メディアグランプリ

6年間の大学生活で見つけたもの


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記事:大塚翔平(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「卒業される皆様へ、卒業後の就職先をお尋ねしています」
 
大学卒業を目前に控えたある日、大学から電話がかかってきた。聞けば、卒業後の進路報告をしていないのは自分だけだということだった。
 
「就職先はありません」
正直に答えた。むしろ、就職先という聞き方に違和感を覚えた。私みたいにほかの人もいるだろうに。
 
 
私はこの春、大学を卒業した。卒業するのに、6年間かかった。小学生が卒業するのと同じ時間を、大学で過ごした。別に、遊びすぎて、単位が足りなくて卒業できなかったわけではない。大学4回生の時に就職活動にことごとく失敗したから、卒業しなかった。
 
 今だから言えるが、私は就職活動に対して、常に違和感を抱いていた。
 
真っ黒なスーツに身を包み、同じ髪型、同じメイク。
みんな、自分がどうなりたいかではなく、どの企業に入りたいかしか考えていなかった。
そもそも、これから40年以上働くかもしれないのに、
この半年で、たかが、30分程度の面接で将来を決めるなんて無理だと思っていた。
 
だからどこにも入れなかった。
「あなたは自分を無くしていますね」
採用担当の人に言われたのを機に、就職活動を辞め、
そして、自分探しの旅に出た。
 
せっかくだから一度も言ったことがない海外に行ってみようと思い、留学することにした。
 
人生が変わり始めたのは、そこからだった。
 
まず、知り合い全員に反対され、笑われた。
その代わり、たった数人だが、真剣に話を聞いてくれる人がいた。そして、応援してくれる人がいた。その時、真の友情を感じた。たった一人の言葉が、その他幾千の言葉に勝ることを、知った。
彼らのおかげで、ただの幻想を、現実のものにすることができた。
 
そして、留学先で出会った人々。
彼らはみんな、おかしな人たちだった。
会社を辞めてバカンスに来ている人。
出稼ぎに来ている人。
なんとなく来ている人。
自分の国が嫌いで逃げてきた人。
 
私は留学先で、生き方の多様性を知った。
そして、自分の夢を見つけた。
 
私が出会った彼らは、私が思うオトナの概念を取っ払った。
オトナは会社で働く生き物だと思っていたが、
彼らは会社に属していない。代わりに、自分の人生に責任をもって生きていた。そんな彼らは一人ひとり、人生のストーリーがあった。私はそれが面白くて仕方がなかった。私はそんな個性的な彼らにカメラを向け、写真を撮り続けていた。たった一枚の写真から放つ彼らのエネルギーは、私をやみつきにした。気づけば毎日カメラを持ち歩き、その町に住む人々を写真に収め続ける日々が日課になった。
 
このころから、出会う人の数が圧倒的に増えてきた。カメラを通じて人との出逢いが加速したのである。今でも思うが、私にとって、カメラは、とても大切なコミュニケーションの道具である。
 
カメラマンになりたいと思い始めたのも、このころからだ。
今度は、笑われなかった。
逆に、みんな応援してくれた。
 
自分の周りの世界が、確実に変わりつつあることを感じた。
 
 自分が変わったのではない。関わる人、環境が大きく変わった。
「他人は自分の写し鏡だよ」と言われたことがある。自分のことを知ろうとして、一人で考えても本質は見えてこない。他人と交わることで、初めて自分が見えてくることを知った。
 
「自分を無くしている」ということは、実は自分の殻に閉じこもっている状態であって、探している自分は、実は、外の世界に溢れていた。
 
 このことに気づいた瞬間、世界が輝いて見えた。
そして、カメラマンとして生きる覚悟を決めた。
 
結局のところ、大学生活6年間で手にしたのは、難しい資格や大企業の内定ではなく、自分だった。笑えるくらい身近なモノだと思ったけど、一番欲しかったものかもしれない。確かに6年間は長すぎるし、もっと早く気づけたかもしれない。私を支えてくれた大切な人たちにも、たくさん迷惑もかけてきた。それでも、私は後悔なんてない。私は自分の殻を破るまで6年間かかった。それだけ。そして、大学は6年間もの間、私を温かく見守ってくれる親鳥だった。
 
よく、日本の大学はダメだとかいう世論を聞く。
確かにその通りだと思う。授業は適当だし、学校に行かなくても、卒業できてしまう。しかし、私はこう思う。
 
何をしても許される最高の環境であり、無限の可能性が与えられる、まるで夢のような場所であると。
その可能性を生かすも殺すも自分次第。
 
結局、人生は、誰と、どこで生きるかに大きく左右される。
つまり、どんな自分と出会いたいか、どんな自分でありたいかだと思う。
 
 
「卒業される皆様へ、卒業後の就職先をお尋ねしています」
 
「就職先はありません。カメラマンです」
 
電話口でこの言葉を堂々と言えた自分は、これから何とかやっていけそうな気がする。

 
 
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2018-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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