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メディアグランプリ

うどん県の憂鬱


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:蔵本貴文(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
私の出身はうどん県である。
ああ、別名は香川県とも言う。
もちろん、うどんは好きだが、うどんにまつわる会話は面倒なことが多いと感じている。
 
「出身はどこ?」と聞かれて「四国の香川だよ」というと、必ずうどんの話題になる。定番だから、やりやすくもあるのだが、たまに面倒なことになる。
 
というのは、妙にうどんに詳しい人もいるのだ。
「ああ、俺、5回も香川にうどんを食いにいったよ」このパターンである。
この次に面倒な質問「おすすめの店、教えてよ?」に続く。
 
 
確かに、子供の頃にうどんはよく食べたが、どの店がおいしいかということは、それほど意識はしていない。幹線道路を走っていると、本当に800mおきにうどん屋がある感覚なので、どこということをあまり意識しないのだ。
 
コンビニのようなものであろうか? コンビニなんて、ふつう近いところに行くというだけだろう。「セブンイレブンなら○○店がいい」なんて言っている人はいないはずだ。近いところに行くということになるだろう。
 
私にとってのうどんも似たようなものである。近いところに食べに行く。外出した時は目に入ったところに食べに行く。その程度のものなのである。あまりにも日常になるとこんな感覚になるのだ。
 
小学生の時、夏休みは毎日お昼にうどんを食べていたような気がする。一玉50円ほどのうどんを4玉買い、母と妹の3人で分けて食べる。とてもおいしかった。ボリュームもたっぷりだし、たったの200円だ。子供の足で歩いて5分ほどのうどん屋の兄ちゃんとは友達で、たまにキャンディなどをもらっていた記憶がある。
 
となると、「おいしいうどんの店教えてよ」と言われて困る理由がわかるだろう。
うどんが日常すぎて、店を選ぶほどのことにならないのだ。うどんなんて近くで食べるもの、わざわざ車で数十分もかけて食べに行くものではないのだ。当然、観光客がいくべき店など、全然見当がつかない。
そんなわけで、「うどん県に住んでいるのにうどん屋に詳しくない微妙な奴」とのレッテルを貼られ、会話を終えざるを得なくなる。
 
 
他県の人とうどんの話をする時はまだ良い。一番微妙なのが、地元の人間とうどんの話をする時だ。
 
丸亀製麺所という全国展開しているうどん屋がある。「丸亀」というのは香川県の地名である。実は、私の出身は香川県丸亀市なのだ。
この丸亀製麺所は有名だが、丸亀には出店していない。だから微妙さに拍車がかかる。だから、地元の友達とうどんの話になる時、当然「チェーン店のうどんなんて全然だめだよな。やっぱりうどんは地元で食べないと」というという話になる。
 
でも、私は丸亀製麺のうどんは嫌いでない。というより、おいしいと思って食べている。とはいえ、私も大人なのでこんな場では「チェーン店のうどんはだめだ」という話にはとりあえず同調しておくのが普通だ。
 
しかし、ある時、酒が入って本音が出てしまった。
「いや、丸亀製麺は、悪くないと思うけど。俺、良く食べてるよ」
 
すると、いっせいに非難を浴びる。非県民扱いである。まあ、地元を出て20年以上経つのだから非県民でも良いのだが。でも、酒の勢いで丸亀製麺の擁護を続けてしまう。
 
すると、数人、私の側に近づく人間が現れた。
「まあ、確かに他のチェーン店に比べれば丸亀製麺は良いよな。店で麺を打ってるし。オレもたまに食べることがあるよ。でも、地元にはかなわないよなぁ」
 
それでも頑強に否定する奴もいる。
「あんなの邪道だ。オレは地元以外ではうどんは食べられない」
 
冷静に考えると、恐らくこいつの言うことは正しいのだと思う。
何せ、私はたいていのものをおいしいと感じられる人間だ。味覚オンチともいうのかもしれないが、安いファミレスなどでも、十分に満足できるのだから、自分ではおトクなタイプの人間だと考えている。
つまり、味覚オンチの私にはわからない差が確かにあるのだろう。そうでなければ、うどん県のブランドを守れないはずだ。また私は、うどんは近くで食べるだけだと言ったが、友人の中には車で30分もかけて山奥まで食べにいく人もいる。やっぱり何か違いがあるのだ。
 
しかし、この友人には決定的な問題があった。実は、丸亀製麺のうどんを食べたことがなかったのだ。うどんは地元でしか食べないと決めている。つまり、県外のうどんなんてまずいと決めつけているだけなのだ。
 
私はそこを突き「食べてもないものの悪口を言うなよ」と、反撃する。これは結構、威力があったらしい。一瞬うろたえた。
しかし、今度は違う角度で反撃が始まる。「おまえは丸亀出身として恥ずかしくないのか。うどんは地元が一番だろう」もう、うまいまずいの話ではない。単なる地元愛である。
 
もちろん、こんなことで仲が悪くなるようなことはないのだが、全く不毛な議論である。
県外の人と話す時も、地元の人と話す時もうどんにこだわりがある人との会話は面倒だ。心から、そう感じるのであった。
 
***

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2018-03-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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