メディアグランプリ

バランス感覚のある自分もいいけど、やっぱり「没頭力」がほしい


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記事:中林ゆうこ(ライティング・ゼミ ライトコース)
 
 
どどーん!
とそびえた高さ4メートルくらいの建物。ゲゲゲの鬼太郎の家みたいだ。
なんかすごい! アンバランスで倒れそうでいてこの絶妙なバランス感。
廃材だらけなのに、すべてが調和しているようなまとまり感。
 
柱の一本は、川で拾ってきたという流木。くねくねと曲がっているのに、ちゃんと建物を支えて、柱の役割を果たしているんだ。普通の人が見たら、柱にしようなんてきっと思わないのに、ばっちりはまってしまうそのセンス。
そして、入り口には、木を彫り出して、太陽をかたどったオーナメントがつけられていて、存在感をはなっている。
本当に芸術的なたけさんのセンス!
 
いつかセルフビルドをしたいといって、彼は練習で小屋を作っていたのだった。
木彫アーティストのたけさん。
拾ってきた木で髪留めやら、ドリームキャッチャーやら、女性の櫛やら、いろいろなものをつくる。最近のマイブームはドクロを掘ることだといっていた。感覚が斬新すぎる。
たけさんの手にかかると、単なる木片からいろいろなものがうまれてくるのだ。
普段は家にこもって黙々と作品づくりをし、季節ごとにイベントに出店しながら、自分たちの作品を売って生計を立てている。最近は、木彫りだけでなく、大工仕事、林業の仕事、インテリアの仕事など、幅を広げている。なんだか言い方は失礼かもしれないけど、たけさんは、好きなことばかりしている気がする。
 
そんな生活を送るたけさんは、すごく穏やかな顔をしている。
「たけさん、人生楽しそうですね!」というと、
「うん、今めっちゃ楽しい!」と40男が躊躇なく笑顔で答える。
 
いいなぁ、この笑顔。
私はこのたけさんの「没頭力」に憧れてしまう。
 
「没頭力」……。まわりの声が聞こえないくらい、好きなことに没頭する力……。
辞書に載っている言葉ではないような気もするが、子育て本などで度々目にする。
 
最近、私のコンプレックスの源が、この「没頭力」のなさから来ているのではないかと、思い始めた。
 
振り返れば、私は小さい頃から、人とのバランスを取ることを意識してきた。他の人が何をしてほしいかがなんとなく読めてしまうので、それによって、自分の振る舞いを決めていたようなところがあった。
 
社会人になってからも、自分はこれがしたい! と思うことよりも、私がどう動けば全体がうまく回るのか、ということに心を砕いてきた気がする。ちょっとソリの合わない団体があれば、うまく間をとりもつようなことをしてきたし、うまくまわらなそうなことがあれば、さりげないフォローをしたりなど。
 
そういったことで、信頼を得てきたし、それが自分の売りだと思っていた。前職の課長が酔っ払った勢いで電話をかけてきて、
「あなたが裏でいろいろ動いてくれていたことが、どれだけ大事だったかわかった」といわれたときは、心の中でガッツポーズをしたものである。
「うまくバランスとる役」ができる自分は嫌いではなかった。
でも、思えばそれは自分のコンプレックスの裏返しだったのかもしれない。
人の役にたつと感じることで、自分の存在意義を確認する。
 
私は何か、これ! といって寝食も忘れて何かに没頭することがあまりなかった。
心のどこかで何かたりないもの感じていたもの……。
なんだろう、好きなことをすることに躊躇をしない。周りのことを気にするより、自分がしたいのだ! と思えることをそのまましたいのだ、私は。
食べるのを忘れて作業したり、熱中しすぎて人との約束をわすれたり、なんなら楽しすぎて、子どもすら放ったらかして、パートナーから怒られる「たけさん」のような物事に没頭できる情熱。
 
もちろんたけさんも、人並みに考えるのだろうけど、私ならこんなこときっと無理! とストップの判断をしてしまうところで、彼はGOサインをだすのだ。
その判断の積み重ねが、人の人生を形作るのだと思う。
 
この山奥に引っ越して来てから、私には夢があった。
裏庭に大きな木の木陰に、展望台のようなツリーデッキをつくりたい!
願ってばかりいても、何も進まないので、「没頭力」のある周りの友人に刺激され、私もその一歩を踏み出したのだった。
 
一年の時間をかけて、ついこの間ツリーデッキが完成した。
大工の知り合いのアドバイスをもらいながら、設計から柱の高さの計算やら、土台づくりやらほぞ切りやら、ほとんどを主人と二人で作業した。
食事をしている時も、次の作業のことを考えている自分がいた。ここには、ブランコをつくって、ここから紐をたらして登れるようにして、といろいろなアイデアが出てきた。
 
いやほんと、夢中になっていると楽しい。そして、やっぱり人にあまり気が遣えなくなる。でも、それでもなんの問題もなかった。
なーんだ、私が他人のこと、いつもみたいに気にしても気にしなくても、暮らしは回っていくのだなー。
 
「できるだけ自分が楽しいと思う方に進む」
これは意識することで身につくものなのかな? よくわからないけど、確かに、ツリーデッキを作っているときの私は、それに没頭していたと思う。
女37歳、念願の「没頭力」が手に入りかけているかもしれない。
 
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2018-03-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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