fbpx
メディアグランプリ

リアルタイム用に彼女、ちょこっとした時間用に彼


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:なつき(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「彼女」には一目ぼれだった。少しの間動けなくなったほどに。私は少し迷ったが、彼女を迎え入れることにした。
 
我が家にあるのは19インチのデジタルテレビ。アナログからデジタルに切り替わった頃に買ったものである。今では「小さっ」と思われれるサイズであろう。その当時はまだ種類も少なく、大画面は高かった。更には一人暮らしで部屋も狭く大画面は不要だった。アナログ放送が終了して、しばらくは携帯のワンセグでテレビを見ていて、19インチでも十分大きく感じた。その筈だったが、いざ電気屋さんで商品を見ると目移りするものだ。実際に並べられている19インチと他のサイズを見比べると心がぐらぐら揺れた。
 
そんな中で私の眼を惹きつけて離さない彼女がいた。彼女は美しい色を纏っていた。テレビと言えば男性をイメージさせる黒一色が多い。その中でそのテレビは紅一点と言わんばかりの異彩を放っていた。彼女はかなり濃いピンク色だった。うわー、インテリアの邪魔になる、と思われそうな色である。しかしそこは彼女のすごいところ、正面から見ると色があるのは外枠のみで、少し控えめに上品に見えるよう上手く設計されていた。問題は画面の大きさだった。このサイズでしか彼女と一緒にはなれないとの事だった。私は大きさよりも彼女の美しさを選んだ。そして彼女と一緒に住むことが叶ったのである。
 
テレビをつけるたびに、彼女と一緒という嬉しさがこみ上げる。やはり彼女は美しい。どんな番組を見ていても時折彼女に見惚れていた。アナログ放送終了時期なので6年は経っているし毎日見ているのだが、今でもその嬉しさは薄れない。あの時の判断は間違っていなかったと思った。
 
一点だけ彼女には足りないものがあった。彼女には録画機能がなかった。当時は、リアルタイムで見られるものだけが自分に必要なものとして、不要と思うことにしていた。ビデオデッキは持っていたが、アナログ放送時代に撮りすぎて、溜めすぎて、ビデオの山となっていた。リアルタイムでの放送も見たかったので、撮ったものは結局殆ど見なかった。その反省も踏まえ録画機能は必要項目から外していた。
 
だが、ある時私は見てしまったのだ!
 
極力避けていた深夜放送。深夜放送のアニメ。通常寝ている時間のアニメ。アニメはたいてい12話で構成されている。私が見たのは第4話。何とも次が気になる上手い作り方。次も見たい。でも、テレビをつけると、この六年の間に得た伴侶に迷惑をかける。でも見たい。一週間無料提供のサイトもアニメは種類が少なく、深夜アニメは殆ど無い。でも見たい。画面は小さくていいから携帯テレビが無いか検索してみた。録画機能のあるものがいくつか出てきた。主人から許可が下りたので早速電気屋さんへ。その電気屋さんにあった録画機能のあるものは10インチが最少だった。もっと小さくていいのにと思いながら、持ち運びが可能で壁掛けもできる、少し大きな写真立ての様なスマートな「彼」を迎え入れた。
 
小さいながらも彼の存在は無くてはならないものになった。持ち運びができるので、台所で料理中でも見ながら手を休めず作業ができる。もちろんきっかけとなった深夜アニメの録画もできる。今では一人一台は持っているスマートフォンとの連携もできるので、録画した番組をスマートフォンで見ることもできる。更には専用のアプリをインストールすると、スマートフォンで遠隔操作でも予約録画できてしまうのである。
 
そして、テレビ画面がタッチパネル式となっておりインターネットも見られる仕組みとなっている。今やテレビとパソコンの境界線は無いのかもしれない。こんな画期的なものがあるとは知らなかった。電気屋さんに貼ってあった「買った方に聞きました」満足度90%以上というのも頷ける。そういえば防水加工もされているらしい。テレビを持ち運びできて、お風呂でも楽しめる時代、みんながそれを求めたからできた商品。
 
録画だからちょこっとした時間に、10分だけとか自分仕様に区切って見ることができる。ここ数年は録画すると溜めてしまうことが怖かった。リアルタイムで見られるものだけとして、きっちり30分なり、1時間なりテレビの前から離れられなかった。夕食を作るのもテレビ番組に合わせてとなっていた。むしろ時間の使い方が勿体なかったと彼のおかげで気づけた。
 
リアルタイム用に彼女、ちょこっとした時間用に彼、上手に使い分けたいと思う。

 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事