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18kg痩せた後にリバウンドした女の話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鈴木よしえ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私は物心ついた時からずっと太っている。祖母は私が5歳くらいの時に息を引き取ったのだが、その時「よしえちゃんは、あんなにたくさん食べていて大丈夫なのかね?」と心配されていた。年の近い従兄弟は色白で手足が長く人形のようだったので、「本当に可愛いわね」と言われていたのに対して、私は「何でも好き嫌いなく食べてエライわね」と言われていた。
 
小学校の運動会で組体操をしたときには、ピラミッドの一番下になってみんなが上に乗るのをじっと耐える役だったし、自転車で二人乗りをする時は、当然のように私が自転車をこぐ役になった。縄跳びをすれば「うわああ! 地面が揺れてる!」と冷やかされたし、うさぎのイラストが描いてある靴下を履いてみたら、なぜかうさぎが熊のようになってしまったこともある。
 
こんな私だがもちろん、ダイエットをしたことは何度もある。極端な食事制限をしたり、ダイエットグッズを買ったり、食事をダイエット用のシェイクみたいなものに置き換えたり、ダイエット茶みたいなものを試したこともある。まあ、想像の通り途中で空腹に耐えられなくなってあきらめてしまうのがほとんどだった。
 
でも、こんな私がダイエットジムに3ヶ月通った時には15kg以上痩せた。
 
あれは、当時付き合っていた彼に「もう少し痩せた方がいいんじゃない?」と指摘されたことがきっかけだった。付き合い始める前から私は太っていたから、その彼に対して「なんて稀有な存在なんだ」と思っていたが、やっぱり彼女にするなら友達に自慢できるようなキレイな女性が良いはず。いろいろ考えた末、自力では絶対に挫折すると思った私は、パーソナルトレーナーがいるジムに通うことにした。
 
大幅に減量したかったので食事は糖質を完全にカットした。そう、糖質制限をしたのだ。パンは糖質が低いふすまパンを選んで食べていたし、白米は3ヶ月間一度も口にしなかった。当然甘いものも揚げ物も食べなかった。そして、週2回のトレーニングに通った。筋肉痛に苦しみながら、バーベルを担いでスクワットをしたし、誰にも聞かれたくないようなうめき声をあげながら腹筋もやった。
 
そして、3ヶ月経ってトータルで18kgほど落とした。幼い子ども1人分の体重が私の体からなくなったのだ。当時の彼もそれまで以上に優しくなったし、会う人に「痩せたね!」と言われるようになった。それまではひっそりと、できるだけ存在を消すようにしていたのに、誰かに会って「痩せたね」と言われることが快感になっていった。
 
でも、その体重・体型を維持するのはとても難しかった。ひたすら体重を絞ることに必死になっていた私にとって、「維持する」のは「痩せる」のより難しかった。それまで完全に糖質を絶っていたのに、徐々に炭水化物をとるようになると、「ああ、お米ってこんなに美味しかったんだ……」と食べることが楽しくなってきてしまった。「1日1食なら……」で始まったのが、「このくらいならいいかな」と量がだんだんと増えていった。もう、そうなると元の食生活に戻るまでに時間はかからなかった。
 
そして、約4年経った今、体重は完全に元に戻った。今では、パンやご飯はもちろん、アイスクリームも甘いお菓子だって食べる。唐揚げは毎日食べたいくらいのごちそうだ。あんなに苦労して手に入れた体型を手放して、太った体型を維持するための食生活になってしまった。
 
おそらく、昔の痩せた私を知る人と会ったら、「うわ、やっぱりリバウンドしたんだ!」と笑いだすに違いない。だから、その頃の人たちとは用事がない限りはできるだけ会いたくないと思っている。リバウンドしたのは自分のせいなのに、自分勝手な話だ。
 
リバウンドして思ったのは、ダイエットは、英会話のようなものだということだ。
 
大学3年生の時、私は大学の制度を利用して外国人に日本語を教える「日本語教師」として、ニュージーランドの大学に1ヶ月ほど通ったことがある。
英語は決して得意ではなかったが、英語を話すことに対する憧れがあり、日本を離れる前には英会話スクールにも通った。滞在中はできるだけ英語を使うようにしていたし、大学の授業にも参加して良いと言われていたので、授業にもいくつか出席した。完璧には理解できなかったが、なんとかノートもとっていたのでそれなりに自分の中で吸収できていたのだと思う。
 
でも、英語に触れる環境がなくなると、英語が話せなくなった。
つい先日、会社でランチに出かけた時に外国人グループに話しかけられた。どうやら行きたいお店があるらしいのだが、それを説明する単語が全く出てこなかった。
「アッチデース」と日本語を英語っぽく言ってしまいそうになるのを、ひたすらこらえることしかできなかった。言葉がダメならと、同じ身振りを何度も繰り返して必死に伝えようとした。その私の表情を見て、「うん、努力は分かったよ」と慰めるように肩を優しくポンポンとたたいてくれた。
ものすごくみじめだった。話しかけてきた彼らが目的地に到達できるとは、とても思えなかった。あの時の外国人のみなさん、本当に申し訳ない。しょうもない日本人に話しかけてしまったせいで、日本を嫌いにならないでほしいと願うばかりだ。
 
結局のところ、何かができるようになったとしても、それを習慣にしなければ定着しない。自分で無意識に行動できるようになるくらいにならないと、あっさりと元に戻ってしまうのだ。例えば、朝起きたら顔を洗うとか「もう、そうするのが当たり前」となっている必要がある。
 
ダイエットだって、糖質をできるだけとらない生活というのが、自分にとって当たり前になってしまえば、まだ半分くらいのリバウンドで済んだかもしれない。英語を話すことだって、映画のDVDは日本語版を買わないとか、外国人の友人を作るとか、英語に触れる機会をなくさなければ、外国人に道を聞かれたときにもう少し説明できていたかもしれない。
 
太っていると年齢が上に見られるし、シンプルな服を着るとなぜか部屋着に見えてしまう。だから最近は、知識を多少身につけたのだから、これから少しずつでも食事の改善を始めてみようと思っている。以前のように糖質を完全に絶つつもりはない。うめき声をあげながら自分を追い込む筋トレをするのも、長くは続けられそうにない。10年後、20年後にそれが当たり前のようになっている、そんな方法でやっていきたい。

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2018-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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