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ハンマーで頭を殴られるために


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:足立明弘(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「ああ、そうか。そういうことか!」
皆さんはハンマーで頭を殴られたことはあるだろうか?
僕はある。
正確に言えばハンマーではなく角材だが。
文字通り目から火花が出るということを体験した。
小学生の時だ。
悪友が振り回していた角材が見事におでこにクリーンヒット。
もんどりうって倒れた。
幸いたんこぶができる程度で済んだが、今考えるとずいぶんと恐ろしい体験である。
 
しかしその後もハンマーで頭を殴られたような体験を何度かすることになる。
 
僕はあまり本を読まない少年だった。
マンガすらあまり読まない方だった。どちらかと言えば読書するくらいだったらゲームをしている時間を大切にしていた。
 
高校に入ったら回りの成績優秀な連中に引け目を感じてなお勉強も読書もしなくなった。
 
そんな時、兄から渡された小説が僕を読書の世界にいざなうことになる。
 
その小説は今思えばあまり大した内容の小説ではなかった。しかし、高校の時に頭が乾いたスポンジのようになっていた僕にとっては刺激的な内容だった。
 
ある大蔵官僚を主人公に、同僚が引き起こす「現代版金融恐慌」。その顛末を描いた小説だ。後に聞いたところ、現役の通産官僚が書いたらしい。
 
僕はこの話にのめり込み、東大ってなんて面白そうなとこなんだ! 官僚って刺激的な仕事なんだ! と勝手に勘違いし東京を目指すことになる。
 
これが僕の読書体験の原体験だと言える。
 
2年後、残念ながら東大には落ちてしまったが、東京の大学に入ることが出来た。
サークルにも入り忙しいながらも楽しい大学生活だったが、一番大きく変わったのは読書だ。
 
僕は大学に入ってから何度もハンマーで頭を殴られたような経験をすることになる。
 
おそらく最初に衝撃を受けたのは「ミクロ経済学」の教科書だったと思う。
「経済活動をこんなに鮮やかに数式で表現できるのか!」
まさに目から鱗が落ちる、いやハンマーで頭を殴られたような衝撃だった。
 
頭からドーパミンだかなんだかの脳内麻薬が出ているのだろう。それからはこれまでとは考えられないほど読書量が増えた。
 
自分の常識が覆されたり、問題意識が鮮やかに表現されたりする体験が楽しくてしょうがなかった。
 
そして、その体験はいまだに続いている。
 
最近では「社会心理学講義」という本で「なぜ人は性犯罪被害者を非難してしまうのか」について学び、「ビジネス・フォー・パンクス」で最新の消費トレンドと情熱についての関係性を追体験した。
井上達夫の「リベラルのことは嫌いになってもリベラリズムのことは嫌いにならないでください」というインタビュー本では「リベラルの欺瞞」と「正義」の可能性について新たな視点を得ることが出来た。
 
世の中の人の読書量が減っているという。
出版社が苦境に陥ったり、書店がどんどん閉店している状況を見るとおそらく事実なのだろう。
 
とはいえ、スマホが普及した現代、活字に触れる量というのはこれまで以上に増えているのではないかと思う。
スマホのニュースだったりテキストベースのYouTube動画だったり、ゲームだったり。
 
でもそれだけでは「ハンマーで頭を殴られたような体験」をすることは難しいのではないかと思っている。
 
僕は体系的にまとめられた本こそが人の固い頭をこじ開け脳みそをぐちゃぐちゃにして再構築させる事ができるものだと信じている。
読書する理由というのは人それぞれだろう。
暇つぶしだったり、素敵な表現に出会うためだったり、仕事に必要な知識を仕入れるためだったり。
僕が読書する理由は「ハンマーで頭を殴られて常識を再構築するため」と言っていい。
 
ハンマーで頭を殴られたような体験というのは本当にある種の多幸感があるのだ。ふわふわとしたようなあったかいような。難解なパズルをあるひらめきで解いたりしたら同じ様な体験が得られるのかもしれない。
 
こういう体験をするためには書店に足を運び、たくさん本を読むのが大事だが、いちばん大事なのは「問題意識」を持つことだろう。
「みんなこれが常識って言ってるけど、本当かな?」
「あの人は自信満々に語ってるけど事実はどうなんだろう?」
「なんでみんなこんな悲劇を目の前にして知らぬ顔ができるのか」
そういったことを毎日思っていてその解決を本に求める。問題意識が増えれば増えるほど、「ハンマーで頭を殴られたような体験」をする機会が増えるものだと信じている。
 
 
読書家であればこういう体験は一度ならず経験しているものだと思うけども、あなたがもしまだこういう「衝撃」と「多幸感」を味わっていないのであれば、実にもったいない。
 
今すぐ本屋に行こう。

 
 
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2018-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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