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メディアグランプリ

「後5分」は魔法のことばだった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:なつき(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「自分の足で立ってると思ってるでしょー? 違うからね」
「大きな声を出すと、皆が見てくれるから嬉しいんだよねー」
30代だろうか、椅子に座っている女性が、膝の上に乗せた赤ちゃんに話しかける。時折膝の上で立たせた赤ちゃんをジャンプさせながら話しかける。赤ちゃんは楽しそうにきゃっきゃと笑う。
 
今日は快晴。散歩も兼ねて月一回開かれるマルシェに来ていた。屋台店で野菜やパン、お菓子、食器などを売っている。キッチンカーも来ていて、食事をとれる休憩所も設けてある。家族連れもたくさん来ていた。奥のスペースではベーゴマを子供に教える年配の方。ちょっと懐かしい昭和の空気。そんな中では知らない人同士でも自然と会話が始まる。ちょうど昼時、パンなどを買って休憩所で食事をしていた時に聞こえてきた声だった。
 
私は、はっとした。赤ちゃんがそんな風にものごとを考えているって思ったことがなかった。私には年の離れた妹がいる。小さい頃は半分母の様な気持ちで妹に接していた。その経験があるからか、普通の人よりは赤ちゃんの気持ちがわかるもんね、とちょっと思っていたこともあった。実際、友人の赤ちゃんが何かを訴えていた時、私だけわかったことがある。そんなこともあったので、私はわかっているから大丈夫と思っていた。だから、今目の前にしている光景は私には信じられなかった。私は、話しかけた女性の言葉に対し、赤ちゃんにかける言葉なの? ちょっと冷たくない? と疑問を抱いた。けれども一瞬真顔になった赤ちゃんは言葉がわかったかのように、満面の笑みで喜んでいた。今、私が赤ちゃんを育てていたら、小さい時の経験があるからと思っていた分、本当の赤ちゃんの気持ちは見えにくいのかもしれない。
 
「赤ちゃんがそういうことを思ってるって考えたことなかったです。すごいですねー」と女性に声を掛けてみた。すると、その隣にいた女性が「彼女、保育士なんですよ」と教えてくれた。そして、教えてくれた女性の方が、実は母親だったのである。赤ちゃんは6か月、母親以外が抱いたら泣いてもおかしくない。赤ちゃんを飽きさせることなく、ちゃんと気持ちがわかったうえで接している保育士の女性、プロだと思った。
 
私は、これまで生きてきて、人にプロだと思われるようなことをしてこれただろうか。プロとは、物事を極めるだけでなく、プロ意識を持ってものごとに取り組む、ということも含まれていると思う。プロ意識をもつのは仕事でもいいし、家の中のことでもいい。私は家の中を振り返ってみることにした。
 
ふと思ったことがある。主人は時間配分を知りたい人だ。家の中で寛いでいる時でもある程度自分の行動に時間配分を行っている。私はそこまでしなくてもいいのに、家の中くらいのんびりしたい、時間に縛られたくない疲れる、と思っていた。夕食時は、主人に「ご飯できたよ」と言うと必ずお手洗いに入る。徐々に不満が募る。なんでいつも、だいたい目の前で作っていて見ているんだからご飯できるのわかるでしょ? 寛いでいるんだからその時間に入っておいてよ、という思いが膨らむ。そういえば、いつごろできるか知りたいと言われたことがあった。その時は、また時間か、追われるの嫌だと思っていた。
 
改めてプロを思う。私はご飯ができた時、「ご飯できたよ」だったり「もうちょっとでできる」だったり、相手に優しくない表現方法をとっていた。自分の中での「もうちょっと」は相手にとってわかり辛い表現だ。これは、プロ意識を持っているとは言えないばかりか独りよがりになる。そこで、「もうちょっと」を「後3分」や「後5分」に変えてみた。
 
なんともまあ、驚いた。時間を示すことで、主人がそこから時間配分し食事直前のお手洗いが無くなった。そればかりか、お皿を運んでくれたりするようになったのである。元々主人は気を遣うタイプだったが、時間が見えないのでいつ声を掛けていいのかわからなかった様であった。台所から食卓まで大した距離ではないし、と声を掛けていなかった。いちいちバケツリレーの様に渡すのも面倒だと思っていた。そのバケツリレーをやってみたら、ちょっとした会話もできるし一緒に食事を作った感覚も生まれる。自然と食事中も楽しく話ができる。時間配分をすることで生活がスムーズに行えるようになった。
 
私には無かった時間に対する価値観だったが、追われるのではなく、自分にできる範囲で設定するものということを主人に教えてもらった。

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2018-05-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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