メディアグランプリ

野外フェスは大人の幼稚園である。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:砂岡真理子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
野外フェスに行ったことがあるかどうか。
この質問に、「ある!」と答える人と、「ない」と答える人と、それぞれの頭の中に広がる景色、またはイメージは、全く違っていると思う。
 
「ない」と答える人いわく、そんなに面白いの?(こちらの勢いに、実際ちょっと引き気味のこともある)夏に一日中外に居たりする、アレでしょ、暑そう。しんどそう。つらそう。意味分からん。なんか、ウェイウェイ騒いでるパリピのイベント。好きな人は好きなんだろうけど、自分は遠慮しておく。
 
フェスに関して書こうとしている時点で、私が前者の立場であることは言うまでもない。行ったことある、又は毎シーズン行っている、という答えが返ってきた途端、私と相手の脳裏には、一気に同じ景色が広がって、幸せなイメージに、思わず頬が緩んでしまう。
 
白い雲が立ち上る、夏のさわやかな青空。爆発するような太陽が照り付ける一方で、木陰では心地よい涼風が吹き抜ける。そよぐ木の枝に、色とりどりのガーランドがゆったりはためく。
 
参加者たちは思い思いの恰好で、特に多いのは、イチオシのアーティストのデザインのTシャツだ。発売したての最新グッズで身を固める人もいれば、何年も前のデザインで、筋金入りのファンだと分かる人もいる。カラフルできらびやかな、民族衣装をまとったようにも見える集団が、お気に入りのアーティストのステージに集まったり、ビールを飲んだり、食事時には串焼きの肉やラーメン、いわゆる「フェス飯」をほおばる。
 
自分の純粋な楽しみだけで構築されたフェスの世界は、大人の幼稚園のようなものだ。夏空の下で、汗だくになって大好きな音楽を堪能し、疲れたら木陰で昼寝をする。食べたいものを食べ、飲みたいものを飲み、今日の悩みや明日の仕事のことなど考えず、1日を思い切り楽しむ。ただ、フェスはそれだけではないのだ。
 
初めて夏の野外フェスに参加し、観客席で次の演奏に向けて待機していたとき。演奏中はアーティストを映す巨大スクリーンに、短いフレーズが大きく映し出され、何気なく目をやった私ははっとした。
「フェスの真の自由とは?」……マナーを守りましょう、でも、運営側のルールに従ってください、でも、ご協力をお願いします、でもない。どうしたらフェスを成功させ、来年以降も続けていくことが出来るのか、一緒になって参加者にも考えてほしいという、熱く真摯なメッセージと受け取れたからだ。
 
基本的に、フェスに細かいルールはない。ゴミは分別して所定の場所に捨てる、安全に鑑賞する、アーティストの撮影・録画はしないなど、至極基本的なことばかりだ。しかし、フェスでは、参加者たちが自発的な気づきで行動を起こしている場面を目撃する。
例えば、恒例のフォトスポットでは、次の撮影を待っている人が、前の人の写真を撮ってあげる。(スタッフは基本的に関与しない)小さな子供がいたら、少しでもステージを見やすいようにポジションを譲ってあげる。落とし物があったら、近くにいる人に声をかける。簡易トイレの大行列では、どこのトイレが空いているか分からなくなってしまうので、出てきた人が待っている人に空いている箇所を教えてあげる、などなど。
 
なぜなら、みんながみんな、お互いが、この場に音楽を楽しみに来ていることを理解しているからだ。何に困っているか肌で感じられるし、自分が同じ立場になったら困るだろうということを分かっているからだ。全力で、子供のように音楽を遊ぶには、助け合って、困ったことの芽を摘んでしまう必要があるのだ。
 
それはまるで、幼稚園で先生に教えられたシンプルなルールのようだ。「お友達は大切にしましょう」「困ったときは助け合いましょう」「相手の気持ちを考えてみましょう」……大人になり、いつの間にかそんなことは忘れてしまった。自分のやりやすいように、面倒にならないように物事を始末してしまえばそれで良い。歩きスマホ、優先席に居座って電話するサラリーマン、人を押しのけて群がるスーパーの主婦、分別されないゴミ、救いようのない飲み会の陰口……。
 
ふと日常で息苦しくなったとき、私はフェスのあの夏の空気と太陽を思い出す。古参のファンも、初めて来た人も分け隔てなく受け入れ、ただ純粋に音楽を楽しむことだけに向かって、参加者に向かって真っすぐにメッセージを発し続ける大人の遊園地を。
 
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2018-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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