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メディアグランプリ

スプーン1杯の幸せ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:夏目則子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「自分が、ぜんぜん思い通りにならないよ……」
休日の昼間、私は誰もいない部屋でソファに横になりながら、ひとりごちた。きっと娘に話しても、うっとうしがるだけで私の気持ちなんて理解してくれないだろう。かと言って、友人に相談するのも、何だか気が引けた。恥ずかしい気がしたのだ。47歳から48歳のその期間、私は、平日はギリギリの身体で仕事を何とかこなし、休日は夕方仕方なしに夕食の買い物に出掛けなければならない時間まで、1日中横になっていた。体が動かなかった。本を読む気力もなく、頭を使わなくていいように、そして余計なことを考えなくていいように、再放送の2時間ドラマや意味のないバラエティ番組が流れるテレビをボーっと見ることで時間をつぶした。そうやって怠けた空虚な休日を過ごすことで、自己嫌悪だけが募っていった。
 
それまでの私は、体力と気力には自信があった。深夜まで仕事をしても平気だったし、友人と深夜まで飲むことも少なくなかった。もちろん多少の不満はあったが、仕事も遊びもそれになりに楽しかった。休日はたまった家事を片付けたあと、10㎞のランニングを習慣にしていた。決して器用でも聡明でもない私の武器はこの体力と気力だったから、自分のアイデンティティが失われてしまったようで、余計につらかった。
 
最初は前職の会社から独立した時期と重なったためのプレッシャーによるストレスや疲れが溜まっただけだろうと高をくくっていた。でも時間がたっても、状況は一向に変わらなかった。そのうち、仕事にも支障をきたすようになってきた。受けた仕事をそれまでと同じペースでこなすことができなくなっていったのだ。サラリーマン時代ならまだしも、独立したばかりの身にはこたえた。自己嫌悪感に加えて、将来への不安が膨らんでいった。
 
私はこのままダメになってしまうのだろうか。
 
休日の夕方、電気を点ける気力もなく、散らかった薄暗い部屋で横になったまま、泣けてきた。
 
それでも気力を振り絞って夕食の買い物に出かけるための準備をしようと鏡を見て、そこに映る自分の姿に愕然とした。知らないおばさんのような顔がそこにあった。
「なんて、おばさん臭い感じになってしまったんだろう」
情けなさが加わった。私の知っている私ではなくなってしまっていた。
 
そんなある日のこと。落ち込むことばかりの毎日の中で、導かれるように一人の女性と出会った。彼女は私と同じ年なのに、子育てもしながら、生き生きと自分のビジネスを展開していた。
 
彼女が教えてくれたのは、“女性ホルモン”をケアすることだった。私の症状は更年期特有のものだったのだ。“更年期障害”という言葉は知っていたけれど、自分がそうであるとは思わなかった。考えることを避けていたというのが正直なところかもしれない。そして彼女はさらにアドバイスをしてくれた。女性ホルモンは年齢とともに減るけれど、ちゃんとケアすれば維持できるのだと。女性ホルモンをケアすることが女性の健康や美容にとってとても大事なことであることを。
「フランスの女性は、いくつになっても女性としての色気があるでしょ。あれは、女性ホルモンケアをちゃんとやっているからよ」
フランスの大学で植物療法を学んだ彼女の話に、私はすがった。
以前、パリに旅行に行ったとき、あまりの美しさにうっとりして思わず写真に撮った、素敵な大人の女性の写真を見直してみた。確かにそうだろうな、と思った。
むさぼるように女性ホルモンについて調べていく中で、ヨーロッパでは女性の社会進出と女性ホルモンケア実施率の相関性についてまとめたレポートが存在していることも分かった。また読んだ資料の中に、こんなことも書かれてあった。
 
女性ホルモンは、人生でスプーン1杯しか分泌されない。
 
えーっ! たったそれだけなの? 
たったそれだけのために女性の人生は左右されているのか。
それをいかに大事にするか。ちゃんと理解し、ちゃんとケアしなければと思った。そうすることで、女性としての人生がとても豊かになるということを知った。
 
彼女に教えてもらった通りのケアを続けていくうちに、休日に寝込む時間が少なくなり、鏡を見ることが憂鬱でなくなり、仕事を以前と同じように楽しめるようになっていった。そして、また恋する気持ちまで蘇ってきた。気が付くと、自分らしい自分に戻っていた。
 
「女性ホルモンケアは、フランスだと当たり前のことよ。みんなやってる。でも日本は遅れているの。誰も教えてくれないでしょ。その普及をあなたが本気でやるなら、私は全面的に協力するわよ!」
 
ある日、彼女は私を呼んでそう言った。
女性ホルモンケアというと、
恥ずかしい、はしたない、淫靡、、、、、
そんな印象を持たれがちである。だからだろうか、誰も教えてくれないし、情報共有もされない。更年期障害という症状があらわれて、初めて慌ててしまうということになってしまっているのが現状だ。
 
スプーン1杯の女性ホルモンが、女性を幸せにするのだ。
女性ホルモンケアを、健全で、明るく、当たり前のことのようにしていこう!
 
それが、私の使命だ。
すっかり元気になった今、私は強くそう信じている。
 
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2018-03-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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