メディアグランプリ

正しい答えなんてない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:草戸 コウ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
いつからだろうか。正しい答えを求めるようになったのは。
小学生のころ、算数の授業で足し算、引き算を最初に教わった時だろうか。
 
社会人になって3年目を迎えた頃、毎日同じことを繰り返していることに気づいた。そして安心した。周りで働く同僚や先輩、後輩も自分と同じように動いていたのを覚えている。「自分らしさ」はわからなくなったが、周りと同じように働けているのだから「正しい答え」を出せていると信じた。残業で終電帰りは当たり前だったので、入社して間もないころから、都心にある会社から徒歩10分ほどの家に引っ越した。これも私なりに「正しい答え」だった。周りと同じように仕事をするだけでなく、会社の近くに住み、誰よりも仕事に時間を費やそうとすることは、職場の環境で同質化した状態からさらに「良い答え」を出したようでとても心地いい気分だったのだ。
 
「おまえこのまま営業やっていても死ぬぞ」
 
ある日の会議室での上司の言葉だった。終電を気にしなくていい場所に住んでいたため、帰宅は更に遅くなり、次の日の仕事のことを布団の中で1〜2時間考えてからでないと眠りにつけず、そこから2〜3時間後には目覚まし時計が鳴った。「このまま倒れるんじゃなかろうか、倒れたら休みはもらえるのだろうか」そんなことを考えることもあった。そんな毎日の流れを上司は心配してくれているのか、と思った次の瞬間頭が真っ白になった。
 
「お前みたいなお人好しが生きていけるとこじゃないんだよ!」
 
無意識に「どこで間違ったのか」をとっさに考えていた。どうやら上司は今までになく怒っているらしいということは分かったからだ。考えてみれば私がなかなか眠れない夜を繰り返していることなど上司が知るはずもないのだ。上司が見ているのは、私と顧客との交渉が難航していることを示す目の前の資料だけだ。
 
私は思った。正しい答えすら出せないのなら、上司の言う通りこのまま生きていけるわけがないのかもしれない。周りは私と同じように仕事をしていたはずなのに、自分だけ上手くできないのだ。周りも遅くまで残業して、顧客に頭を下げて、上司に頭を下げている。それでも「死ぬぞ!」なんて言われているのは自分くらいだろう。これから先もう生きていく資格はないのだろうか、とさえ考えていた。
 
それから眠るに眠れない日が続き、体調を崩し始めたので病院にいって問診を受けたところ睡眠薬を人生で初めて出されたそのとき、カチッと何かスイッチのような何かが私の中で切り替わったような気がした。
 
「このままじゃ壊れてしまう……いったんリセットしよう……」
 
正しい答えかどうかを考えることすら一旦やめて、全く違う環境に身を置いてみようと思ったのだ。どうせ死んでしまうなら、使う時間もなく膨らみ続けた貯金を使い果たして海外で暮らしてみよう。それでも「やっぱり死んでしまおう。」と思うならそのときはそのときだ、と行動を起こすことにした。
新卒で入社した会社を辞めたのだ。
 
気づけば私はフィリピンへ留学していた。なぜフィリピンに行くことにしたかは別の機会に書くとして、ここで私は「正しい答え」以外の生きる道の選び方を見つけるに至った。留学先の学校では本当に様々な人が集まってきていた。私と同じ境遇で会社を辞めてきた人間もいた。ただ、その学校に集まる多くの人は「リセットしよう」と思ってやってきたわけではなかった。
なかには私の年齢の倍以上にもなる還暦間近の方もいたのだが、そういう人ことリセットしに来ていそうなものなのに「新しい自分を見つけにきている。」と、その方が表現されたいたのが今も忘れられない。なぜ忘れられないかといえば、「正しい答え」をフィリピンに来ても求めていた私にとって「新しい自分を見つける」とは考えたこともなかったのだ。レールの上を走り続ければ正しい道から外れることはないと信じていた私にとって、今ある自分を否定せず、「新しい自分」をさらに見つける。自分のなかにまだ知らない自分があるという感覚をこの留学で思い知らされたのだ。もし私が会社をやめることなく、答えは正しいものを求めるべきで、1つしかないのだ。と囚われたままでいたら、自らの命を絶つこともあり得たかもしれない。しかし今私は、自分のなかに色々な「新しい自分」を見つけることができ、人生を180度違う景色でみるようになった。

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2018-03-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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