メディアグランプリ

フランスなら何でもおしゃれに見える病


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記事:羽田さえ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
フランスのものは、なぜだか何でもおしゃれに見える。
 
たとえばゲランドの塩。私の住む熊本でも、ちょっとおしゃれなパン屋さんでは「フランス産、ゲランドの塩を使っています」と書かれた塩パンが置いてある。
 
化粧品でもフランスの威力はすさまじい。ブルターニュの海藻エキス入りのハンドクリーム、なんて聞くと、しっとりした美しい手肌になれそうな気がする。
 
女性向けのファッション雑誌では「パリジェンヌの街角おしゃれスナップ」は定番企画だ。ページを飾るパリジェンヌは皆とても美しく、かっこいい。
 
「フランス人は10着しか服を持たない」という本がずいぶん流行ったことも記憶に新しい。
著者はアメリカ人の女性で、フランスでの暮らしを通じて学んださまざまな知恵を書いたものだった。センス良く暮らすためのヒントがたくさん詰まった素敵な本だったけれど、やはり最大のポイントは「フランス人は」という点にあったはずだ。
 
単に異文化から学んだというだけでは弱いのだ。もし10着しか服を持たないのがフランス人でなくベネズエラ人とか熊本県民だったら、これほどまでに世の女性たちの心をつかむことはなかったような気がする。
 
フランス人はおしゃれで洗練されている。上質なものを知り、自分にとって本当に必要なものを選び、大切にする。ていねいに暮らしている。そんなイメージがあるのだ。
 
連休を利用して、初めてパリに行って来た。
 
なにしろパリだ。真似したくなるおしゃれや、上質な暮らしのヒントがそこかしこに転がっているに違いない。パリジェンヌはアンティークのピアスをつけて、蚤の市で見つけた花瓶に花を飾ったりしているのだろう。ドキドキした。
 
実際に行ってみて、何日か街を歩いてみて思ったのは、そんなのは人それぞれだな、ということだった。
 
当たり前である。
 
街並みはとてつもなく美しいが、歩いているフランス人の全員がおしゃれで美人な訳ではない。やぼったいフランス人だって大勢いる。センスのかけらもない服やダサい雑貨も、いくらでもある。
 
人々の見た目だけではなく、中身だってきっと色々だろう。ジャンクフードが大好きで、花なんて飾らず、ていねいに暮らしていないフランス人だって山のようにいるのかもしれない。
 
むしろ、魅力的に感じたのは、フランス人たちが会話を楽しむ様子だった。
 
もちろん個人差はあるのだろうが、フランス人はおしゃべりが好きなようだ。仲間うちや家族、カップルはもちろん、店員と客の間などでも、気のきいた会話を楽しむという習慣がずいぶん根付いているように感じられた。
 
ビストロで食事を注文するにも、鴨のコンフィをください、などと言うと、いちいち微笑んで褒めてくれる。フランス語なので詳しくは分からないが、「それはとても良い選択だね」とか「良い組み合わせだと思うよ」みたいなことを言ってくれているようだ。
 
フランス人の気質は、こういうところに表れているのかもしれないな、と思った。
街を案内してくれたフランス人の知り合いに聞けば、やはりフランス人は、日本人に比べて会話そのものを楽しむ傾向が強いようだ。
 
古い建物や美しい教会に、石畳の道が続く。そんなパリの街で、カフェのテラスでもセーヌ川の河畔でも、フランス人たちは楽しそうにおしゃべりしていた。
歴史ある街で、コミュニケーションを大切にする文化って素敵だな、と思った。
 
お土産にゲランドの塩を買おうとして、先ほどの知り合いに聞いてみた。
「ゲランドの塩って有名?」
「はい、日本でいうと伯方の塩みたいなものだと思います」
伯方の塩。
想像を大きく超えてくる答えだった。伯方の塩なら、うちのキッチンに常備している。ゲランドの塩は、伯方の塩だったのか。
 
少しずつ分かってきた。
フランスだからって、全部おしゃれで上質なものだなんて思うのはやめよう。
 
ダサいパリジェンヌがたくさんいるし、ゲランドの塩だって伯方の塩なのだ。
ブルターニュの海藻エキス入りの化粧品は、三河湾のワカメとか玄界灘のアオサが入っているみたいなものだろう。どちらかと言うと、おしゃれというよりおいしそうだ。ぬめぬめしているから保湿力はありそうだ。
 
ちなみにフランス人の知り合いは、10着しか服を持たないどころか、Tシャツだけでも20枚くらい持っている。本に描かれているフランス人とは少し違うが、全然自慢げにパリを案内してくれている様子が、とても良かった。祖国フランスが、パリの街がとても好きなのが伝わってくる。
 
たしかな歴史に裏打ちされた美しい街並みの中で、フランス人たちは今日もにこやかに談笑している。
フランスの本質はおしゃれさではなく歴史と文化の奥行きの深さ、そこからくる豊かさなのかもしれないな、と思った。
 
 
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2018-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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