一発殴ってもいいやつだよな。
震える拳を握りしめ、私はぐっと我慢した。
 
2人目の子を出産するために、嫁は3歳の息子と里帰りしていた。
3ヶ月ぶりに私は嫁の実家に行き、息子と再会した。
地域の運動会があったので一緒に遊びに行った。
そこへ高校の先輩がたまたま来ていた。
昔話に花を咲かせていたら、一緒にいた先輩の職場の人が突然、話に割り込んで来た。そして罵倒しはじめた。
 
……息子の名前を。
 
キラキラネームという言葉が流行る、ずっとずっと前。
私は子供に唯一無二の名前をつけた。
 
そもそも、息子の名前を思い付いたのは、私が大学生の時だった。
いや、言っておくけど大学生の時に子供が生まれたわけではない。
授業に退屈すると、ヒマ潰しにノートによく落書きをしていたのだ。
将来、自分の子供にどんな名前をつけようかと。
 
なぜそんな事をしていたかというと、私は自分の名前が好きじゃなかったからだ。
戦国武将のようでイカついし、誰も私の名前を覚えることはない。
いままでの人生で、他人に名前で呼ばれたことは一度もない。
 
逆に自分なら、どんな名前をつけて欲しいか?
やはり苗字だけではなく、名前でも呼ばれたい。
そして、一度目にしたら、覚えてもらえる名前がいい。
 
男の子なら、苗字に絡めた名前にしたいと思った。
そこで、ある「故事成語」を、「物語」を、息子の名前に込めた。
 
自分としては大満足の名前だが、周囲の反応は冷ややかだった。
 
「ええ〜、そんな変な名前やめなさいよ、もっと普通の名前にしたら」
 
マジメな私の母親には、予想通り全否定された。
 
「そんな変わった名前だと将来、子供がイジメられるよ。普通の名前が一番」
 
多くの否定的な意見はこんな感じだった。
 
私にはそのことが全く理解できなかった。
なぜ名前のせいでイジメられるのか?
逆に、そういう人こそ、名前で誰かをイジメた事があるんじゃないのか?
 
あえて聞きたい。
もしジャイアンの本名が剛田武じゃなく、キラキラネームだったら、のび太のようなイジメられっ子になっただろうか?
 
普通の名前でも、イジメられる人はイジメられる。
キラキラネームでも、イジメられない人はイジメられないはずだ。
 
それにケンカが強ければ、変わった名前でもイジメられないだろうと考えた。
 
取っ組みあいのケンカになれば寝技と関節技が最強だろうと、3歳から柔術を習わせた。柔術は結局、高校1年まで続けた。
中学生になると部活は剣道部を選んで、卒業までに2段をとった。
高校生になると将棋部に入った。どうも1対1の戦いが好きなようだ。
大学生になると躰道を始めた。
(躰道とは体操の床運動の要素が入った空手みたいな武道)
 
これだけ書くと、息子は少年漫画に出てくる最強格闘マシーンのように思われるだろう。しかし実はかなりの運動音痴だ。特に球技は全くダメ。
そして性格は温厚で、ケンカは一度もしたことがない。
私が心配した破天荒でヒリつくような青春は、ついぞ彼にはやって来なかった。
 
一度だけ本人に聞いたことがある。
中学生の頃とか、ケンカくらいあっただろうと。
 
「ケンカなんかしないよ、だってみんなと仲良くした方が楽しいじゃん」
 
私の愚問は一蹴された。
 
穏やかな性格のおかげなのか、強さに対する「自信」と「余裕」のせいなのか、息子はイジメられる事も、イジメる事もなかった。
あとになって気がついたのだが、変わった名前の子供もチラホラいたので、息子の名前が特に目立つことは少なかった。
変わった名前かどうかなんて、相対的な問題だと気づいた。
 
そんな息子の名前に込めた「物語」に、気づく人がたまにいる。
幼稚園の園長先生がそうだった。入園手続きの時だ。
 
「おや、この名前の由来はきっとこうですよね。良い名前ですね」
 
瞬時に気づいた園長先生は、文学に造詣が深く教養のある方だった。
 
最近だと息子が大学受験の年に、初詣に行った時だ。
合格祈願のお祓いをしてもらうために、名前を書いていると巫女さんからこう言われた。
 
「わぁ、今年1番の素敵なお名前です。こういう由来ですよね?」
 
そう言われると結構嬉しい。
1月3日に今年1番って言われても、かなり嬉しい。
 
正直、変わった名前のせいでイジメられないかと、少しは心配したが息子は争いには無縁で、穏やかな青春を送っている。
男女問わず友達・先輩からは、その変わった名前で呼ばれ、愛されている。
「一度見たら、大抵の人は名前を覚えてくれるから、自分の名前は良いと思うよ」と息子は言う。
どうやら私の心配しすぎだった。
 
時代によって名前にも流行はある。
毎年、命名人気ランキングがあるくらいだ。
普通って、一体なんだろう。
きっとその時代の大多数が普通なのだろう。
 
親は子の名前を好きにつけたら良いと思う。
名前じゃなくて育て方の方が、よほど大切だ。
名前で人をイジメたりしないように。
 
 
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2018-03-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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