メディアグランプリ

こうして僕は、人を好きになる。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:kiku(ライティング・ゼミ特講)

 
 
「それは君がお客さんに対して心を開いていないからじゃないか?」
突然、上司にこんなことを言われた。
 
私は普段、営業の仕事をしている。
大好きなカメラに少しでも携わりたいと思い、業務用のカメラを扱う会社に就職した。
なんだかんだ普通の一眼カメラのように見えて映画用や業務用に使われるカメラはとてもとても奥が深い。
 
会社に入る前は普通の一眼レフのカメラを売る感覚でいたが、実際に営業の仕事をするようになって、完全に仕事を甘く見ていた自分に気がついた。
 
「解像度はいくつなんですか?」
「ピクセルサイズはいくつなんですか?」
「シャッタースピードは?」
「これだけ被写体から距離が離れたら何ミクロンのものが見えますか?」
 
私はもともと大学時代に自主映画を作っていた関係で、人よりカメラに詳しい自信があった。
フルサイズのカメラで、何mmのレンズを使ったらどれだけの視野なのか?
大体は感覚的につかめているとは思う。
 
しかし、プロの人は違った。
「何ミリのレンズを使うと、どれだけ拡大出来て、解像度はいくつなのか?」
「拡大倍率的に何倍なのか?」
「何ミクロンまで見えるのか?」
 
私は文系出身だったこともあり、仕事に就くようになってから始めて、ミクロンという単位を知ったくらい、理科系には疎かった。
 
それなのに大学や民間企業の研究者相手に、産業用のカメラを売らなきゃならないのだ。
 
毎日、挫折の連続である。
「100ミクロンってセンチに治すと、何センチだよ!」
「輝度ってなんだよ……」
 
カメラが好きで、カメラを扱う会社に入ったのに、一年目は毎日毎日、数学の基礎の勉強ばかりしていた。
 
二年目になってちょっとずつ仕事に慣れてきた頃、営業職の人なら一番頭を抱える壁にぶちあたった。
それは、営業成績である。
 
どこの会社も大企業になればなるほどお金を持っていて、
どこの業者も大企業に群がっていく。
 
大企業で働いている人は、予算が入ったときだけ業者が群がってくるから、
たぶん本心ではうざがっているはずだ。
 
大企業になればなるほど、名刺の数が多くなり、コンタクトを取る人も増えてくる。
 
一体、どの人が予算を持っていて、どの人が購入の決定権があるのかさっぱりわからない。
 
有名な会社に営業に行っても、毎度毎度、カタログを渡すだけの紹介で終わってしまう。
 
「なんか、どの会社に言っても、全然相手にされないんですよね」
そうある時、仕事中ぼやいていた。
 
すると近くにいた上司がこう言った。
 
「それは君が相手に心を開いていないからだよ。お客さんは取引先の製品を買うんじゃない。まずは営業マンを買うんだ。
営業の人がきちんと礼儀正しくて、もう一度会いたいと思ってくれたなら、きちんと相手も答えてくれるはずだ。その人がカメラに興味がなくても、隣の部署の人が興味を持っていたって情報を教えてくれる」
 
自分が相手に対し、心を開いていない……
なんだか自分が抱えていた人間関係の悩みの本質を見抜かれていた気がした。
 
私は昔から、人と話すのが苦手だった。
飲み会の席も周りがみんな楽しそうに話しているのに、自分は会話の流れについて行けず、いつもぐったりとしてしまう。
 
人とのコミュニケーションが苦手で、いつも家に閉じこもってばかりいた。
 
「なんで自分はいつも人ときちんと喋れないんだろう」
家に閉じこもっては映画ばかり見る生活が続いていた。
 
このままじゃダメだ。
何か外の世界に出るきっかけを作らなきゃ。
そう思った時に始めたのがカメラだった。
 
もともと映画が死ぬほど好きで、いつかカメラが欲しいと思っていた。
アルバイト代を8ヶ月間かけて貯めて、ようやくソニーの一眼カメラを買った。
 
カメラを通じてなら、人ときちんとコミュニケーションが取れるようになる。
カメラを手にしたら世界が変わる。
営業の仕事だとうまくいかないけど、カメラを持っていたなら……
 
そう思っていた。
 
だけど、カメラを始めたことによって、より痛感したことがあった。
 
それは、自分が心を開かないと、相手の心も開けないということだ。
 
自分はあなたをきちんと撮りたい。
相手のことを思って、きちんと心を開いて、モデルの人に接しないと、
絶対いい写真が撮れないのだ。
 
自分が固まっていると、相手にも伝わってしまい、ぎこちない表情しか写真に映らなくなる。
 
カメラを始めてから、本当にそのことを痛感した。
 
営業の仕事と写真を撮ることは本当によく似ている。
 
相手とどれだけ向き合っているのか?
自分が相手に心を開いて接しているのか?
 
仕事ができる営業マンはとにかく相手に心を開いて接し、信頼を勝ち取っていく。
いい写真が撮れるカメラマンも同じで、どれだけ相手に心を開かせるかが重要なのだと思う。
 
まだカメラも営業の仕事を始めて、一年近くしか立っていないが、
自分から相手を好きになること。
人を好きになる重要さを学んだ気がするのだ
 
よく自己啓発本に書かれているような人に好かれる方法を探すのは難しいかもしれない。
だけど、人を好きになるのは自分の心意気次第で変えられると思う。
 
第一印象があまりよくない人、あまり相性が良くないなと思う人でも、
話していくと、きっと一つはいい一面を持っているはずなのだ。
 
相手の長所に気づいて、相手のことを好きになる。
そのことの大切さを、最近よく感じている。
 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-04-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事