メディアグランプリ

自分の思考を自分がコントロールできないのは何故か


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記事:増田明(ライディング・ゼミ平日コース)
 
 
私は昔から、何かやる前にアレコレ考えすぎてしまうクセがあった。仕事でも趣味でも、やる前にいろいろ予測し考えすぎて心配になり、かえって動けない、ということがよくあった。
 
「サザエさん症候群」にもよくなっていた。「サザエさん症候群」とは、主に日曜日の夜などに、明日から始まる学校や仕事のことを考え憂うつになる、というものだ。社会人になってからは日曜日だけでなく平日の夜も、よくサザエさん症候群になっていた。
 
これも頭のなかで仕事をやるまえにアレコレ考えすぎているからだ。
実際に仕事にいってしまえば結構平気なのだ。何事もやってしまえばなんとかなるのだ。
だったらやるまえにアレコレ考えなくてもいいじゃないか。仕事をしていない時間に仕事のことを考えて、憂うつになるのってすごく無駄じゃないか? 
そう理屈では思っているのだが、どうしてもアレコレ考えすぎることをやめられない。
なぜだ? 自分の思考なのになぜ自分でコントロールできないのか?
 
そのうち私は、このどうしようもない「人間の思考」というものに興味を持ち、いろいろと調べるようになった。
 
調べていく中で、とある心理学の本を読むと、人の心には意識とは別に意識に上らない無意識というものがある、と書かれていた。自分には見えない無意識が、自分の思考に大きく影響を与えている、という。
 
なんとなくわかるような、わからないような……
 
そんなことを思っていたとき、友人からある仏教系の瞑想合宿への参加を勧められた。どうやらその合宿に参加すると、今まで見えなかった自分の無意識の思考とやらが見えるらしい。
少し怪しさを感じつつも、友人も参加したことがあるということだったので、大丈夫だろうと思い参加してみた。
 
その合宿は京都の山奥に籠り、瞑想を一日10時間、10日間続けるという過酷なものだった。合宿では、呼吸に意識を集中させ他のことは考えないようにする、という瞑想をやった。
これをやってみると、まあできない。呼吸に意識を集中させようとしても、つい別のことを考えてしまう。
 
例えばこんな感じ。
 
すって~はいて~すって~はいて~すって~はいて~……そういえば先週行ったラーメン屋おいしかったなぁ、チャーシューがとろけて実においし、ハッ! 余計なことを考えていた! 呼吸だ呼吸!
すって~はいて~すって~はいて~すって~はいて~……そういえばおとといの会議で出た議題どうしようかなぁ、結構やばいんだよなぁ、ハッ! 余計なことを考えていた! 呼吸だ呼吸!
 
といった具合だ。
 
始めて4日目くらい、だいたい30数時間瞑想を続けたころ、私はあることに気が付いた。
思考って実は自分(意識)が気づかないうちに、勝手に始まっている。
 
どういうことかもう少し説明しよう。
 
すって~はいて~すって~はいて~……①そういえば先週行ったラーメン屋おいしかったなぁ、チャーシューがとろけて実においし、②ハッ! 余計なことを考えていた!
 
①の時点で思考は始まっている。しかし自分(意識)は思考をしていることに気が付いていない。まったく無自覚に思考はスタートしてしまっているのだ。
②の時点で初めて、自分(意識)は思考が始まっていたことに気づく。①の思考のスタート地点と、②の思考を意識的に捉える地点には、必ずタイムラグがある。①と②が同時になることは絶対にない。
奇妙な話に聞こえるかもしれないが、私は長時間瞑想を続けるうちに、そのことに気が付いてしまったのだ。
 
思考がいつスタートしているかを自分(意識)は知らない。知らないということは、当然思考をスタートさせているのは自分(意識)ではない。そうだとするといったい誰が思考をスタートさせているのか?
無意識がスタートさせているとしか考えられない。
 
これは驚くべき発見だった。自分の思考を意識的にコントロールできないのは当たり前だったのだ。無意識が始めているのだから。
 
この体験によって、思考とはなにか、ということに対する私の認識は大きく変わった。
 
今までは、思考とは意識的なものでコントロールできるものだと思っていた。しかしそうではない。思考とは、自分で意識的にコントロールできない、いつのまにか心の奥から湧き出てくる、自然現象のような、そんな不確かなものなのではないか。
 
この体験以降、私の思考との付き合い方が少し変わった。今までは、憂鬱になってしまうようないやな思考を、なんとかコントロールして止めてやろう、と思っていた。しかし今では、思考はコントロールできないものだとあきらめ、いやな思考が浮かんできても、ああまた浮かんできたな~、と思いそのまま放っておくようになった。
 
すると、いやな思考へのこだわりがなくなったためか、そのような思考が浮かぶことがむしろ減ってきた。「サザエさん症候群」になる回数も減ってきた。
 
童話の「北風と太陽」と同じことだったようだ。
無理にコントロールしようとするよりも、そのままを認めそのままにしておく、という方法は、自分の心に関してもとても有効な手段だったようだ。
 
今日も私の頭の中にはいろいろな思考が次々と浮かんでくる。心地よいものもあれば不快なものもある。不快すぎて無理やり消し去ってしまいたくなるものもある。
そんなときはこう思うようにしている。
不快なそれらも自分の心の中から出てきた自分の一部なんだ。無理に否定することなく、ほどほどに付き合っていこうじゃないか、と。
 
 
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2018-04-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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