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心の扉は天岩戸なのかもしれないなと思った話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:宮﨑聡史(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
何かのきっかけで心の扉が閉じてしまうことはよくあると思う。
失恋、いじめ、信じていた人の裏切り、近しい人の死、など理由はさまざまあるだろう。
そして、長い間、心の扉を閉じたままでいると、扉の開けかたがわからなくなってしまうようになる。
時間をかけて、心の傷も癒えて、さまざまな問題も自分の中で昇華したつもりでも、以前の自分に戻るのは簡単ではない。
親しくなりたいと思える人と出会っても、いざとなると、どうやって心を開いて、相手との距離を縮めたらよかったのか、すっかりわからなくなってしまっている。
心理学やコミニュケーションの本を読んでみたり、瞑想してみたり、無理して出会い目的のパーティーに行ってみたりしても、どうにもうまくいかない。
 
そんな状態がもう20年以上もずっと続いていた。
 
きっかけは小学5年生のとき。
その事件は僕の住んでいたところの近くの町で不意に起こった。
僕と同じ苗字の人間が、殺人事件を起こしたのである。
その事件は日本中でニュースになり、子供の間でも話題になり、わけもわからないうちに僕も事件に巻き込まれた。
苗字以外の何の理由もなく、僕はいじめの標的にされ、毎日遊んでいた仲良しの友達にも裏切られた。
 
心の扉を閉じるには十分な理由だろうと思う。
 
心の扉を閉じておくと、実は案外と生きやすいという面がある。
なぜかというと、他人と傷つけあう確率がかなり減るからだ。
相手の攻撃を避けられる間合いを取っておけば、さらりと逃げてしまうこともできる。
相手の間合いに踏み込まなければ、攻撃されることも少ない。
ひとりを楽しむことを覚え、相手との距離感を絶妙に保つやりかたを覚え、趣味や環境が変わるたびに付き合う相手を変えていく。
そういう生き方も、慣れてしまえば快適なものなのだ。
 
でも、と思う。
そろそろ、そういうのも飽きたなと思う。
 
SNSに登録されている知り合いや遊び仲間は100人単位でいるけれど、誰を「友達」と呼んでいいのかもわからない。
ましてや、親友や恋人はどうやったらできるのかなんて、想像もつかない。
 
さて、どうしたものか、とずっと思っていたところ、ちょっとしたイベントがあった。
演劇教室の発表会参加者による「決起会」という名の飲み会だった。
 
数年前にその心の扉を開く方法を探して、演劇を始めた。
なぜ演劇? と思われるかもしれないが、演劇には役を演じるための方法論があって、その中には自分のそのままの感情を解放するメソッドや、相手の感情を受け取るためのメソッドがあったりする。
そのような方法論を使って訓練していけば、固く錆びついて動かなくなってしまった心の扉を動かすことができるようになるんじゃないかと思ったのだ。
 
そうやって、毎週一回の演劇レッスンを受け、舞台にも3回立ち、そして今、4回目の発表会の舞台の稽古が始まろうとしている。
 
その決起会には発表会の参加者が40人近く集まっており、初対面の人が8割以上という割合だった。
僕はどちらかというと、こういう人数の多いパーティーや飲み会は苦手で、初対面の相手に自分から話しかけることもできず、誰ともろくに話もせずに終わるというのが常だったから、始まる前までは正直気乗りがしていなかった。
 
でも、会が始まって、乾杯をして、自己紹介が終わるころには、不思議なことにすっかりリラックスしていたのだ。
アルコールが入っていたのもあるだろうけれど、一緒に演劇をやる仲間ということで、きっと無条件に受け入れてもらえるだろうという、安心感もあったのかもしれない。
たまたま隣になった女性としばらく雑談をして、質問をしたり自分のことを話したり、反対側の男性に話をふって、話の仲間に入れ、周りの様子を見て、話し相手がいなさそうな人になるべく話しかけたり、演出の先生にみんなが聞きたいと思っているであろう質問を投げかけ、誰かの発言にツッコみ、話を盛り上げたり、笑ったりしていた。
 
何だか、いつもの自分ではないなと酔った頭で思いながら、やめられなかった。
 
15時に始まった会が終わったのは21時。
6時間もの長い会だったのに、あっという間に感じた。
家に帰るころには、もうぐったりしていたけれど。
 
疲れてベッドに倒れこみながら、我ながらおかしかったよな、いったい何だったんだろうと考えて、ふと「天岩戸」の伝説を思い出した。
時々、考えがおかしなところに飛ぶ癖があるのだ。
 
天岩戸の伝説では、須佐之男命のイタズラに怒った天照大神が天岩戸に隠れてしまい、世界が暗闇に包まれてしまう。
困った神々は天岩戸の前で歌い踊って天照大神の気を引き、外を気にして少しだけ扉を開いたところを引っ張り出して世界に光が戻ったというお話だ。
 
心の扉の前で楽しそうにお祭り騒ぎをしていたら、錆が取れて動きやすくなった扉を開けて、中から本来の、ずっと外に出たがっていた自分が出てきたのかもしれない。
出てきたのはほんのひと時だけで、また扉の中に戻ってしまったかもしれないけれど、暗かった世界にちょっとだけ光が射したように思えたのだ。

 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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