メディアグランプリ

おまじないをかけなかった冬


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:幸島佑実(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「…………いたい」
先日、人生初めて胃腸炎になった。
感想、泣くほど辛い。
お腹全体を刺すように、時にはえぐられるように痛い。痛すぎてたまに意識が朦朧としてしまう。
 
 
「鼻水垂れてきた……ティッシュティッシュ……いたあぁっ」
胃腸炎と診断された次の日、人生初めて椎間板ヘルニアになった。
感想、この痛みと数ヶ月付き合わないといけないと思うと、心が辛い。
腰は不意打ちで電撃が走るように痛い。
 
 
「今年は不運だ」
胃腸炎と椎間板ヘルニアになる前、花粉症デビューを認めたところだった。
今までもこの季節になると鼻水の症状はあったがこんなにも酷くはなかった。昨年までは花粉症ではないと意地を張っていたが、ついに今年花粉症を認めてしまった。
 
 
2018年始まって3ヶ月、私の不運はこれだけではない。
 
 
年末年始、実家から東京の部屋へ戻ったら冷蔵庫が壊れていた。冷凍庫のアイスはでろんでろんの液体状態。新年早々これか。ついてないわ。新しい冷蔵庫が来るまで、故障に気づいてから2週間かかった。
 
 
滅多に出さない熱を出した。それも仕事で納期が迫っていた時に。インフルエンザが猛威を振るっていた時期だから念のため検査をしたが、ただの風邪だった。いっそインフルエンザだったら開き直って休めたのに。発熱のタイミングの悪さを少し恨んだ。
 
 
2018年4分の1、楽しいこともあったが、比較的多くの不運が重なっている。
自分ではどうしようもなかったこともあるが、体調管理の甘さや姿勢が悪い等、自分のせいなこともある。でも花粉症、胃腸炎、椎間板ヘルニア、この三つを同時にかかってしまった時は辛すぎて自分のせいではなく何かのせいにしたかった。
 
 
「私今年厄年だっけ…」
スマホで調べる。厄年でも前厄でもなんでもない。だが同じ年生まれの男性は今年本厄らしい。
「もしかしたら同い年の男性の分まで厄をもらってしまったのかもしれない」
不運の原因の一部は生まれ年のせいにすることにした。
 
 
それでもまだ何かのせいにしたい私。痛みで意識が朦朧としながらも他の原因を考える。
「そういえば、冬至ちゃんとやってなかったな」
 
 
ご存知かと思うが、冬至は一年で一番日照時間が短い日で、この日に柚子湯に入り、かぼちゃを食べるとその冬は丈夫に過ごせると言われている。他にもこういった風習やイベントはあるが、冬至だけは毎年しっかりやっていた。冬至の2、3日後にやってくるクリスマスのお祝いよりも私は冬至を楽しみにしている。クリスマスのチキンよりもかぼちゃの煮付の方が好きだから、ころんとした丸くて可愛い柚子を湯船で愛でるのが好きだからというしょうもない理由がひとつ。もうひとつは、クリスマスは一緒に過ごす恋人や家族の有無で惨めになってしまいがちだが、冬至は傷つく人がいないから好きというのもある。
 
 
この冬も健康に過ごせるようにと言いながら、柚子の木がある祖母の家へ自ら柚子を収穫に行った。長いペンチで木の上の方に実っている綺麗なものとる。カゴいっぱいになるまでとった。これで今年の冬至も完璧だと思っていたが、収穫した柚子を自分の部屋へ持ち帰るのをうっかり忘れてしまったのだ。それに気づいた冬至当日、近所のドラックストアで柚子の香りの入浴剤を購入した。落ち込みながら代替柚子湯に浸かった。
 
 
この冬、本物の柚子湯にって入らなかったせいか、ありとあらゆる体調不良が襲ってきた。でもあの時本物の柚子湯に入ったらこんなに体調不良に襲われることはなかったのかと聞かれても、そうだとは言えない。日頃の体調管理など、普段から気をつけていれば辛い思いをしなくて済んだこともある。
それでも私は、この冬の不運の原因の一部は例年通りの冬至をしっかりやらなかったことにしたいのだ。
 
 
冬至のようなこういった風習は、おまじないやお守のようなものだと思う。
別にやらなくたって健康に過ごせるし、やっても病気になることはもちろんある。
お守を持っていれば何事からも無事でいられるわけではない。でも持っていることで心にゆとりが生まれたり、本人に何か良い心の変化があることは確かだと思う。そういった心の変化をもたらすことに意味があるのではないか。
 
 
冬至の日、柚子湯に浸かっていつも思うことは、この冬も風邪ひきませんようにと願うこと。柚子湯に浸かる20分、一瞬でも健康のことについて考えているのだ。
「手洗いうがいは徹底しよう、お正月の暴飲暴食には気をつけよう…」
でもこの冬至は、「柚子忘れた。あんだけ張り切って収穫に行ったのに柚子持ってくるの忘れた。なんで忘れたんだろう。柚子」
柚子を持ち帰らなかった後悔ばかりだった。健康について考えた記憶はない。
 
 
冬至の日に柚子湯に浸かり何気なく健康について考える時間は、冬を健康に過ごすための通過儀礼だったのかもしれない。健康に過ごすために何をすればいいか考える。そこで意識付けをする。それが健康へと繋がっているのではないか。この冬は健康について考えなかった。結果、健康に対する意識が欠け、私は重なる体調不良に苦しんだ。だからこの不運は冬至をちゃんとやらなかったせいにする。
 
 
まだまだ先だけれど、2018年の冬至こそ柚子湯に入ろう。もしまた柚子を祖母の家から持ち帰るのを忘れても、しっかり健康に過ごせるように考えよう。健康への意識は常日頃から行おう。そうすれば不運からも解放されるはず。解放されたらきっと楽しいことが待っているはずだ。

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2018-03-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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