メディアグランプリ

10年ぶりにミクシィを開いたら。


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記事:たけしま まりは(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「うわあぁぁぁ」
10年ぶりにミクシィのプロフィール画面を見たとき、つい叫んでしまった。
 
パスワードを忘れ、ログインできないまま放置していたと思っていたのに、心当たりのありそうなパスワードを入れたら、うっかりログインできてしまった。
10年ぶりに開いたミクシィは化石のように、当時のわたしがそのまま残されていた。
見たかったような、見たくなかったような……複雑な気分だった。
 
今から10年前、Facebook、Twitter、Instagramなどがまだ出てこなかった時代、わたしたちの発信の手段はもっぱらミクシィだった。
わたしは当時大学生。みんなが大学での日常をミクシィ日記につづり、写真をミクシィのアルバムに共有し、大学のサークルでミクシィグループを作り、「ユーザー紹介」という機能で友人との関係性を紹介し合った。
 
例にもれずわたしも日記をつづり、今では信じられないくらい画質の荒い写メをアルバムにアップしていた。
 
2008年のわたしは、当たり前だが若かった。10代の若さと勢いがそのまま文章に表れていた。一人称が「あたし」だったり、森ガールになりたがったり、テンションの乱高下が激しかったりして、読み返しながら恥ずかしさで手が震えた。
けれど読むのをやめられなかった。なぜなら、わたしの性格は10年前からまったく変わっていなかったからだ。
 
「みんなにはものすごい迷惑かけちゃった。言いたいことはズバズバ言うし、短気だしわがままだしうるせーし、「迷惑」の一言ですませられないくらい。自分でもよく分かってるのに。ごめんなさいって言葉以上にごめんなさい」
 
今もまったく同じことで悩んでいる。
 
わたしは感情が顔に出やすい。そしてコミュニケーションに何か違和感を覚えると、それをオブラートに包まずにズバッと言ってしまう。
周りから見れば「言いたいことをズバズバ言うわがまま娘」といった感じだ。
この性格は、わたしが一人っ子であることが大きな要因だろう。
 
わたしは恥ずかしながら、大人になるまで人間みんなが言いたいことを言い合うものだと思っていた。
小説などで出てくる「社交辞令」「愛想笑い」「ポーカーフェイス」の意味がわからなかったし、傷ついた人は「わたしは傷ついた!」と相手に言うことなく、飲み込んで静かにわたしのもとから去っていく……というコミュニケーションの手段があることも知らなかった。
それらは社会の荒波を上手くわたっていくための手段であるのに、わたしはそんなのなくても“まっすぐな心”さえあればなんとかなる! と思っていた。
 
もちろん社会はそんなに甘くなく、数年後の就職活動、社会人生活でわたしの性格はだいぶ矯正されるのだが、当時のわたしは「こういうことを言ったら相手がどんな気持ちになるのか」という配慮が著しく欠けていた。
10年経って少しは進歩しているとは思うのだが、悩みの本質からは抜け出せていなかった。
 
思ったことをそのまま伝えるのではなく、一旦グッとこらえればいいのに、それができない。仕事場ではなんとか我慢するけれど、プライベートになると爆発してしまう。そしてみんなからひんしゅくの目を向けられる。まわりのテンションがやや下がったり、恋人とケンカをしたりした段階で、やっと「言い過ぎた!」と気付き、反省する。
 
あぁ、わたしはいつまでこのパターンを繰り返すんだろう……。
10年前からほとんど変わっていないだなんて、情けなさすぎる。
 
ミクシィ日記は、若気の至りだけでなく自分の嫌な部分まで見えてしまうとんでもない凶器だった。
 
ログインできなかったとは言え、こんな若くて恥ずかしい日記を今まで残していたなんて! 今すぐ消そう!!
そう思って下までスクロールすると、この自己嫌悪日記にはけっこうたくさんのコメントがついていた。
この日記は大学のサークル合宿の振り返り日記だったのだが、サークルの同期、先輩、後輩から優しいコメントが次々寄せられていた。
 
「お疲れ様! ズバッと言われてダメージを負ったこともあるけど、まりはのおかげで新しいことに気付けたことも沢山あったよ! ありがとう」
「まりはの素直な性格は良いところだと思うよ(^^)」
「わたしも素直なまりはが好きだよ~!」
 
みんなの優しいコメントを読みながら、少しずつ10年前の記憶を思い出した。
 
そうだ。このとんでもなく恥ずかしい日記を、わたしはあえて残そうと思ったんだ。
サークルのみんなからの思いもよらない反応に、泣きながらコメントを返した記憶がよみがえってきた。
 
10年後の自分へ……と思っていたわけではないけれど、ミクシィ日記は図らずも10年後の自分へ向けたメッセージのように感じた。
 
10年後の自分へ。
あなたは、これからもずっと同じような悩みをかかえて生きるでしょう。
そしてこの日記を読み返して「三つ子の魂百まで」ということわざを痛感するでしょう。
喜怒哀楽が激しいのは、それだけ自分に素直でいられるということ。
引っ込み思案なタイプの人からすると、それはすごく長所に見えること。
たぶん、人間ってそんな変わらない生き物なのでしょう。
変わりたいと思うより、受け入れて生きた方が案外楽かもしれません。
 
こんな風に書かれているように思った。
 
ミクシィ日記をすべて読み終え、わたしはそれでも変わりたいと思った。
わたしの短所を受け入れて、長所に変えられるように。
そしてわたしの長所をもっと伸ばして、これからの人生に活かせるように。
 
ミクシィは、書店に並ぶどんな自己啓発本よりも気づきのある“鏡”だった。
わたしはスマホのメモ帳にミクシィパスワードを記録して、もう忘れないようにしよう、と固く心に誓った。

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2018-05-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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