メディアグランプリ

火事場の馬鹿力を引き出す方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:いさだゆりこ(ライティング・ゼミ特講)

 
 
「最終目的地まではここでは発券できませんので、乗り継ぎのヒューストンのカウンターで手続きをお願いします」
「おかしいな……。いつもなら最終目的地まで発券してくれるのに……」
 
本来ならここで異変に気がつくべきだったのだ。ヒューストンでの乗り継ぎ時間は6時間もある。このときに気づいていれば、ヒューストン空港に到着次第、手を打てたはずなのに。ゲートはまだ決まっていなかっただろうが、乗り継ぎカウンターに立ち寄っていれば……。
 
今更ながら、自分の愚かさが悔やまれる。
 
ヒューストン空港到着後、ラウンジで休憩したり、空港内でうろうろしたりして時間を潰してからゲートのアナウンスが表示されたので、カウンターに向かった。
 
「何だ、この人だかりは!」
 
私は、カウンター前の混乱した状態に唖然となった。カウンターはまだオープンしていなかったが、カウンター前は大勢の人でごった返している。ようやくカウンターがオープンして、自分の順番がやってきた。予約確認表を見せて乗継便のチェックイン手続きを依頼する。
 
「この便は満席ですので、空席待ちになります」
「え、どうして?」
「ちゃんと、コンファームも済ませているじゃない」
 
ヴァリグ・ブラジル航空が倒産して、ほとんどの便が欠航となり、その乗客が他社線に流れ込んできていたのだ。私が乗る予定のフライトはコンチネンタル航空だったが、チェックインが済んでいない空席を狙って、ヴァリグ・ブラジル航空に乗る予定だった乗客が押し寄せてきていたのだろう。
 
私の空席待ち番号は27番である。このまま空席待ちしていても予定の飛行機に乗れるはずがない。
 
「なんとかしなければ。明日中に現地入りしていなければ、仕事に間に合わない」
 
そうは言っても英語は大の苦手である。このシチュエーションを英語で説明して交渉できるのか?
 
空席が出るかどうかも怪しいし、たとえ出たとしても1桁程度だろう。空席待ち番号27番の私に席が回ってくる可能性は皆無だ。
 
今回のフライトは乗り継ぎ時間を含めると24時間を超えるロングフライトだったので、マイルアップグレードを狙って、アップグレード可能なクラスのチケットを買っていた。結局、日本からアメリカまでのフライトには空席が出なかったので、アップグレードはできなかったのだが……。
 
「わざわざ高いチケットを買ったのに、オーバーブッキングでコンファーム済みのチケットがキャンセルってどういうことよ!」
 
段々と怒りが湧き上がってきた。
それに、私は、絶対今日このフライトに乗らなければならないんだ!
 
「どうしても今日このフライトに乗らないとだめなんです。仕事に間に合わなくなってしまう」
「私のチケットのクラスを見てください。プライオリティの高いクラスでしょう! 高いチケットを買っているんですよ。何とかこのフライトに乗れるように、手配してください。お願いします」
 
とにかく必死だった。苦手な英語を駆使しての交渉である。何をどのように喋ったのかは、殆ど覚えていない。
 
結局、このフライトの空席は5席のみ。
空席番号1番は家族で3名である。残りは2席しかない。
 
「あー、もう、だめかも」
 
そう思った時、カウンターから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
残った空席2席を、私と私の連れがゲットしたのだ!
 
キャンセル待ち番号27番がどうして2番になったのか、理由は定かではない。
しかし、私のつたない英語での交渉が功を奏したのは確かである。
 
あの時、何もせず、おとなしく空席待ちの順番を待っていたら、このフライトに乗ることはできなかっただろう。もちろん仕事にも間に合わず、散々な出張になったはずだ。
私は、ほっと胸をなでおろし、荷物を持ってゲートを進んで飛行機に乗り込んだ。
 
切羽詰まった状況になると、自分でも思いもよらない力を出すことができる。いわゆる火事場の馬鹿力ってやつだ。ぬるい状況にあまんじていては、自分の能力を十分に発揮することはできない。
 
本来は、人間の能力には制限がないはずなのに、自分の意志で自由に無限の力を発揮するのは難しい。問題は、この火事場の馬鹿力が窮地に追い込まれた状況でないと発動しないことなのだ。しかし、逆に言えば、窮地に陥った状況になれば、火事場の馬鹿力を発動することが可能というわけだ。
 
ライティングゼミも締め切りギリギリの次官になると俄然パワーが湧いてくる。しかし、外圧で切迫した状況に置かれるのはストレスになるので、自分の自由意志で意図的に切迫した状況を演出することが効果的だろう。意識的に自分自身を高揚した状態に持ち込めば、思いもよらないような力を発揮することが可能だ。例えば、20分で2500字を書くというように。
 
 
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2018-03-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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