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反抗期の子供のイライラが、たった20分で和らいだその理由とは


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鈴木 ゆかこ(ライティング・ゼミ朝コース)

 
 
「最近、なぜか分からないけれど、世の中のいろんなことに腹が立って仕方ない」
 
10歳の娘がどこか一点を見つめ、強い口調でこぼした言葉に「でたー! 反抗期あるある!」と心の中で苦笑した。我が家の娘は、子供の成長のセオリー通り、順調に反抗期に突入。乱暴な言葉使いや口答えが日常茶飯事で、頻繁に家族と衝突していた。
 
私も娘と同じ年のころ、両親に対してとにかく腹を立てていて、毎日のように乱暴な言葉で口答えしていた記憶がある。2歳上の姉に「友達を家に呼びたいのに、妹が反抗期で呼べない」と言わせたほどに、私の反抗期は家族のみんなを困らせていた。
 
しかし、私のそんなひどい反抗期も、14歳の時に「私、反抗期終わったから」と自ら母に宣言したことにより、終わりを迎えたらしい。あの頃の自分と比べたら、娘の反抗期なんてかわいいもんだと思えるし、彼女のいら立ちも、成長とともに落ち着くだろうと考えていた。
 
しかし実は、娘のイライラは反抗期という単純な理由からだけではなかったことを、この数日後に知ることになる。
 
「頭がすごく痛い……」と、調子が悪そうに学校から帰宅した娘。しかし、熱でも風邪でもないようだ。しばらくゴロゴロと体を休めていたが、夜になっても頭痛は治まらない。
 
あんまり辛そうなので「和みのヨーガやった方がいいかもね」と声をかけた。和みのヨーガとは、自然治癒力を引き出す手当法で、身体に触れながら筋肉の緊張を緩めたり、リンパ液や、血液、気の流れを整える、とても簡単なセルフケアだ。私がインストラクターの資格を持っていることもあり、我が家では体調不良のときに和みのヨーガを行っている。
 
娘と向かい合って、一緒に頭痛によさそうな手当てを始めた。頭部の緊張を緩めたあとに肩の手当てを行う。両手をそれぞれの肩に乗せ、胸の前で両肘がぶつかるように肩を回し始めた途端に、ポキポキポキと小気味よい音が響いた。「うわ、ずいぶん凝ってるね」と思わず口に出したほど驚いた。肩こりといえば、大人の慢性症状というイメージが強く、まさか10歳の子供の体が、これほどまでに凝り固まっているとは予想していなかったからだ。
 
娘の肩の音を聞きながら思い当たった。「最近のイライラの原因は、反抗期という理由だけではなく、体がガチガチに緊張していたせいかもしれない」と。
 
体が凝っているということは、筋肉が緊張状態にあるということ。例えば怖い経験をしたときや緊張しているとき、怒っているときなど、心にストレスを感じると、体にぎゅっと力が入るという経験をしたことがあると思う。
 
この体に力が入る緊張状態は、攻撃や刺激から身を守るための防衛本能で、いわば戦士にとっての鎧のようなものだ。鎧であれば、戦闘時以外は脱いでおけばいいのだが、緊張が強い、または頻繁に起きると、鎧を脱ぐ間もなく次の戦時がやってくる。そうなると、鎧が日常のユニフォームと化するため、休戦時なのになぜかいつも戦闘態勢で、些細なことにも戦闘モードで応じてしまうということが起きてしまうのだ。
 
最近の娘は以前にも増して、たいしたことではないのに、やたらに声を荒げたり、口汚い言葉を投げつける姿が目についていた。娘が体に緊張という鎧をまとっていたために、常時戦闘モードにあったと考えると、彼女のひどいイライラにも納得がいく。
 
小学校での日常的な緊張に加え、反抗期特有のいら立ちによる小さな緊張が断続的に起こっていたのかもしれない。いずれにせよ、緊張という鎧を脱ぐ暇がないほどだったのだろう。常に鎧を身につけた戦闘モードに置かれた彼女は「世の中のいろんなことに、なぜだか分からないけれど腹が立つ」ほどに、簡単にイライラスイッチが入るようになっていたようだ。
 
和みのヨーガで頭と肩を緩めると、頭痛だけでなく案の定イライラも和らいだ。その後、声を荒げる回数が激減し、とても機嫌よさそうに毎日を過ごしている姿を見て、娘の変化がまるで自分の手柄であったかのように嬉しくなった。たった20分程度の簡単な手当てで凝り固まった体がほぐれ、今が戦時ではないことを体に気づかせてあげることができたようだ。
 
本来子供は、体を使って思い切り遊ぶことで緊張を緩めることができるはずなのだが、どうやら普段の遊びでは緩み切れない緊張を抱えていることが今回の件で分かった。
 
今の子供は学校から帰ってきても遊ぶ時間が少なく、放課後に遊べる時間はせいぜい1時間から1時間半程度。そのうえ、毎日宿題もある。我が家は「子供の仕事は遊ぶこと」という方針のもと、習い事もさせていないため、毎日、放課後は友達と遊びに出かけているが、そんな娘でもあれだけ凝り固まっていたわけだ。そのように考えると、その日にまとった鎧をその日のうちに脱ぐのはなかなか難しく、子供なのにいつの間にか肩が凝っていることも不思議なことではないのかもしれない。
 
あれから1週間が経ち、また簡単に声を荒げる場面が増えてきた。一日のうちで何度も繰り返される激しい姉妹喧嘩を見ながら「夕方、また和みのヨーガやるよ!」と娘に声をかけた。
 
 
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2018-05-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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